リリアンと燃える双子の終わらない夏
著者 ケヴィン・ウィルソン , 訳:芹澤 恵
リリアン28歳、人間嫌い。自己肯定感はかなり低め、将来への希望もない。1995年、春の終わりに、そんなリリアンのもとに友人のマディソンから手紙が届く。おもしろい仕事がある...
リリアンと燃える双子の終わらない夏
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商品説明
リリアン28歳、人間嫌い。自己肯定感はかなり低め、将来への希望もない。1995年、春の終わりに、そんなリリアンのもとに友人のマディソンから手紙が届く。おもしろい仕事があるので、彼女の暮らすお屋敷まで来てほしいという。それで、頼まれたのは10歳の双子のお世話係。なりゆきに任せて引き受けたけれど――子供たちは興奮すると〈発火〉する特異体質だった!? 全米ベストセラー作家ケヴィン・ウィルソンが涙と笑いで〈リアル〉に描く、ほろ苦い愛情と友情の物語。ニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、USAトゥデイ紙、タイム誌、ピープル誌ほか、10の全米主要メディアが年間ベストブックに選出!
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図書館で借りて、そのあと買い直した
2023/07/13 17:23
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:甘いっ子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「表紙かわいいな」「燃える双子ってどういうこと?」と思いながら図書館で借りて、本を開いたら小さめの文字びっしりでちょっと後悔したが、読み始めたら止まらなくなった。図書館で借りた本の中ではNo. 1の面白さだった。
リリアンのサバサバした性格も好きだし、双子たちの愛おしいこと。作中に出てくる固有名詞も最高で「ウータンクラン」って一般的な日本人分かんないだろwと思って爆笑したし、カールの堅物や食えない侍女メアリーも笑えるし、登場人物はみんなクセ強で、世の中の嫌な面や皆んなが実は抱えてる問題の描写とか、全体を通して大変私好みな話だった。
まるで映画を観ているような面白さ……と思ったらやっぱり映画化の話来てるみたいで納得。
あまりに気に入ったので、わざわざ買い直した。こういう出会いがあるから読書は最高ですね。
こういうお話が読みたかった!
2022/07/10 18:05
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:moon - この投稿者のレビュー一覧を見る
双子が題材、もしくは主人公が双子のどちらかだったりすると必ずといっていいほど悲しいお話ばかり。死別、離別、敵対、好敵手、復讐相手etc.と自分自身が双子だからこそ読了後はなんだかなぁと切なくなる。
だからこそ、このお話の楽しかったこと!こういうお話が読みたかった!
まず双子は仲がいい、しかも一緒に発火しちゃうなんて、その場にいる人たちや本人たちは怖いだろうけど、読み手は楽しかったです。どうやってそれを改善させていくのか、これからの夢とか将来とか少しずつ見出だされていく仮定も良かった。リリアンと双子の出会いは衝撃的。そこから愛情や労りが生まれてきて、それぞれ自分らしく生きようとする三人が眩しいくらいに素敵でした。なにより主人公のリリアンがいい。直感的に言葉を発して行動して目をそらさない彼女が格好良かったです。人にお薦めしたいです。
世の理不尽さの中に垣間見える美しさ。
2022/11/27 18:40
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゲイリーゲイリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
語り手であるリリアンは、これまでの人生で幾度となく周囲の人の身勝手さに振り回されてきた。
親からのネグレクトや親友の裏切りなどの経験を経た彼女は、厭世的で自身にも他者にも決して期待しない。
そんな彼女のもとに親友から届いた、とある双子の世話をして欲しいという依頼。
本作は邦題の通り、その依頼の発端となった「燃える」双子とのひと夏を描いた作品である。
自身と同様、いやそれ以上に不遇な境遇を送ってきた双子たちに自己投影をするリリアン。
ひと夏という期間限定の依頼だったということもあり渋々依頼を承諾した彼女だったが、次第に双子たちに対し愛情が芽生え始める。
また、これまで誰からも対等に接してもらえなかった双子たちも、対等に真摯に自分たちと接してくれるリリアンのことを信頼していく。
こうしたリリアンと双子たちの美しく愛おしい人間関係が描かれる一方、人間関係の負の側面も本作は描いていく。
愛してもらえないと分かっていても断ち切れない関係や、過去の出来事をうやむやにしようとした結果生じたぎこちなさなど、
決して他人事とは思えない割り切れない感情や関係性がリリアンのドライで自嘲気味なユーモアで語られる。
そうした人間関係の負の側面ばかりを経験してきた彼女は、この世界はしょせんこんなもんだと鼻で笑い茶化してばかりいた。
もちろんそれは自分を守る一種の防衛本能であり、私自身そうした人生観には共感できる。
しかし彼女は双子たちと共に過ごすことで、茶化すだけではなく、そんな世界の理不尽さ不条理さに声を上げ抗おうとする。
これまで世の理不尽さや不条理さの被害者だった彼女が、そうしたことから双子たちを守る庇護者へと成長していく様は、
理不尽なことや不条理なことで満ちている世の中であっても、諦めるにはまだ早いかもしれないという一筋の希望を見せてくれるだろう。