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思想史講義【戦前昭和篇】
「大正デモクラシー」から「ファシズム」・戦争へと移行した戦前昭和期は「国体」の再構築と「文明化」の超克がめざされた時代だった。大正期の民主化運動は衰退し、アジア回帰、国家...
思想史講義【戦前昭和篇】
思想史講義 戦前昭和篇 (ちくま新書)
商品説明
「大正デモクラシー」から「ファシズム」・戦争へと移行した戦前昭和期は「国体」の再構築と「文明化」の超克がめざされた時代だった。大正期の民主化運動は衰退し、アジア回帰、国家総動員、文化主義は戦前昭和期にアジア進出、総力戦体制、日本主義・国体論へと展開。大正期の「文明化」との差異化が「転向」の時代をへて「近代の超克」へ推し進められていった。様々な思想がせめぎ合い、複雑に絡み合いつつ日本がいかに戦争へと向かい、戦争を遂行したかを最新研究に基づき検証する。
目次
- 刊行の辞……山口輝臣・福家崇洋/はじめに……福家崇洋/「大正デモクラシー」からの移行/「転向」と「反ファシズム」の時代/挫折の「昭和維新」と戦時変革/虚構の共同性──「八紘一宇」と「大東亜共栄圏」/「近代の超克」と「道義」の提唱/第1講 多元的国家論とギルド社会主義……織田健志/丸山真男の述懐/「社会の発見」/政治の「社会化」/中島重の多元的国家論/ギルド社会主義と「自由」/マルクス主義の覇権/第2講 第二次日本共産党と福本イズム……立本紘之/第一次日本共産党解党と党再建ビューロー結成/福本和夫の登場と「福本イズム」の隆盛/第二次日本共産党再建と日本社会運動の変容/二七年テーゼとその受容/日本共産党公然化と相次ぐ弾圧/第二次日本共産党期の運動が残したもの/第3講 講座派と労農派……黒川伊織/講座派=共産党系マルクス主義者/労農派=非共産党系マルクス主義者/マルクス主義社会科学の発展/非合法共産党と無産政党各党/猪俣津南雄と野呂栄太郎──「プチ・帝国主義」論争から戦略論争へ/「天皇制」の発見──「三二年テーゼ」と『日本資本主義発達史講座』/山田盛太郎と向坂逸郎──戦後への射程/第4講 恐慌と統制経済論……牧野邦昭/根強い経済自由主義/金解禁と産業合理化による経済の効率化/金解禁論争/昭和恐慌と経済統制の始まり/ヴィジョンとしての「国防国家」/国家総動員、そして経済新体制へ/第5講 国家社会主義と満洲事変……福家崇洋/高畠素之と「国家社会主義」/「支配統制機能」と「大衆」/満洲事変と無産政党の再編/「ファシズム」との共鳴と対峙/日本主義との対立と「現実的革命主義」の可能性/第6講 転向……近藤俊太郎/転向論の困難/治安維持法と転向政策の浮上/日本共産党労働者派と平田勲/佐野学・鍋山貞親の転向声明/転向と宗教/思想犯保護と「日本精神」/統治と宗教性/第7講 農本主義の時代……藤原辰史/農本主義の骨格/農本主義論争の概観/横井時敬──「昭和農本主義」へのバトン/室伏高信──都市的な「土への回帰」論/橘孝三郎──労働と思想/権藤成卿──共同体と自治/農学者・農政官僚たちの農本主義/農本主義の遺産/第8講 昭和の日本主義……福間良明/「国体明徴」の狂信?/「学術維新」への情熱/護憲のラディカリズム/戦時体制との相容れなさ/「正しさ」の挫折/日本主義と学歴/下支えする教養主義/旧制専門学校と教養主義の温度差/第9講 国体明徴論……昆野伸幸/美濃部憲法学説の位置/天皇機関説事件から国体明徴運動へ/国体明徴論の盛行/『国体の本義』刊行/『国体の本義』批判の噴出/第10講 政治的変革の夢──維新・革新・革命……植村和秀/夢とその行く末 ほか
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戦前昭和の思想とは
2023/01/11 15:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かずさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦前昭和史に興味を持つと、当時の思想はどのような内容だったかを細かく知りたくなる。思想的には大正デモクラシーから考える必要がありアジア侵略、太平洋戦争にいたるまでの各思想をわかりやすく、偏りのない説明がしてある。8講から14講までが一番興味を引いた。国家総動員論への解釈も従来軍部主導と捉えられていたが、政党政治が平時の産業振興、戦時の総動員と軍部の暴走を抑えるための論がスタートとは。
軍事装備だけを増強しようとしている今の政党政治に学ばせたいくらい。共産党の思想変遷の歴史も落とせない部分。