ドラマの題材になりそうな
2023/10/02 15:49
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「化け込み」というのは、本来の素性を隠して、別人になりすます」ことらしい、女性記者(当時の言い方でいうと婦人記者)が女給や奉公人に化けてカフェや個人宅へ潜入する、もちろん、彼女たちにも「こんなの記者の仕事じゃない」という葛藤もあったようだ
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初に図書館で、手にしたとき、化け込み、の意味が全くわからず……。読み始めて、ああ潜入して記事を書くことかと。しかし、女性があの時代苦労されたのねえ、と思うことばかりでした
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投稿者:ta - この投稿者のレビュー一覧を見る
思っていた以上に面白かったです。ちょっとしたドラマみたいな感じで、いきおいもあって、一気に読み終えました。
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積んでいた本の中から引っ張り出してきてようやく読了。
明治から昭和初期、女性の社会進出とともに新聞業界にも婦人記者が登場したが、その仕事の多くは生活記事や訪問記事のような女性向け?記事ばかり。
そんな中、自身の体を張って潜入取材(当時はこれを化け込みと称したとのこと)を試みた婦人記者にスポットをあてた本。「大阪時事新報」の下山京子、「中央新聞」の中平文子、「大阪朝日新聞」の北村兼子。「読売新聞」の小川好子の四人の婦人記者を中心に当時の記事や様々な資料を丁寧な調査で彼女らの奮闘ぶりを描きだしていく。中でも中平文子は化け込み記事云々よりその人となりが著者の前著である「問題の女 本荘幽蘭伝」の主人公本荘幽蘭に勝るとも劣らない破天荒さで、その波瀾万丈としか言いようがない人生はこの本だけで終わらすのは勿体ない。一方、北村兼子はまさに才女で若くして亡くなれたのが惜しい人物。生まれてくるのも死ぬのも早かった。
後半は番外編?として、化け込み記事で潜入した様々な職業から選りすぐった読み物になっていてなかなか興味深いが、中でも「電話消毒婦」なるものが職業として成立していたとは知らなんだ。
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世界を騙した女詐欺師たちの登場人物も、生涯演じ続ける強い肝だけあれば誰でもできるのかと思わせましたが、化け込み婦人記者もまた、おわりに(269頁)によれば、「通訳や速記など専門分野を持たない女性でも記者を目指そうと思わせた化け込みは、女性の職業選択に影響を与えていた」とのことでした。さらに仕事現場のルポルタージュとして貴重な資料となる結果をもたらし100年前の女性がどこでどう働けたのか、知る機会になりました。
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2023年8月22日図書館から借り出し。
借り出し当初は1冊しかなかった蔵書が、返却時には10冊、予約数が60を超えているのにびっくりした。なかなかの人気本になっているみたい。
さて、内容は明治末期から昭和初期にかけての女性記者奮闘記といったところ。
女性の地位が高くなかった時代に、化け込み、現代風に言えば潜入ルポで男社会に伍して活躍し、その後の女性地位向上の礎石となった4人(下山京子・中平文子・北村兼子・小川好子)を中心とした伝記を、膨大な資料に基づきまとめている。
ここに書かれていることを真に受けるなら、現代に甦っても相当なお騒がせ女になりそうな気がすると同時に、強烈なオピニオン・リーダーになったであろうことを想像すると、なかなか楽しい。
当時の新聞記事コピーをそのまま掲載して雰囲気を出しているあたり、本づくりとしてもうまいなと感じる。
特に中平・北村のお二人は、日本のみならず世界を股にかけて活動しているというのには正直驚いた。
ただ、開始早々に特に目立つが、現代の観点から女性地位の低さを論じる著者の筆致には少々違和感が残るところがある。
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1907(明治40)年の下山京子「婦人行商日記 中京の家庭」から1937(昭和12)年の「記者の労働体験記 俄か仕込みの店員に化けて百貨店の売り場で働く」まで、記者という身分を隠しての潜入取材=「化け込み」や婦人記者の歴史について書かれた本。
参考資料と人名索引あり。
こんなふうに取材したものを新聞に載せて大丈夫なのか、と思うようなものもあったが、以前昭和30年代の新聞を見た時にも現代とずいぶん違う見出しや文章の感じだったのでさぞかし明治時代は、とも思う。
ただのトンデモ婦人記者にまつわる話ではない。女性が社会に出て働くということを考えてしまう。ちょっと気量良しだとすぐに「芸者」「芸妓」になればいいのに、と言われたりそっちにはめられそうになるとか、やれやれ。
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男性社会に飛び込んだ婦人記者たち。多くの記事は「化け込み」今で言う潜入ルポである。キワモノの企画も現代の視点から見ると貴重な記録。
男性社会に立ち向かい奮闘する女性記者。化け込みを足がかりにその足跡をたどる。
筆者の「挿話収集家」という肩書きも面白い。
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「化け込み」というと、ハラハラドキドキの楽しい潜入ルポ?(^^)と思って読み始めたがなかなか厳しい仕事(-_-;)しかし皆さんパワフル!(゚A゚;)番外編の職業図鑑が楽しかった♪
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2023年刊。「化け込み」は「身分を偽っての潜入」で記事ネタを収集する事。未だ男中心の分野・業界・組織は多いが、明治以降を中心に女性が社会人として活躍し始める一つの目立った仕事としてタイトルの視点で書かれた本。
興味深くはあるけれど、とにかく情報密度が高い。小説なら紙面が真っ黒でない場合も多いが、この本は脚注を含めて真っ黒。その上、昔の言葉使いでの表記混じり。資料としての書籍でもあるので年代・年数・価格その他、とにかく数字も多くて退屈だ…。
ついでとして女性が進出を始めた職業と、そこへの化け込み記事。今も昔も、男と女のドロドロした有様が今以上の差別・非道な扱いを伴って書かれていたり。正直、読み疲れた。
終盤はかなりページを飛ばした。これは一重に個人的な相性の問題だけど。教科書をじっくり読み進めるのが大好き!みたいな人になら勧められると思う。
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新聞の書評で興味を持って読んでみた。明治から昭和にかけて「化け込み取材」と言われた潜入ルポに携わった女性記者達の奮闘記。
身体だけでなく時には命を張り、完全なオトコ社会の中で強烈なバイタリティで取材を重ねた4人の女性記者の軌跡が紹介されている。社会問題に取り組むといったものではなくどちらかと言えば下世話なネタが多いが、軋轢を恐れずに(時にはめげながらも)突き進む彼女らの行動力に驚かされる。
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現在でも新聞・通信社記者のうち、女性の割合は男性の1/4程度(2022年の統計)だというが、戦前はさらに少なく、社内に片手で数えられる程度しかいなかった。運よく狭き門をくぐったとしても、担当となるのは家事やファッションなどの「家庭的」な記事ばかり。スクープなどの花形記事は男性記者の特権だった。
そんな女性記者の仕事事情に風穴を開けたのが、本書で取り上げる「化け込み」。いわゆる潜入ルポのようなもので、「本来の素性を隠して、すっかり別人のさまを装」い(日本国語大辞典)、内情を記事にしてすっぱ抜く、というもの。
男性記者による化け込みもあり、対象は日雇い労働者や香具師、屑屋といった下層労働階級だった。対して、女性記者はカフェーの女給や個人宅の奉公人に化けた。なるほど、これは男性記者にはできない。
こうした化け込み記事はなかなかの人気を博し、明治から昭和初期、一種の化け込みブームが起きた。本書は女性記者による化け込み記事、そして記事で紹介された職業を取り上げる。
個性的な女性記者たちや、現在では存在しない時代背景を背負った仕事が興味深い。
この時代、新聞記者の社会的地位はさほど高くなく、「でもしか」的な存在だったという。大学を出たものの、官庁や大会社に就職できなかった者がする仕事。市井の醜聞を拾う、インテリ界のヤクザのような位置づけだった。
女性の場合はまた事情が違う。そもそも職業婦人として選べる仕事はそう多くない。教育を受けられる層も限られていた。採用は縁故が多く、スカウトのような形もまれにあった。
男社会の中で、なかなか長続きしない女性記者も多かった。恋愛問題が引き金となって辞める者も少なくなかったようだ。
女性記者には高等教育を受けた優等生もいたが、はねっかえりもいた。鼻っ柱が強くないと、化け込みのような企画は思いつかなかったかもしれない。
先駆けともなった女性記者は、フランスの雑誌から化け込み取材のヒントを得て編集長に直談判。行商人に化けて富裕家庭に潜入する連載を始める。世間一般では上流階級と見られているような家でも、掃除が行き届いていなかったり、ケチだったり、奉公人が主人の悪口を言ったり。全般に下世話な内容なのだが、まぁこういう話はいつの時代も読み手がつくのだろう。
人気コンテンツとなった化け込み記事は、他の女性記者にも引き継がれる。
中には危ない目に遭う記者もいて、カフェーでストーカーまがいの男に付きまとわれたりする。さらに危ない例になると、家出娘の化け込みをしていた記者が中年男に連れ込み宿に無理やり連れていかれたりする。いずれも、辛くも逃れてはいるが、一歩間違えば、事件になりかねない。とはいえ、際どければ際どいほど、読者の受けはよかったのかもしれない。
化け込み記事からピックアップされた職業紹介には、三味線弾き、電話消毒婦、百貨店裁縫部、ダンサーなどがあり、時代の空気を感じさせて興味深い。電話消毒婦の仕事というのは、花柳界の公衆電話の脇に置かれた消毒器に液を補充するというもの。近代、さまざまな伝染病が流行したが、電話の受話器の不衛生さに注���して考案されたのがこれである。通話の前に受話器部分を消毒器の蓋についたスポンジで拭う。さて、どれほどの効果があったものか。あまり意味のないことに皆が気づいて自然消滅していったのかと推測される。
化け込みブームが下火となるのは、1930年代末ごろという。戦争の足音が近づき、それどころではなくなっていったのだろう。
とはいえ、「化け込み」的な精神は今でも完全に廃れてはいないようにも思われる。
変わった視点の近代史、なかなかおもしろい。
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なかぬか面白かった。化けこみ記事の存在を知らなかったのでなかなか読み応えがある。「婦人記者」のプライドの高さが透けて見える記事の内容に、色々思うところはあるが、ひとつ東京や大阪のような都市部の風俗を知るという意味でも楽しめる。
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写真資料や注釈も多く読みながら情報量が凄いと思っていたが、巻末の主な参考文献の量に圧倒された。
丁寧に説明はされているが、自分に当時の情勢などの知識が足りず読むのに苦労した。
関連資料を読んで知識をつけてからまた読み直したい。
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女性がメディアで働くということが
当たり前ではなかった時代、
一種のキワモノ的な潜入記事で
切り込んだ女性記者のドキュメント。
世相史としても女性記者の置かれた
環境の歴史としても貴重な記録。
組織の中で、ある程度、
数がいないと「普通に」仕事できない。
北村兼子の章を読み、今も構造は消えていないのでは?と思った。