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関東大震災と鉄道 ――「今」へと続く記憶をたどる
著者 内田宗治
1923年9月1日、関東大震災。10万人以上の死亡・行方不明者数を記録した日本史上最大規模の天災だが、人々の生活の動脈であった「鉄道」の被害に焦点が当てられる機会は存外少...
関東大震災と鉄道 ――「今」へと続く記憶をたどる
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関東大震災と鉄道 「今」へと続く記憶をたどる (ちくま文庫)
商品説明
1923年9月1日、関東大震災。10万人以上の死亡・行方不明者数を記録した日本史上最大規模の天災だが、人々の生活の動脈であった「鉄道」の被害に焦点が当てられる機会は存外少ない。カオスそのものの限界状況下、列車に載せた命を救うべく奮闘した鉄道員たち、互いを助け合った乗客たち―その機転と智恵から何を学ぶか? 残された声を丁寧に追う貴重な災害史。
目次
- 井伏鱒二の中央本線脱出行/第1章 根府川駅大惨事/1 国府津発真鶴行き普通列車/第2章 巨大ターミナルと群衆/1 東京駅「早く線路に飛び降りろ!」/2 上野駅 避難列車、発車できず/第3章 急停車した列車の運命/1 関東大震災、被害の全貌/2 一二五本の列車/3 被災列車にドラマあり「海へ墜落してでも進行させよ」/東海道本線 上り急行六列車(下関発東京行き 新橋駅)/下り貨物四一一列車(海神奈川駅)/上り普通七四列車(浜松発東京行き 大磯~平塚間)/下り貨物四二三列車(山北~谷峨間)/下り特急一列車(東京発下関行き 岩波信号場)/横須賀線 上り普通五一四列車(横須賀発東京行き 田浦~逗子間)/熱海線 横浜線 中央本線 東北本線/常磐線 上り普通八一四列車(久ノ浜発上野行き 土浦~荒川沖間)/総武本線 北条線/4 線路、橋、トンネル/東海道本線馬入川(相模川)橋梁/東北本線荒川橋梁/北条線の橋梁群/東海道本線箱根隧道/中央本線与瀬隧道/5 大破、消滅した駅/大船駅/藤沢駅/辻堂駅/茅ヶ崎駅/平塚駅/大磯駅/二宮駅/国府津駅/小田原駅/鎌倉駅/駅本屋倒壊/駅本屋大破/構内官舎倒壊/工場被災 大宮工場/大井工場/6 水を確保せよ/東京機関庫/品川機関庫/高島機関庫/国府津機関庫/山北機関庫/飯田町機関庫/上野機関庫/亀戸駅/安房北条機関庫/7 省線電車と私鉄/中央線 京浜線 山手線/現大手私鉄の前身各社線 京浜電気鉄道/東武鉄道/目黒蒲田電鉄/地方私鉄 小田原電気鉄道/熱海軌道/東京電燈江ノ島線/8 鉄道を襲った津波の数々/東海道本線・熱海線沿線 北条線沿線 横須賀線沿線/第4章 通信と報道/1 鉄道電話寸断/2 新聞記者奮闘す めざせ、大阪一番乗り/第5章 猛火との戦い/1 三日間燃え続けた東京市内/2 東京駅の存亡は、車掌室の死守にあり/3 翌日、猛火は上野駅に迫った/4 都心駅を焼き尽す/両国橋駅 神田駅/5 四〇〇両が、路上で灰燼に帰した東京市電/6 崩れた街を猛火が襲った横浜/横浜駅 桜木町駅 横浜市電/第6章 避難列車/1 避難民を無賃輸送/2 避難列車道中記 大震災に人情あり/3 救援に駆けつけた関釜連絡船/4 復旧への道のり/5 郊外電車の時代へ/おわりに/文庫版あとがき/解説 今尾恵介/参考文献
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紙の本
100年前の災害の教訓は色あせていない
2023/08/13 16:14
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:つばめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は2012年に新潮社より刊行された単行本に写真を多数追加、加筆修正を行った文庫本である。関東大震災における国鉄、民鉄、東京・横浜の市内電車の被害の全貌、地震発生時に運行中の列車の状況などが詳細に解説されている。当時の鉄道当局や鉄道職員が、災害と如何に向き合ったか、関東大震災から100年経過したが、その内容は今日でも大いに参考になる内容満載であり、一読の価値があると思う。内容の一部を以下に紹介する。◆地震発生時に首都圏の国鉄12路線に125本の客車列車、貨物列車、電車が運行中であり、そのうちの27本が脱線、転覆、土砂崩れによる海中への転落などの被害。地震発生後の火災による焼損車両は1433両。◆中央線、京浜線、山手線の電車区間で脱線した電車は皆無。◆地震発生後、東京からの避難民で国鉄の列車は屋根の上まで多くの乗客を満載、屋根から転落する悲劇も発生。これを防ぐため、屋根のない無蓋貨車で避難民を輸送。◆東京市電では、地震後、市民のほとんどが被災者でもあり無料としたが、殺到する乗客で大混乱。罹災証明書所持者のみ無料とすると罹災証明書を得るために区役所が大混乱、ほどなく無料乗車制度は廃止。◆関釜連絡船の二隻が東海道線不通区間の救済のため、品川~清水間で運航。◆地震発生時に鉄道職員は冷静沈着な行動で乗客の安全を確保した事例多数。◆当時はラジオ放送もない時代。情報提供は新聞が唯一の手段。東京の惨状を大阪の新聞社に知らせるため、新聞各社の記者はオートバイ、自動車などを駆使するも、結局落橋河川は泳ぎ、徒歩と鉄道利用の記者が一番乗り。
著者は、関東大震災と鉄道について多くの参考文献によりその実態に迫っている。ハード対策は当時に比べ進歩しているが、地震発生時の咄嗟の判断やその後の行動といったソフト面の研究は進んでいないと「おわりに」で指摘している。著者は、最終的にこのことを最も訴えたかったのだろう。
以下若干、気になったことを記載する。◆鉄道車両の数を「台」としているが、「両」とすべき。◆地震で鉄橋が「墜落」との記述があるが、航空機の墜落でもあるまいし、不適切な表記であろう。良書であり、著者は鉄道関連の著作も多いベテランだけに、些末なことであるが、この二点が猶更目立つ。
紙の本
鉄道という視点
2023/07/15 18:08
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ニッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
関東大震災について、その被害についていろいろ書籍が出ています。本書は、鉄道の被害という視点で、その被害をまとめたものです。道路や航空機が未発達の当時、鉄道は重要な交通手段でありインフラです。それが、どこでどのような被害を受け、どのように対処したか、それが網羅されている本書は、興味深いです。