執事とメイドの裏表:イギリス文化における使用人のイメージ[増補版]
著者 新井潤美(著)
メイドは玉の輿に乗れるのか?19世紀イギリスのミリオンセラー『ビートン夫人の家政書』によると、社交界では家庭の主婦が集まれば使用人の愚痴に夢中になったという。では、それは...
執事とメイドの裏表:イギリス文化における使用人のイメージ[増補版]
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商品説明
メイドは玉の輿に乗れるのか?
19世紀イギリスのミリオンセラー『ビートン夫人の家政書』によると、社交界では家庭の主婦が集まれば使用人の愚痴に夢中になったという。では、それはどんな愚痴だったのか?
本書では、伝統的な使用人がどのように文学作品に表われているかを考察しつつ、使用人についての記録やハンドブックなどを参照して、イギリス文化と文学における使用人のイメージとその実態(と、愚痴の生まれる社会的背景)を比較分析する。
下男の章で、ディケンズ『荒涼館』に登場する刑事が、屋敷の下男に対する聞き込みの際に、「下男にとって理想的な出世コース」をたどった父親の話をして親近感を抱かせる話が紹介されるが、Uブックス化にあたって新たに追加された「『使用人』ではない被雇用者たち」の章では、オースティン『自負と偏見』で、ウィカムがリジーに対して父親のまさに同じような話をして取り入るくだりが解説され、興味深い。
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使用人のステレオタイプの源とは
2024/03/27 14:47
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投稿者:ブラウン - この投稿者のレビュー一覧を見る
イギリスの文芸や使用人手引書を引用し、当時の人々が使用人たちに抱いたイメージを鮮明に描く。役職によって主人や他の使用人とどのような関係を築いていたのか、仕事内容や歴史的背景を交えて補足されており、実態よりもやや創作寄りかもしれないが、当時の屋敷の中の生活を想像する手助けになる一冊だ。
複数の資料を引用するため仕方のないことだが、使用人のイメージを伝えるために創作と現実を問わず具体的なかつ個別にして複数の人間関係を説明をしているせいか、頭の中だけで相関図を作るのが難しく感じる箇所が多かった。単に私が人間関係に興味を持てないだけ、という自覚は常々持っていたが……その悪癖がこれほど読書の足を引っ張るとは。本書の趣旨から外れはするものの、どんな発見があるかわからない読書の醍醐味を味わえた。