紙の本
東日本編
2023/12/10 03:11
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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
直木賞作家で歴史小説の名手・今村翔吾が描く、各都道府県ごとに縁の武将を取り上げた掌編小説、東日本編23人の胸打つ物語。
家族と過ごす優しい時、友と交わす固い誓い、戦国武将たちの戦の合間のなんでもないひとときを、独自の視点でユーモラスに演出した作品。
各10ページ程度に潔く纏められているのも武将たちにピッタリで、取っ付きやすくて幅広い層にオススメ。お堅い歴史小説とは違い人間性がわかるエピソードが多く、時代背景の違いから歴史に苦手意識がある方には特にオススメしたい。
誰もが知る有名な武将だけでなく、歴史好きしか知らないような武将にもフォーカスされていて、著者が何故その人物を選んだのかを作品を通して知っていく。その過程がとても楽しかった。
「富田長繁/高くとんだ」今で言うサイコパス思考。
「金上盛備/雅なる執権」「宇都宮国綱/春に向けて耐えよ」受け継がれた直向きな信念。
「竹中半兵衛/完璧なり」完璧主義者の究極の戦。
「里見義弘/青に恋して」ノリの良い水軍衆と、ドラマチックな展開が印象的な、武将の恋愛模様。
「津軽為信/津軽という家」武将を陰で支える女たちが戦況を左右する頼もしさ。
「伊達政宗/頂戴致す」茶目っ気たっぷりな独眼竜。
他、多彩な物語に最後まで飽きる事なく、何度も読み返したくなる一冊。
武将たちの絆も勿論だが、戦ではあまり出てくる事のない女たちの姿が描かれた物語が特にお気に入り。彼らの人となりや日常を覗けて、遠い時代の人たちを少し身近に感じられたような気がした。
紙の本
どれも面白い
2024/05/11 15:38
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
今村氏の作品だけあってどの作品も面白い。
「汁かけ飯の戦い」
北条氏康と息子たち
偉大な父に対して氏政と弟たちが仕掛けたのは…
戦国武将といえど一人の父親であり息子である。
この空気感が良かった。
「青に恋して」
里見義弘とその初恋のひと。
荒々しい男の純情が清々しい。
「頂戴致す」
伊達政宗の物語。
権力を持った男がやんちゃな若者をかまいたがる気持ちがなんとなくわかる。
あの刀は政宗から頼房への渡った。
頼房の歓喜を見れば信長も秀吉も笑って許すのではないだろうか。
全体的にカラリとした空気が流れる一冊。
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オムニバス形式で一話一話は本当に短いんだけど、戦国ものらしく胸が熱くなる話も多く、大変良かった。
隙間時間に少しづつ読めるのもいい。
個人的には伊達政宗の話が一番好きだったかな。あと、最後の真田家の話は同作者の「幸村を討て」のスピンオフ的な感覚もあって良かった。
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期待通りの作品でした。やっぱり今村先生の本は面白いです。主人公の目線で書いてあったり、その武将を違う人の目線で見るなどいろいろな書き方があってとても面白かったです。ちなみに僕は西日本編より東日本編の方が面白かったです!
戦国武将伝 東日本編 TOP10
⑩松斎の空鉄砲 北信愛
⑨猿千代の鼻毛 前田 利常
⑧竹千代の値 徳川 家康
⑦裸の親子 最上 義光
⑥暮天の正将 武田 信玄
⑤武州を駆ける 太田 資正
④完璧なり 竹中 半兵衛
③頂戴致す 伊達 政宗
②汁かけ飯の戦い 北条 氏政
①阿保に教えよ 織田 信長
さすが今村先生っていう感じの本でした!【小5】
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文献をもとにした逸話を、さらに色をつけた歴史小説の東日本武将編。
家康や信長、北条氏政、今川義元の逸話をそういう風にもっていったか、面白い。
武田と上杉の物語も連なっていたり、お互い讃え合っている感がしびれた。
22冊目読了。
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東日本の戦国武将23人を描く短編集。
長野業正、徳川家康、北条氏政、里見義弘、織田信長、
矢島満安、今川義元、最上義光、太田資正、武田信玄、
富田長繁、上杉謙信、津軽為信、佐々成政、金上盛備、
竹中半兵衛、宇都宮国綱、佐竹義重、蠣崎慶広、
伊達政宗、北信愛、前田利常、真田信幸
その武将の人生の一コマを切り取って描いたような、
味わい深い短編集です。それぞれが実に短い物語なのに、
その後にある史料・文献から得た想像力での創作は、見事。
主人公の視線、近しい者たちの視線が鮮やかに語る。
親子や兄弟、夫婦や男女、主従の、信愛と確執。
心情溢れる者が居る一方で、乱世の怪物も居る。
彼らによる、国のため、民のため、己のため、
愛する者のため、尊敬する者のための、喜怒哀楽の発現。
里見義弘と正妻になる女性。今川義元の運命の妙。
百匹の犬の伝令。佐竹義重の鬼に成り切った生き様。
武田信玄「暮天の正将」と上杉謙信「蒼天の代将」の心の交錯。
自らの兵法に完璧を求め、追求する竹中半兵衛の姿。
領地と己を守るための伊達政宗と前田利常の腹芸。
北信愛の妙案と心意気。真田で始まり真田で終わる物語。
読後、これらの武将の評伝を読みたくなってしまう、誘いも。
でも、その前に西日本編を読まなくちゃ。
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群雄割拠の戦国の世。日本各地で家の為、主家の為、意地の為、友の為に命を賭す男達の物語。
47都道府県それぞれに1人、縁のある武将を取り上げた掌編小説集。熱くて、愉快で、時にたぎる23編。今村先生、流石です!蠣崎慶広編が特にお気に入りです。
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新作紹介で見た時正直?疑問しかなかった。また発売されて実際に手に取ってみても?どうしても違和感があった。それは著者作品の時代背景や人物描写、登場人物の心の機微、ここまで深く表現できるのか、という今村ワールドの大フアンの私としては23作の短編小説どれぞれに物足りなさを感じるのではないか?という不安であったかもしれない、しかし実際に読み始めて正直驚いた!それぞれから著者作品の世界観が伝わってくる、それどころか歴史上名前は聞いた事はあるし、どういう役割を果たしたか、という知識はあっても、小説の主人公として描かれる事のなかった武将なども息遣いが伝わってきそうなほどしっかりと描かれている。これはこれで圧巻と言うしかない。読後すぐに「西」を買いに行く!
幼い頃、お寺の和尚さんが縁側にて日替わりで語りかけてくれる様なホッコリする印象をうける!
中でも上杉謙信、前田利常、北信愛などの話は良かった!
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名のある大名や武士だけでなく、歴史の表舞台に登場しない人物にスポットを当てた興味深い本だった。東日本それぞれの県にまつわる武将を描く手法も面白い。
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これはダメだわ
これは良くない
47都道府県それぞれに縁の深い戦国武将を取り上げたショートストーリーを東と西に分けての『戦国武将伝』
企画としてはすごいな〜とも思うし、こんなことができるのは今村翔吾さんくらいだわ!とファン心理爆発で贔屓の引き倒しなんですが、良くない
さすがの今村節で全部面白い!ことごとく面白い!ハズレなし!ほんと良くない
だってあれよ?
全部これこっからさらに面白くなりそう!ってとこで終わってたり、これ膨らましたらかなり面白い長編できんじゃね?ってものばっかりなのよ!
辛い
なにこのお預け状態
ペットのワンちゃんが「待て」を覚えたのが嬉しくて何回も「待て」しちゃって延々とご飯を食べさせない飼い主か!
そしてわいは忠実に「待て」し続けるかわいいワンちゃんか!
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地域を代表する武将たちの短編集で、どの話も良かったが、武田信玄と上杉謙信との絆を匂わせる描き方にグッと来た。
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知っている名前も知らない名前も盛りだくさん。西から読むか東から読むか迷って東からにしました。武田信玄と上杉謙信の不思議な絆は読んでいてやっぱり楽しい。子供との喧嘩をお風呂で和解するお話もあって、今も昔も変わらない所もあるんだなぁと妙に嬉しくなったり。北条氏の汁かけ飯の話に笑ってしまったり。短くても楽しめる章と、もう少し読みたい章があって、ここから誰かがまた今村さんの長編に繋がっていけばいいなぁ、と思った読後。西日本編へ。
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東日本23県の特徴ある武将のエピソードにまつわる話をまとめた本作。300頁強で1県1名、計23人分もの話を収録しているため、1話に対してやや物足りなさを感じるものの、「すり替わった大名」「百匹の犬を飼う城主」「狂戦士化する武将」「風林火山を掲げる越後の虎」「鼻毛で守る国」など、ちょっと変わった話も多く、それなりに満足できた。マイベストは静岡の「義元の影(今川義元)」。東日本編の最後にはやっぱり真田信幸を持ってくるあたり、今村翔吾さんの真田愛を感じる笑
それにしても、多くの話に北条家がでてきており、東日本の各国において、いかに北条家の影響が大きかったかを窺い知ることができる。
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23篇の短篇が収められた1冊である。素早く読了に至ったという感だ。
本書は「東日本編」だが、自身は既に読了した「西日本編」と対を成している。「対」というよりも、「1つの纏まりを便宜的に分冊」という理解がより妥当かもしれない。『戦国武将×四十七都道府県』と銘打って雑誌連載に供した47篇を書籍化するということで、都道府県別に「東」と「西」とで各々1冊にしたということである。
この「東日本編」は、岐阜県以東の1都1道21県に纏わる「戦国武将」を取上げた篇が収められている。東海地方、北陸地方、関東地方、東北地方に加えて北海道という各地域に所縁の人物達が取上げられている。
各作品が各々に個性的である。目次には作品題、取上げる人物、都道府県名が挙がる。ここで挙がった名の人物がそのまま視点人物になっている作品も在れば、その限りでないモノも交る。少し興味深い。
限られた紙幅、雑誌連載時のページ数、文字数の制約という中で綴られた作品であるが、凄く知名度の高い人物も、些か失礼ながら「これは?誰?」と問いたくなってしまう人物も同列に取上げられている。
知名度が高い人物に関しては「意外な一面?」、「或いは秘密が在った?」というような筋書きが目立つように思う。対して、知名度が高くない人物に関しては、「こんな場所、こんな時期に、こういう人物が在った!?」と少し驚くような内容も在ったと思う。
「23/47」を読了したので、これまでの「24/47」と合わせて「47/47」になった。47の都道府県に纏わる人達に関する“事典”というのとも異なると思う。そして各篇で取上げられる人物は「〇〇県と言えばXXXX」という程度に高い知名度の人物が選ばれているということでもないような気がする。或いは「文学を綴る際の興趣」で、取上げる人物を絞ったのだと想像する。それでも物凄く知名度の高い人物が登場はしているが、それはその有名な人物こそ「文学を綴る際の興趣」が深いということなのだと思う。
これは少し愉しいので御薦めしたい。他方、「2巡目」で更に47篇登場するというような場合も在るのだろうか、と余計なことも考えてしまう感だ。
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1話10分で読める短編集。
ちょっとした合間時間に読めて、「もうちょっと読みたい!」と思わせるさじ加減が絶妙。
都道府県ごとに1人ずつ歴史上の人物を取り上げる、ならともかく、
「戦国武将」に限定するあたりがすごい。
超有名武将でも、超有名エピソードの裏側を独自の解釈で描くなど、
筆者のリサーチ力とイマジネーションが冴え渡っている。
ほぼ同時代の人物たちなので、
互いに影響を及ぼし合っていることもしばしば。
武田信玄「暮天の正将」上杉謙信「蒼天の代将」
竹中半兵衛「完璧なり」黒田官兵衛「未完なり」(※黒田は西日本編)
など、タイトルも内容も響き合っていてしびれる。
かと思えば、「風の中のレラ」のような冒険小説風の作品もあって、
しかもどうやらこのレラは、別シリーズの登場人物らしい。
同じような仕掛けがまだ隠されているのかも。