- 販売開始日: 2023/12/08
- 出版社: 農山漁村文化協会(農文協)
- ISBN:978-4-540-17187-1
それでも「ふるさと」 「牛が消えた村」で種をまく
著者 豊田直巳
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使...
それでも「ふるさと」 「牛が消えた村」で種をまく
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商品説明
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
家族や仲間と牛飼いや村づくり取り組み、原発災害で牛が消えた後も再び草を刈り、種をまき、地域のリーダーとして挑戦を続ける元酪農家の姿を活写、困難な中で悩みながらも立ち上っていく人間の再生の可能性を描く。
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「美しかった」村は記憶にしかないけれど。
2018/06/15 16:54
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投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
2011年の福島原発事故後の人々を扱った写真集です。登場する村は福島県でも山の奥、阿武隈山地に近いところ。
「日本一、美しい村」とよばれた、と冒頭に書いてありますが、ここにその姿はありません。原発事故の放射能は、地震や津波の被害はそれほどでもなかったこの場所にも及びました。そこに暮らす酪農家の人たちにも例外ではありません。
なにごともなかったような畑地の穴にタンク車から牛乳を捨てている写真。その数ページ先には「しぼらなくては牛が病気になる」「しぼっても売れないけど」という文章。
避難勧告で牛を置いて避難した後の写真は残酷に見えるかもしれない。置いていけないからと連れて行かれる牛の写真もある。放射能を浴びた牛では処分されても食肉にはならないだろう。でも、どうすればよかったのか。安易に「可愛そう」と言えない世界がそこにある。
避難は何年も続き、土地は荒れていく。作ってきた土は汚染土として黒い袋に詰められて積み上げられている。それでも「すぐには売れないけれど」とソバのタネをまく村人たち。放っておけば土地はもっと荒れるから。
著者のこの『それでも「ふるさと」』という写真集のシリーズには何度も登場する「除去された汚染土」の黒い袋が累々と並ぶ風景には、昔の「美しかった」村の姿はない。今は記憶の中にだけ残っている。
1986年のチェルノブイリ原発事故でも、避難解除後に戻って生活を始めた人たちがいるそうです。故郷とはどういうものか、を考えさせられます。
ほおっておけば戻ることはない。少しでも取り戻したい。何かをしていないといけない。そんな思いが溢れてくる。