表現の自由 「政治的中立性」を問う
著者 市川正人(著)
本書は「政治的中立性」という曖昧な概念によって人々の言論活動を制限することの危険性を説くものである.公務員や放送への要求であるこの言葉は,いつしか独り歩きし,自由であるは...
表現の自由 「政治的中立性」を問う
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商品説明
本書は「政治的中立性」という曖昧な概念によって人々の言論活動を制限することの危険性を説くものである.公務員や放送への要求であるこの言葉は,いつしか独り歩きし,自由であるはずの私たちの言論空間が委縮して久しい.「何となく,これを言ったらまずいのではないか」という空気は,この国のそこら中に漂っている.
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権力者を規制・抑制する憲法を逆に住民を管理する手段としようとする
2024/11/24 23:09
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投稿者:雑多な本読み - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、「政治的中立性」を理由に表現の自由を制限することの危険性、問題性を明らかにして、民主的な社会を成り立たせる重要な人権のひとつである表現の自由、特に国政や地方自治に関わる政治的な表現を生き生きしたものにしていこうとするものである。「政治的である」とか「政治的に中立である」とう幅広い意味のある、あるいは意味不明といえる言葉を簡単に発する政治家(政治屋というほうがふさわしいか)が多い近年の動きに対して、疑問を投げかける。政治的に公平でない放送をすれば、低波すると軽く発言する時代に警鐘を鳴らす。軽い発言が、幅広い意味を持つ言葉であればあるほど、将来に重大な意味を持つことがありうることを教えてくれる。本書の目次を見ると、
まえがきー「政治的中立性」を問う
第1章 表現の自由はなぜ重要か
第2章 公務員と政治的行為
第3章 表現活動への「援助」
第4章 放送の自由と公平性
終 章 「政治的中立性」と民主主義
参考資料 あとがき となっている。
以上のように展開されている。表現の自由というが、一般的に情報提供の自由、情報受領の自由、情報収集の自由、政府情報開示請求権からなると捉えられる。情報の伝達に関する活動の自由といわれる。最高裁は憲法上、他の条文に関わるものとして理解されているともいわれている。歴史的にみて、エマーソンやミルトン等の名前が出てくる。憲法上は表現の自由について、優越的な地位をもつとされるが、民主社会に不可欠な権利であることは明確だろう。それでも政治的表現と非政治的表現には差があるとか、多くの議論があることが紹介される。表現の自由は規制に弱いデリケートなものことを明らかにし、自己規制しやすい性格のものであることを解説する。間接的な制約も表現の自由を侵害するという。第2章で、公務員の政治的行為が制限されていく歴史、GHQの政治的な動きから、裁判官がまるで聖人君子として抑圧されていることに疑問を呈する。それどころか、最近のGHQすら驚くであろう維新による地方公務員に対する市民的自由すら認めない動きに、多くの問題があると指摘する。政治的な力に忖度する公務員の過剰な市民への規制を次々と取り上げる。放送の自由と公平性というのは、特に近年認識される状況であろう。日本の経済成長が横ばいになり、未来が見えなくなるとこうしたことが起こるのは、世界的な状況であるかもしれない。未来への見通しが立たなくなると、差別と分断がせり出してくる。新書という形でかなりわかりやすく出てくるのは好ましいことだが、さらにわかりやすくということが要求される時代になってきたと感じる。しかし、18歳から選挙権が持つことができたので、高校生から政治教育が必要となったことは価値がある。さらに被選挙権も18歳から持つことになれば、学校はもとより、社会に一石が投じられるかも。表現の自由を整理したいには丁度いい本だろう。一読されたい。
表現の不自由な国
2024/08/24 16:31
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投稿者:とめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
政府見解に批判的な表現活動に「政治的だ」というレッテルが貼られる日本の、政治的中立性(公平性)を理由に表現の自由を制限する危険性や問題性に著者は怒っている?