シンボルエコノミー 日本経済を侵食する幻想
著者 水野和夫
中世化する21世紀世界G7で、日本だけが経済成長していないとされるが、本当に正しいのか。また、なぜそうなるのか。ベストセラー『資本主義の終焉と歴史の危機』で、長期にわたる...
シンボルエコノミー 日本経済を侵食する幻想
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商品説明
中世化する21世紀世界
G7で、日本だけが経済成長していないとされるが、本当に正しいのか。
また、なぜそうなるのか。ベストセラー『資本主義の終焉と歴史の危機』で、
長期にわたるゼロ金利を、資本を投下しても利潤が出ない資本主義の「死」と看破した著者。
本書では、シンボルエコノミーがリアルエコノミーを凌駕し、
中世化する21世紀世界を読み解いていく。
古びた理論にしがみつく日本政府や日銀、経営者を批判し、
経済成長率の“まやかし”を明らかにする。
世界に先駆けて「定常状態」に移行する日本経済はどこに向かうのか、
われわれはいかなる選択をすべきか。その答えがここに!
(以下、目次)
第1章 幻想のインフレ時代
第2章 経済成長という病
第3章 リアルエコノミー vs.シンボルエコノミー
第4章 中心の喪失
第5章 作られたバブルと、ビリオネアの増殖
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閉塞した時代を突破するにはどうしたらいいのだろう
2025/04/12 10:37
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雑多な本読み - この投稿者のレビュー一覧を見る
シンボルエコノミーという表題を見ると、どういう意味だろうと思う人がいると思う。リアルエコノミーと対比されてわかってくる。読みだすと、経済学の基礎知識が必要だとよくわかってくる。新書というレベルだろうか。新書だからレベルが低くといいとうものではないが。本書では、現在のインフレは原油等のエネルギー、食料品により発生し、他は抑えられているというのは、円安との関連で良くわかる。経済学でマネタリストの主張である貨幣数量説は閉鎖経済で成立するというから、資本の自由化、グローバリゼーションをすえることは自己矛盾のように思える。人口の多少で1人当たりのGDPの差が出ることはマルサスの理論どおりといえるが、アメリカの人口3.3億人で、1人当たりGDPは大きいのは例外と指摘する。たしかに、日本人が思い込むほど、アメリカ社会は国際標準とはいえないし、格差も驚くほど大きい。いろいろな意味で例外だろう。本書の目次を見ると、
はじめに
第1章 幻想のインフレ時代
第2章 経済成長という病
第3章 リアルエコノミーVs.シンボルエコノミー
第4章 中心の喪失
第5章 作られたバブルと、ビリオネアの増殖
おわりに
注 参照文献 となっている。
以上のように展開されている。経済学での定常状態を想定しており、インフレ率・利子率・成長率の3つがゼロになると該当するという。異次元の金融緩和、ゼロ金利政策という副作用の大きい金融政策をとっても、日本経済が復活できなかったことと一致していることになる。日本が高度成長により経済発展し、貿易黒字を重ねてきたが、その時代を過ぎ、世界に向けて投資を行う日本の姿は、アメリカ等を追っていると言えるのだろう。ゼロ金利でこれまで築き上げた金融資産の利息収入は大きく減り、個人の収入が企業等に吸収されたといえる。それを毎年10兆円とする。大企業を中心に多額の内部留保を積み上げ、多額の配当を行ってきた内から、海外に流出したものも多いだろう。生産性向上に見合った77.5兆円分を賃金として支払わず、内部留保してきたことを批判する。当然だろう。これまで積みあがった600兆円を超える内部留保を本来、所有すべき人に返すのは当たり前といえる。アメリカのトランプ大統領の内向きな関税強化では解決しない問題が日本だけでなく、多くの国で起こっているのだろう。やはり、こうした著書を多くの人に読んでもらいたい。
まずは内部留保金課税で格差拡大を食い止めること
2025/02/15 17:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
名著「資本主義の終焉と歴史の危機」で「金利ゼロ、利潤率ゼロ、資本主義の死」を論じ、「それでも成長を追い求めれば多大な損害が生じるだけ」と警鐘を鳴らしたのが10年前。愚かな「アベノミクス」や黒田の「異次元金融緩和」による日本の惨状は、水野氏の主張通りの展開となったということ。株価重視のシンボルエコノミー政策に振り回され、リアルエコノミーが侵食。実質賃金は低下し、一握りの富裕層だけが儲かる世界となっています。処方箋としては、まずは内部留保金課税で格差拡大を食い止めること。果たして実現できるでしょうか?