木曜日だった男 一つの悪夢 みんなのレビュー
- チェスタトン (著), 南條竹則 (訳)
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紙の本木曜日だった男 一つの悪夢
2019/01/29 09:34
チェストタンによるチェストタン小説
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は推理小説、探偵小説として売られていることがある(そういったジャンルに分けたほうが売りやすいということもあるかもしれない)。しかし、その実はチェストタンによるチェストタン小説であり、他の誰もが書くことのできないしろものだ。主人公・サイムは刑事で無政府主義者の組織にコードネーム「木曜日」として潜入するというと、やっぱり推理小説じゃないかと言われそうだが、その組織の構成員全員が刑事で、とくにラスボス的存在と思われた「日曜日」までもがそうだとわかってしまうという展開は途中から読めてはいたのだが、彼の世界に引き込まれていく。最後も、結局、夢だったのか、現実だったのかはっきりしないという話では、これは決して推理小説ではなくて、チェスタトン小説以外の何物でもない
紙の本木曜日だった男 一つの悪夢
2017/02/12 15:02
この新訳はおすすめ
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アジア坊 - この投稿者のレビュー一覧を見る
チェスタトンの新訳が相次いでいますが、好みや評価は様々でしょう。チェスタトンに限っては、旧訳の方が古めかしくても良いという場合が多いのですが、「木曜の男」に関しては、光文社のこの新訳の方が読みやすくて内容も理解しやすくなっています。
紙の本木曜日だった男 一つの悪夢
2009/05/30 23:47
奇想天外な味のメイン・ディッシュの物語の後に置かれた「解説」文。このデザートがまた美味で。
12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
吉田健一訳の『木曜の男』(創元推理文庫)以来、南條竹則の新訳による本作品を久しぶりに読んでみました。
主人公ガブリエル・サイムの恐れと不安がスリリングな熱気をはらむ前半から中盤にかけての歩みと、俄然、一点に向けて物語が収束していく後半のスピーディーな展開と。本文庫の「訳者あとがき」に<この話が一種壮大なピクニック譚だ>とありますが、第十一章「犯罪者が警察を追う」以降の展開は、確かに、ファンタスティックな幻想「ピクニック譚」と言ってもいい妙味がありますね。はらはら、どきどきしながら、頁をめくっていました。
ガブリエル・サイムとガブリエル・ゲイル、主人公の名前が似ていること。「金色の太陽」というカフェと「昇る太陽」という宿屋、話の中に出てくる店の名に、両方とも「太陽」の二文字が入っていること。本作品(1908)のおよそ二十年後に書かれたチェスタトンの『詩人と狂人たち』(1929)のことを、ふっと思い浮かべたりもしました。
訳文は読みやすかったです。吉田健一の訳文の独特な旨味、あれはもう一種の名人芸かなと。文章の馴染みやすさ、分かりやすさという点では、この南條訳に軍配が上がるでしょうか。でも、どちらもそれぞれにいい訳だと思います。蛇足ですが、南條竹則訳では英国怪談のアンソロジー『怪談の悦び』(創元推理文庫)がとても気に入っています。
それと、訳者による本文庫の「解説」、これがよかったなあ。チェスタトンの思想、友人に恵まれたその人生を、ささっとスケッチして見せてくれたような案内文。奇想天外なこの物語を書いた作者の人となり、その一端に触れ得た思い。読みごたえ、ありました。解説文の途中に挟まれた一枚の絵も、雰囲気があって魅力的。机に向かって何か書いているチェスタトンと、それを見守っているふたりの親友、モーリス・ベアリングとヒレア・ベロックを描いたこの絵は、ジェイムズ・ガンの「団欒図」(1932)。
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