ブルー・ブラッド みんなのレビュー
- 須賀しのぶ, 梶原にき
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紙の本ブルー・ブラッド
2001/11/08 10:49
陰謀渦巻くブルー・ブラッドの世界
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投稿者:うつほ - この投稿者のレビュー一覧を見る
『キル・ゾーン』シリーズの番外編とも言える話。しかし、ただの番外編としては勿体無い。これだけ読んでも充分面白い。また、コバルト文庫というだけで手に取らないのも勿体無い。
23世紀の火星都市。クリューガー家の嫡男ヴィクトールは、特殊な遺伝子操作で生まれたユーベルメンシュだ。ユーベルメンシュには半身と呼ばれる存在がある。文字通り双子で生まれてくるのだ。不安定な存在の彼らには、お互いが無くてはならない存在である。だがしかし、ヴィクトールの半身アルトゥールは、ある日死に至る。そんな彼が気にするのは、士官学校の試験で彼の後ろに付けている辺境惑星出身のユージィン。
そんなおり、彼はブルー・ブラッドの総帥アフォルター家のパーティーに招かれ、その娘アンゲリカに告げられる「総帥も彼には信頼を寄せている」と。いけるかもしれない。この国を動かす最も中心へと。舞い上がるヴィクトールだが、彼の描いた未来予想図は狂ってゆく。
陰謀渦巻くブルー・ブラッドの世界と、ヴィクトールとユージィンのかけひきがいい。『キル・ゾーン』みたいな長いシリーズに手を出すのを躊躇する人も、こちらから入ってみてはどうだろうか。
2001/11/08 11:12
待ち受けるものは…虚無?
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投稿者:うつほ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ユージィンへの風当たりは日々に強くなってゆく。そんな中、やっと出来たユーベルメンシュの息子は、研究所の突然の事故によって失われる。何が起こったのか、どうして起こったのか、そして息子の生死を知ったのはユージィンのみ。だが彼は、誰にも真実を告げようとしなかった。その後彼らの間には《普通の》子供さえ産まれる兆候はない。直系の男子しか総帥位を継げないことから、種馬の役目さえ果たせないユージィンへの露骨な皮肉が目立つようになる。
ユージィンが召集した軍務省の会議では、皆わざとらしい仮病を仕立てて、欠席を決め込んでいた。これもえり抜きのブルーブラッドの家系にあるビュールマンやヘトリングのいやみである。その日の午後、ヴィクトールがテロに襲われたのを国家保安部の情報からいち早く聞きつけたユージィンは、すぐさま行動を開始した。前の会議から二日後、二度目の召集。総司令官ヘトリングは出席、参謀本部のビュールマンもいちおう代理をたててきた。そして、ユージィンのたくらみは既に始まっていた。
『ブルー・ブラッド 復讐編』の内容を、ユージィン側からの真実からも語りながら、きっちり取りこぼし無く進めている。陰謀、策謀、欺瞞、瞞し合い、嘲笑、皮肉、嫉妬、嘘、なんでもござれ。ユージィンはどこまで突き進むのか。この虚無編以降の彼の話は、ぜひ『キル・ゾーン』シリーズにて。
2001/11/08 11:03
23世紀の火星で、ユージィンの孤独な頭脳戦が始まる
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投稿者:うつほ - この投稿者のレビュー一覧を見る
絶対的な権力を手に入れるため、アフォルター家の婿としてアンゲリカとの婚約を発表したユージィンだったが、後ろ盾も、家柄も何もない彼への反発は少なくはなかった。見えないところでの嫌がらせは後を絶たない。だが、ブルー・ブラッドの総帥ハインツは、彼の庇護を一切行おうとはしない。ユージィンは表向きはアンゲリカの婚約者だが、まだ真に認められているわけではなかった。これくらいのことで潰れてしまうのならそれまでの男だということ。彼は何でもない風を装い、それらを無視し続ける。
ルナ・マーセナリーズ。美しさと、洗練された物腰、喋り、社交術を駆使してブルー・ブラッドの後見を得て、上流社会で力をふるう女たち。彼女らと、ビュールマン家の綻びと、そしてヴィクトールとをそれぞれ絡めての巧妙な仕掛け。23世紀の火星で、ユージィンの孤独な頭脳戦が始まる。
キル・ゾーンよりも、ブルー・ブラッドのシリーズの方が個人的には面白いと思ってる。この世界観の話の中で一番の嫌われ者らしいユージィン。でも、私はユージィンが大好きだったりする。目的を遂げるためなら、笑って人を瞞すことも厭わない。表面的には嫌な人間だと思われやすいんだろうが、順風満帆に生きてきたわけじゃない。いや、苦境の中をはい上がってきた人間だ。その苦境を回りにそれと覚らせないまま、いつのまにか高い地位にのし上がっているんだからそれもアリかな、と。
目に見えた綺麗さなんていらない。汚くても何かを全てなげうっても自分のやりたいことをやり遂げればいい。そう言う生き方の方が好き。なんだか。
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