常野物語 みんなのレビュー
- 恩田 陸
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紙の本蒲公英草紙
2008/06/19 11:45
こころに一陣の春風か
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:菊理媛 - この投稿者のレビュー一覧を見る
上品な口調で語られる物語。村の名士のお屋敷。絵に描いたような両親、気位の高い長女、美しい母に似た長男、粗野な次男に、病弱な美少女の末娘。まぁ、このあたりはよくある設定ですな、という感じ。
お嬢さまのお話し相手としてお屋敷に上がる少女が語り部なので、物語はこの少女目線で進められてゆく。初日にやんちゃな次男にエライ目に遭わされて、凛々しい長男が助けてくれる。この流れで行くと、この長男に恋をして、月日が流れるうちに次男と…というような展開を想像したが、これは見事に外れてしまった。では、この長女に苛められ…というお決まりのコースも、初対面でちょっとしたことがあったに留まった。ではでは、この美しい末娘の顛末は…というあたりはお決まりの流れをたどってしまったが、物語の本筋は途中から登場する遠野の家族によって、ありきたりな設定に一味添えられ、不思議な物語になっている。
大筋は予想どおりと言ってしまうと身も蓋もない話だが、不思議な能力を持つ遠野の一族の存在によって、たくさんの断片を1つにつないでいる。私的には、この話は必要なの? と思う部分も無くはないし、ところどころに矛盾点を見つけないでもなかったが、そこは不思議な一族なのだから、常識では計り知れないのだろうよと納まりをつけた。
最後が終戦の窮乏の中、「あの頃が夢のよう」と語る、今やお婆ちゃんとなった語り部の少女の切ない感想で終わるのだが、この展開がイマイチ本筋とつなげる必然性に欠ける気がして、ちょっと残念な終わり方だったかなと思った。
この遠野の一族を描いた作品があるらしいので、機会があったら読んでみようかとも思うが、それを知らなくても単独でちゃんと一作品としてまとまっているので、単品として十分鑑賞に値すると思う。
紙の本光の帝国
2006/12/24 18:05
少し変わった能力を持った人々の連作集
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮城県のとある地域にあるといわれる、常野。
そこには、特殊な能力を持つ人々が、ひっそりと暮らしていました。
そして、その常野を離れて一般の人々同じように暮らす人たちも、、。
そんな常野一族の人々を主人公とした、連作短編集です。
柳田國男の遠野物語から、タイトルは来ていると思われるように、
超能力ではあるんだけれど、西洋風の超自然的なエスパーという感じでは、決して無くて、民俗学というか、地域伝承の昔話しみたいな、雰囲気を受けるように書かれています。
また、女性SF作家の草分け的な存在のゼナ・ヘンダーソンの「ピープル・シリーズ」へのオマージュでもあるとか、、。
最近、ゼナ・ヘンダーソンは河出書房の奇想シリーズで読みその中に、一編だけ、「ピープル・シリーズ」があったのですが、
まったく判らないでもないですが、そんなイメージはあんまりなかったです。
この作品は、恩田さんの中でも、初期の作品だと思いますが、
もうしっかり、恩田さん的雰囲気は、かもし出されています。
きっちり描写されているのに、
なんか、恩田さんが書く言葉の霧の中に迷い込んだ感じで、物理的確かなものが、きっちり読者の前に現れてくるような感じじゃない、
(ちゃんと描いてあるのに)
しかし、ぼんやりとだけれど、重要ななにかは、読者へうったえかける、そんな感じですね。
本書は、恩田作品としては、わりと初期の作品にあたりますが、
もうきっちりかっちり、恩田ワールドが醸し出されています。
電子書籍エンド・ゲーム 常野物語
2017/06/18 00:00
納得のいかない話
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第3部『エンド・ゲーム』は、「裏返す」、「裏返される」の戦いを続けているという第1部の「オセロ・ゲーム」に登場した拝島家の話を1冊の小説に膨らませたもので、好みもあるでしょうが、私にはちょっとファンタジーが過ぎるというか、あまり納得のいかないストーリーでした。結局のところ「あれ」って何?という疑問も残ったままですし、何のためにそういう戦いをするようになったのかとか、記憶をいじる能力があるらしい「洗濯屋」の役割とか、その能力の発現の仕方がよく分からないままで、もやもやとした感じが残ります。一族の者たちが作り上げたらしい共同幻想の世界の中に入るとはどういうことなのか???
なんかもう挙げ出したらきりがないような疑問符の山です。それでも好きな方はこの不思議ワールドを楽しめるのかも知れません。文章自体は惹きつけるものがありますし、先を知りたいと読者の心を掴むだけの力はあります。ただ、私のように理屈をこねるタイプというか、物語に何かしら了解すべき「設定」というものを必要とするタイプには、どれだけ読んでも謎が解決しないまま話が終わってしまうので、納得のいかない話ですし、なんだか騙されたような気分になるかと思います。
紙の本蒲公英草紙
2023/07/17 11:47
常野物語
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みみりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
光の帝国に続いて、常野物語第二弾。
先を見る力「遠目」、「しまう」ことができる能力等、不思議なちからを持つ常野一族。
そんな彼らが人間社会と交わっていく物語です。
全体的に暗くて楽しい話ではないのですが、
いろいろ考えさせられるお話。
紙の本光の帝国
2020/04/17 07:24
続きが気になる
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投稿者:うれい - この投稿者のレビュー一覧を見る
それぞれ不思議な能力を持つ常野一族の物語。短編集だが全ての話が関連し収束する。特に表題作「光の帝国」からはあっという間。解説にもあるように「光の帝国」というとキラキラ輝くイメージだが、常野一族が歩んできた道には光だけでなく陰もあった。それでも最後には常野に、ツル先生のもとに帰るのだ。“みさき”が出てきたところで鼻の奥がツーン。最後の「国道を降りて…」に蜜蜂と遠雷の萌芽が見えた。恩田陸さんは最近知ったが、だいぶ前から素敵な表現をされる方だったのだな。再び結集した一族がどんな役目を果たすのか、気になる。
紙の本光の帝国
2018/08/07 11:42
連作短編集
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投稿者:ぽんぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
連作短編集。
主人公は変わるけど、ふしぎな出来事が起こるのは共通。
常野一族をめぐるお話たちでまあまあ読めた。
ふつうの人にまぎれて…わからんでもないが。
紙の本光の帝国
2018/05/29 16:22
雰囲気はいいが
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投稿者:papanpa - この投稿者のレビュー一覧を見る
超能力をもつ常野一族の優しく悲しい短編集
物語の雰囲気はいいのですが、メルヘンチックすぎて心にグッときませんでした
こんな幻想的で悲しい話ステキ・・・という意識高い系の人向けと思います
あくまでも個人的感想です、あとはあなたが読んで判断してね
紙の本光の帝国
2001/04/30 07:03
幾つもの不思議な物語が世界を描き出す連作短編集
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投稿者:Okawa@風の十二方位 - この投稿者のレビュー一覧を見る
膨大な過去の物語を自らに「しまって」おける子供達、どの卒業写真にも同じ姿を写す「ツル先生」、高層ビルやアスファルトに生い茂る「雑草」を抜く男、良くある噂話のような物語が一つ一つ積み重なって行くたびに、その向こうには異能を持つ一族が住んでいた「常野」という地が浮かび上がって行きます。
作者がこのネタで何本も作品が書けたと残念がるのも素直にうなずけるほど、上質のプロットがジグソーパズルの様に組み上がった短編集です。
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