笑う森 みんなのレビュー
- 荻原浩
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紙の本笑う森
2024/06/11 14:47
行方不明少年の空白の時間
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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
原生林で行方不明になり、1週間後に無事生還したASD(自閉症)の5歳男児。「くまさん」に出会ったという息子の不可解な言動から、空白の1週間の謎を追い始めた岬と義弟の前に浮かび上がる、怪しい4人の男女。果たして「くまさん」とは誰なのか?人間の汚い欲望と、その奥に灯る優しさを、少年の冒険を通し描いた気付きの物語。
なぜ子供から目を離したのか?エスカレートしていく親への誹謗中傷などのSNS問題から、ASDへの理解不足から生じた問題など、リアルな社会問題が詰め込まれた作品。
ひとときも目を離さないなんて事はきっと不可能で、なら一人で連れて行くなという意見もまた正しくて…。ただの悪意やストレス発散の「的」にされた訳ではない誹謗中傷に、少しだけ同意してしまい、複雑な気持ちになった。善意という名の何かが暴走する恐ろしさを再認識させられた。
身勝手過ぎる大人たちへの苛立ちと、不穏なシーンへの恐怖に包まれながらも、場違いなまでに平和な真人と「くまさん」の掛け合いがひたすら微笑まく、面白かった。
序盤はあちこち話が飛んでるように感じて先が見えず、中盤ではピースが揃い始めるもなかなか嵌まらないもどかしさがあったが、最後にはこれでもかというくらいキレイに嵌まる音が聴こえ、スカッとした。
欲を言えば、こうなる(子供が何かの犠牲を払う)前のどこかで希望を見付けられる環境であってほしい。
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