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塩野七生ルネサンス著作集 みんなのレビュー

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みんなのレビュー40件

みんなの評価4.2

評価内訳

4 件中 1 件~ 4 件を表示

制度疲労に安住すると

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ウズン・ハサンは白羊朝の君主なのに「ペルシア」はどうなのだろうか?サファヴィー朝ならいいかもしれないけれど。
 さてヴェネツィア共和国の衰退について書いてはいても宿敵だったオスマン朝はイェニチェリの壊滅と常備軍の創設といった具合に生き残りをかけて少しずつにしても体制の変革を企てて最後は国民国家の流れ?に乗ってオスマン家のスルタン・カリフ制を戴くイスラーム国家ではなく「トルコ人の国家」となってしまい第一次世界大戦でのアルメニア人虐殺に至った末にガリポリ戦を契機としてトルコの救世主となったムスタファ・ケマルによってオスマン朝は廃止されてトルコ共和国になるのだがヴェネツィアは18世紀が相対的に平和な時代だった事もあり制度疲労の中で安住してしまったように見える。「恐ろしいのは、指導者階級の活力の衰えなのである」のかもしれないが危機意識がなければ何もしないだろうに。
 それにしてもボナパルトに対する表現が口汚い。さすがに単行本初刷にある「兵卒あがり」は間違っているのでなくなっているが「この、士官学校では下位の成績しか得られなかった、しかもつい最近まではイタリアに属していたコルシカ出身の、フランス的ではまったくない名」とは何か?まるで王党派が「簒奪者はフランス人ではなくコルシカ人」だと「ブオナパルテ」と蔑称したのを連想する。「パリの人々に知られるようになったのは、一七九五年の十月以降である」とあるがボナパルトが有名になったのは1793年のトゥーロン防衛戦。「一七九五年の十月以降」はヴァンデミエールの王党派による反乱の鎮圧を指すのだろうが説明がない。「総裁政府の実力者バラース」が「愛人のジョセフィーヌと別れたがっていた」ので「その代わりが、ナポレオンであった。粋なフランス男バラースが、ジョセフィーヌに持たせてやった持参金が、イタリア方面担当フランス軍総司令官の職である」とボナパルトを小物扱いにして、とっくに有名になっているのに「総司令官の地位は、その彼に、格好の初舞台に見えたはずである」とまで書いている。ボナパルトが傑出した軍人である事は言うまでもないが、いくらヴェネツィア共和国を滅ぼした憎き男であっても、ここまで書く必要があるのか?ヴェネツィアには「百八十四隻から成る海軍は健在」でフランス海軍は陸軍同様、革命までは貴族でないと士官にはなれないので亡命した結果、弱体化した事もあるが「当時のフランス海軍の規模からして、決して対抗不可能な軍事力ではなかった」と評価してもヴェネツィアに籠城したところで最後は兵糧攻めにあって降伏するしかなかっただろう。バトル・オブ・ブリテンならともかくトラガルファー海戦を持ち出しても意味がない。何だか兵力数だけ上げて「日本はポツダム宣言を受託しないで本土決戦をすべきだった」と書くようなものだ。
 アルド・マヌーツィオはギリシャ・ローマの古典や「俗語」作品だけでなくギリシャ語の聖書も刊行しているのに言及しないのはエラスムスを「痴愚神礼讃」や格言集などしか取り上げないようなものだ。ヴェネツィアでユダヤ教の書籍を刊行したダニエル・ボンベルクには言及しないし「ゲットー」という言葉はヴェネツィア由来なのにユダヤ教徒が礼拝出来る所としての言及だけなのでユダヤ教やユダヤ教徒に関して関心がないか、あっても副次的なものだろう。

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第4次十字軍を礼賛する人

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ヴェネツィアを贔屓の引き倒しでもしたいのか?第4次十字軍を礼賛している。「破壊や残虐行為は、第一次十字軍のイェルサレム征服や、第三次十字軍のリチャード獅子心王の行為を見ても、どうやらこれは、当時では通常の行為と判断するしかないようである」そうだ。皇帝との関係が悪化していたからこそヴェネツィアは傀儡皇帝を立てようとしたのだが、その際にハンガリー国王の所領だったザーラを征服している。「第一次十字軍のイェルサレム征服」で十字軍はイスラーム教徒やユダヤ教徒のみならず非カルケドン派や正教徒の大量虐殺をしたが本文で読み取れるようにザーラはカトリックの信者の都市だ。まともな経済感覚や官僚機構がないので徴税には「キリスト殺し」のユダヤ教徒を使わざるを得ない王侯貴族や騎士達がスポンサーたるヴェネツィアの言うままにカトリックの都市を征服しては本末転倒だ。「貴重な人類の遺産で大英博物館を満たそうと、聖マルコ寺院をはじめとするヴェネツィアを飾ろうと、私はそこに、なんの差を感じない」そうだが正教徒の心に反カトリック感情を植え付けてイスラーム教徒の君主の被保護者としてジズヤを納めれば信仰を容認されるので「教皇の三重冠を見るよりスルタンのターバンを見る方がマシ」となったではないのか?結局は第4次十字軍なるものはヴェネツィアが自分達の商売の拠点作りの為の侵略戦争「と判断するしかないようである」。
 ヴェネツィアの傀儡国家のラテン帝国の皇帝戴冠式で「総主教」とあるがカトリックなので「総大司教」。どうやら塩野七生は宗教観で気がついていないらしいが?聖ソフィア大聖堂は正教会の総主教区の所在地で、コンスタンティノポリスにカトリックの総大司教が成立した事自体が、この本の趣旨と矛盾するのではないのか?
 確かにこの本自体は面白いにしても本来は必要なはずの東ローマ帝国なりオスマン朝なりの情報が語学力の関係で?英語なりイタリア語なりの翻訳頼りになるのか見えづらい。井上浩一の「生き残った帝国ビザンティン」でパレオロゴス朝を書こうとするとイタリア語やトルコ語(オスマン語?)などの語学力が必要だとあったが、そんなところだろうか?塩野七生は自己が書こうとする対象を身贔屓し過ぎる傾向があるようだが、それが露骨になったのは、この本あたりから?
 コンスタンティノポリスがニカイア帝国側に奪取された時の記述に「パレオロゴス帝」とあるが一個所だけ「ミカエル・パレオロゴス」とあるように「パレオロゴス」は家名であり、本来ならミカエル8世と書くべきだ。パレオロゴス朝は1453年のコンスタンティノポリス陥落まで続くが代々の東ローマ皇帝を「パレオロゴス帝」とは書かないだろう。それにミカエル8世がコンスタンティノポリスを傀儡国家から奪取したのではなく部下の将軍が行動に移している。
 「火薬は、ビザンチン帝国が、有名なギリシャ火焔薬として使っていたが」とあるが火薬とギリシャの火は別物。ギリシャの火が登場する東ローマ帝国がウマイヤ朝によってコンスタンティノポリスが包囲された時点で火薬などまだ存在していない。それに火薬に押されたのか?ギリシャの火の製法は忘れられてしまったので再現出来ないそうだ。

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塩野七生ルネサンス著作集 5 海の都の物語 下

2023/03/24 17:25

地中海限定の商業国家の運命と限界

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る

アルド・マヌツィオを知ったのは塩野七生の他の本だが、ヴェネツィアでキリスト教徒の出版業者のボンベルクが「旧約聖書は神の言葉」と信じる人文主義者向けにヘブライ語とアラム語のタナッハ(旧約聖書)を刊行したり、ユダヤ教徒向けにタルムードを刊行したりした事は関心がないのか、出て来ない。というより、この本、ユダヤ教徒がほとんど出て来ない。著者はユダヤ教やユダヤ教徒には関心がないだろうか。ボンベルクが出した第2ラビ聖書の本文は1937年にドイツで刊行されたBHK第3版がソ連から借りたサンクト・ペテルブルグ写本(いわゆる「レニングラード写本」と未だに称されているもの)の本文に置き換えられるまで標準的なマソラ本文として使われていたのに。
 ヴェネツィアでクルアーンを印刷してイスラーム圏に販売しようとしたが、「アッラーの言葉」を写本の持つ美しさのないと拒否反応があったので失敗したそうだ。
 確かにスペインの「新大陸」発見や植民地化とポルトガルがインド航路を使って貿易を始めた時点では、サファヴィー朝やオスマン朝の全盛期なので、ヴェネツィアが活動できる余地はあったが、イギリスとオランダが七つの海に商船を運用させて商業する時代になると、地中海限定の商業国家であるヴェネツィア共和国には勝ち目がなくなってしまう。この本の限界は著者の語学力に由来するのか、関心に由来するのかは知らないが、ヴェネツィア共和国に対して第4次十字軍すら「肯定」してしまうくらいに贔屓目で論じている上に、敵役の東ローマ帝国なりオスマン朝なりの視点がほとんど感じられないところだ。
 商業国家と言えば下巻に当たる時期で歴史に登場するオランダ(当時のネーデルラント連邦共和国)も商業国家で、当時の世界では珍しく宗教には寛容な社会だ。イギリスはクロムウェルの時代に「ユダヤ人追放令」が解除されていたし、国王が君臨していても議会と法典によって制約されていた。ここがヴェネツィア共和国と通じるところだと思うが、どうだろうか?特に「ヴェネツィアは教皇庁や周囲の国家より寛容だった」と論じるならば、オランダの「寛容さ」も触れるべきではなかったか。

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塩野七生ルネサンス著作集 4 海の都の物語 上

2023/03/24 16:48

商業国家の盛衰記

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ヴェネツィア共和国がナポレオンによって廃されるまで一千年ほど生き残れたのは、商業を国是とした商業国家だったからではないだろうか?教会がカトリックと正教会に分かれて、東ローマ帝国の影響圏から離れていたが、周囲には強大な王権を持った君主がいなかったからだろうか。カトリックの信仰を前面に出して正教会圏やイスラーム圏相手に仕事をする事など出来るわけがない。
 しかし本としては面白くても、著書の悪い癖である書いている対象に対する身贔屓が鼻についてしまうのは、第4次十字軍のような当時ですら評判が悪かった無道な侵略戦争を「正当化」しているからだ。第4次十字軍を「肯定的」に書いていながら天下国家を論じるのは止めてほしいものだ。

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