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ガルガンチュアとパンタグリュエル みんなのレビュー

  • フランソワ・ラブレー, 宮下志朗
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みんなのレビュー6件

みんなの評価4.0

評価内訳

  • 星 5 (4件)
  • 星 4 (0件)
  • 星 3 (1件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
6 件中 1 件~ 6 件を表示

ガルガンチュアとパンタグリュエル 1 ガルガンチュア

2011/05/03 21:04

人文主義の大暴れ

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

ルネサンス文学なんて言い方をすると、なんだかおどろおどろしいのだが、民衆パワーの爆発なのだと思えば、その陽気さ、破天荒さ、それに反権力志向などのほとばしりは、さもありなんという気がする「ガルガンチュアとパンタグリュエル」シリーズ。
古今の歴史、思想を下敷きにして、知謀とファンタスティックな巨体を持つガルガンチュアの大冒険活劇、成長劇の体裁でありつつ、大笑い、下品さがてんこ盛りとは、まさに民衆を湧かす要素に満ちている。ややこしいのは、この筑摩文庫版シリーズの1巻に当てられている「ガルガンチュア」が、その息子の物語である2巻「パンタグリュエル」の後に書かれたという事実だ。少なくとも戦争というものへの風刺は、この「ガルガンチュア」で深下されているように見えて、どちらを先に読むべきかが悩ましい。
実はまず、作者不詳の「ガルガンチュア大年代記」という謎の小冊子があり、その続編として「パンタグリュエル」を書き、次に時代を遡ってガルガンチュアの物語もまた書いてしまったということだそうだ。(年代記は2巻に収録されている)
荒唐無稽さという点では息子「パンタグリュエル」の活躍の方がハチャメチャ度合いが大きいようだし、そこを敢えて(たぶん)抑えめに書いた「ガルガンチュア」を後から読むのが味わい深かったような気もする。
ガルガンチュアは、生まれたときから桁外れで、大きくて、やることなすことがエログロナンセンスなのだが、勉学のためにパリへ出て、しかし父の領地で戦争が起きたために帰って来て、敵を撃退する。この巨人具合がまたふざけていて、ある描写を読むと2、3メートルぐらいの長身なのかと思えば、ある場面では50メートルくらいのゴジラ級のようでもある。つまりこれらもでたらめなのだ。服のサイズがでたらめ、飲んだワインや、食べたものの量がでたらめ、兵士の数がでたらめ。登場人物も作者も、いつも飲んだくれて、放言、放屁のし邦題なのである。
そんなにして笑いをとりながら、当時の新しい思想や宗教改革の芽を弾圧しようとする、権力や教会、それらの腐敗についてのキビしい風刺を紛れ込ませる。そこにはエラスムス「痴愚神礼賛」(というより「戦争は体験しない者にこそ快し」)など著作の影響が大きく有るらしく、またその思想を継承していくことを使命としているようにさえ感じられる。それが大人気を博し、次々と続編も書かれ、偽物も出回る。新しい時代の息吹きでもあり、笑い=不合理というものが堂々たる論理の手法として生きてもいる。僕もつい彼らと同じ「のどからから人」になって、ワインをがぶ飲みしたくなってしまう。

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ガルガンチュアとパンタグリュエル 2 パンタグリュエル

2011/05/29 13:24

ファルスの脈動

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

坂口安吾の言うファルスの文学というのがなかなかピンと来なかったのだけど、考えてみたらラブレーがぴったりと来る。とはいえ安吾がアテネフランセに通っていた頃はまだ渡辺一夫訳も出てないし、安吾がラブレーを愛読したということはなさそうだが、フランス語が古くて読みこなすには至らなかったが大意は得たのか、その後継者たちの作品で着想を得たか。ヴォルテール「カンディード」のゆるーい笑いなどもその一つだろう。
いつのどことも知れぬ架空の舞台のようで、まあ16世紀初のフランスのどこかであり、当時の地名や人物もふんだんに出てくる。ある小さな領土の領主であるガルガンチュア王の息子のパンタグリュエルは、父と同じように巨躯の赤ん坊に生まれたと思うと、様々な才能を発揮して周囲を大混乱に引きずり込む。
やがて父と同じようにパリに留学するが、そこで奇人パニュルジュに出会う。このパニュルジュはトルコで捕虜になっていたところを逃げて来たという奇怪な経歴を持ち、それに相応しい自由すぎる思想の持ち主でもある。弁舌爽やかながら彼のキッツーイ悪戯の数々を、パンタグリュエルが温かい目で見守るのは、大人になってしまった彼の悪ガキ的側面をパニュルジュに託しているという訳者の指摘が当っていそうだ。
パンタグリュエルの方は、故郷が攻撃を受け、父ガルガンチュアが連れ去られたという知らせを受けて、急遽その救出のために妖精の国「ユートピア国」に向かう。ここで戦争大活劇が展開されるのだが、ふとしたことで「作者」は、パンタグリュエルの口の中に落ち込む(!)。するとそこには村があり、山々があり、都市があって多くの人々が住んでいる。「作者」は半年の間そこで暮らした後に出てくるという顛末。なんという破茶目茶具合。
もうこれは「風博士」どころでは無い、大江健三郎「同時代ゲーム」や、筒井康隆の超虚構小説などが系譜に連なる脈流だ。ラブレー自身はどんな文学的なアレがあったかは知らないが、エラスムス「痴愚神礼賛」や、トマス・モアなどに意識は連なっていたことだろう。当初は医学を学んでいたというラブレーは、解剖学的知識を暴走させてみたらこんな奇矯な空想に至ったのかもしれず、またギリシャ語にも堪能でその方面の文献にも詳しく、ローマ帝国、ギリシャ、小アジアまで一体と見ている世界観もフランス社会におけるアナーキーぶりに通じていそうに思える。
そしてこの巻では、話の大元になった「ガルガンチュア大年代記」なる戯作も収録されていて、当時の民衆のハジケっぷり、ラブレーが感じていた時代の風も感じられる。

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ガルガンチュアとパンタグリュエル 5 第五の書

2016/07/10 12:04

もっと破壊と笑いを

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

パンタグリュエルの一行は前作「第四の書」の結末の続きで、「聖なる酒壜」のお告げを受け取る旅に出たのだが、そこで出会う様々な島と奇妙な人々の物語だ。パニュルジェが結婚すべきかどうかという、実にしょうもないことについてのお告げであり、その時点で既にこの旅のナンセンスさが規定されてしまっている。それに船を仕立てて旅立つという王様の一行とは、まことにのんびりした連中ということになる。
こんな筋立ての話をユマニストの端くれたるラブレーが執筆する理由があるのかと言えば、それはもう前作の売れ行きがよかったからなのだろう。そしてそれがラブレーの死後に刊行されたとなると、当然別人による贋作と誰しも考える。実際に歴史上の評価もそうなっていたらしいが、ラブレー自身の未発表の草稿をまとめたものという説もあるらしく、それにしてもラブレーの完成品として認めるには、筋も新鮮味も薄い作品ではあるだろう。
大洋を幾日も進んで、様々な島の王国を彼らは訪問しつつ旅を続ける。それぞれの島々には、奇態な人々が住み、奇妙な社会を形成している。その奇態さは、「山海経」かアラビアンナイトかと思うような奇抜でファンタスティックなもので、しかし社会体制や人々の性向は、おそらく当時の頑迷なる勢力を風刺しているもののようだ。それらの例えや修辞の一つ一つが、過去のラブレーのシリーズ作品に繋がっていて、本作がラブレー風刺の集大成めいているのが、なんとも小賢しく、そこがこれが贋作であると言いたくなる理由だ。
どちらであれ、ラブレーの本領の一面が現れているのだろうが、やや理に勝ちすぎていて、パンタグリュエルの豪放さのままに暴れて騒いでめちゃめちゃになって、挙句に最後は「飲もうじゃないの!」で落ちる、いつもの破壊的なまでの神話性が薄れてしまっている。ラブレーは当時のスターだったのかもしれないが、破滅志向をも孕ませたファルスの文学は貴重であり、この系譜がもっと評価されてよいように思うのだった。

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ガルガンチュアとパンタグリュエル 4 第四の書

2012/03/04 20:04

飲もうじゃないの!

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

「第三の書」でパニュルジェの結婚を占うために、聖なる酒びんのお告げを求めて航海に出ることになったパンタグリュエル御一行様。大西洋を北へ回り込んで北インドを目指すとはどういう航路なのか。コロンブスの航路を辿ろうとしたのかもしれないが、この時分にその正確な意味はどれほど伝わっていたろう。とはいえ最新の知見をどかすか詰め込む意欲は面白い。とにかく一行はインドにもアメリカ大陸にも着かず、行き当たりばったりにさまざまな諸島で奇妙な人種に出会う。
それってガリバー旅行記な話かというと、風刺というよりは罵倒で、スラップスティックで、そして下品だ。船団が大嵐に襲われると、当然とはいえ船上では難破を防ぐために総員必死となるが、ここでもパニュルジェが情けない狂言回しを演じて、泣くは叫ぶは御託は並べるはでちっとも働かないのはむしろいさぎよいというか天晴れなほど。命が助かるために足掻くことより屁理屈を並べる方を優先するわけだ。論理的なようで合理的ではない。論理のようでいて実はエモーションが優っているということなのか。それは実は中世的ということなのか、ルネサンスの息吹きなのか僕の教養では判じ難いが、いずれにしろ徹底して笑いのめされてしまう。
またある島で出会う種族が、原始共産制の究極のような家族制度を持つのは文化人類学の萌芽だろうか。訳注に示唆されているように、それもアメリカ大陸発見の衝撃かもしれない。鯨を仕留めたり、大巨人のいる島に訪れたり、巨大な飛行ブタなど、世界の驚異は次々と登場。技能師範の島では、人民を守るためという口実での兵器開発競争によって、最後には世界を破滅させる最終兵器が生まれることを示唆している。
ラブレーという人の作品としてはこの「第四の書」までの4冊でおしまい。序文で以後78作まであるとうそぶいていて、どこまで本気かは分からないが晩年にして続きを書く気満々ではあったろう。このスチャラカ騒ぎもまだまだ続けるつもりでいて、パニュルジェどころかパンタグリュエル自身の結婚問題も残っていたというのに、それもいずれ解決するはずだったのだろう。哲学的な疑問の数多くを棚ざらしにしたまま飲んだり食べたりを繰り返し、また飲んだり食べたりの蘊蓄を滔々と語り、恐ろしげな種族を目の前にして、「飲もうじゃないの」と叫ぶパニュルジェ。え、これで

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ガルガンチュアとパンタグリュエル 1 ガルガンチュア

2019/05/08 15:22

ラブレーが気になったので

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:undecane - この投稿者のレビュー一覧を見る

最初に述べておくと、ちくま版はあまりお勧めしません。というのも、ガルガンチュア以降の2~5巻がなかなか手に入らないからです(新品は多分無理、中古でも・・・)。
そのため全5巻揃えるつもりのある人は岩波版の方をお勧めします。

内容としては、・・・。まぁ、ラブレーだな。
フランス文学と云えばラブレー、という人も多いはず(多分)。
でも、高尚な感じがまったくないんだよね。

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ガルガンチュアとパンタグリュエル 3 第三の書

2011/08/02 00:29

結婚は人生の大喜利か

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

ガルガンチュアとパンタグリュエルのシリーズも好評に付き第三弾ということなのだが、すでに序文で「第七八の書」云々などと調子こいたことを言っていて、これは半分は笑いとしても、前二冊の好調から気が大きくなっていたのであろうドヤ顔が目に浮かぶようだ。今回の主役はパンタグリュエルの腹心にして親友、そしてもう一つの自我でもあるパニュルジュであり、気宇壮大でありながら小心者というキャラ立ち具合は愛すべきものだ。
パンタグリュエルが父ガルガンチュアを救い出した戦争での功績により小領主の地位に収まったパニュルジュは、いっぱしの王気取りで散財するが、それを咎められると経済活性化のための財政出動であるうそぶく。なるほど現代でも通用しそうな理屈であり、詭弁と呼ぶには当時の倫理観をもってするしかない巧妙さだ。
かつてはヨーロッパ各地を放浪し、何カ国語も操り、各地の事情にも文献にも精通しているパニュルジュだが、理屈ではどうにもならないことがあって、それは結婚だ。たぶんそれは人間が理性を失った瞬間のことだから。彼は結婚すべきかどうかについての悩みをパンタグリュエルに打ち明けるが、聡明な王パンタグリュエルとて納得できるような答ができるはずもなく、かくしてそうそうたる学者を揃えての論争、さらにパニュルジュは予言者を求めて各地をさすらうことになる。そして彼らの言葉の解釈を巡って、喧々諤々の大論争を繰り広げるのだ。
いずれも論争と言うにも稚拙な屁理屈、ごたくの類いに過ぎないのだが、それぞれにとっときの持論を持ち出して主張せずにいられない彼らの思い入れに微笑が湧く。結婚した者、しない者、失敗した者、問題を抱えている者、それぞれの苦悩やら助言したいことやら、誰しも一家言あるらしく、いやあるに違いなく、しかし普段の彼らとは大違いの論理性をまったく欠いた言い草の情けなさに笑いがこみ上げてくる。そこがすべての男にとってのウィークポイントだったわけだ。
とうとう決着はつかず、パニュルジュやパンタグリュエル達は打ち揃って神託を求める旅に出ることになって、続編に乞うご期待と相い成る。あはは、馬鹿だねえ。なんて大袈裟な。そもそも想う相手がいるわけでもないうちからこの騒動。おまけにパンタグリュエル自身の結婚問題だって残っていた。
戦争や大暴れもなくやや地味な展開だが、論争の背景にある、思想や占いや予言などへの鋭い批評眼と、人々の内面のギャップが楽しい。いかにも高尚そうな口吻と対象的に下品な内容が、身も蓋も無く痛快だ。

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