ボートの三人男 みんなのレビュー
- ジェローム・K.ジェローム (著), 丸谷才一 (訳)
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
2 件中 1 件~ 2 件を表示 |
紙の本ボートの三人男 改版
2010/04/07 22:03
男三人と犬一匹が川を下る!
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:K・I - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙がなんといっても和田誠さんの絵である。すばらしい絵だ。まずそこに心惹かれた。
さらに訳者が丸谷才一。そして、「ユーモア小説の古典」とオビには書いてある。
そういうしだいでこの本を読んでみた。
内容をおおざっぱに説明すると、
「ぼく」とジョージとハリスという男三人とモンモランシーという犬が、
ボートに乗って川を下る、という話だ。
というストーリーなのだが、
ストーリー自体がそんなに重要なわけではなくて、
つまり、この小説の肝は、
「何が描かれているか」ではなく、
「どう描かれているか」だろう。
小説や戯曲を読んで腹を抱えて笑うという体験は、
僕はシェイクスピアの『夏の夜の夢』でしか体験したことがない。
しかしこの小説ではそこかしこにある「ユーモア」に、
にやりと何度もさせられた。
個人的には川に出る前の準備段階が一番、
「笑えた」部分なのだが、
川に出てからも、
色々な「難問」が三人プラス一匹を待ち受ける。
正直に言って、この小説で描かれているイギリスの歴史について、
ほとんど内容が分からなかったのだが、
それは仕方のない部分だと思う。
というわけでこの小説は☆4つにしたいと思う。おすすめである。
最後に一つ付け加えると、
この小説には、今では差別語になっている表現が、
しばしば見受けられる。
しかし、原作が19世紀のものなのだから、それは仕方がないだろう。
では、そういう昔の「人権意識」の小説や戯曲をまったく訳さない方がいいのか、
といったら、そんなことはない。
文学というのは、縦の時間が重要なのだ。
あまり好きな言葉ではないが、「伝統」に近いものが文学ではある程度重要だと思う。
となると、あとは、
そういう小説や戯曲も訳して、
ただし、「但し書き」をつける、
というのがベストだと思う。
その点で参考になるのが、
『夜はやさし』や『エドナ・ウェブスターへの贈り物』などを出している、
「ホーム社」という会社だ。
上記の2点の小説についている「但し書き」は、
昔の小説や戯曲を翻訳する際に参考になると思う。
紙の本ボートの三人男 改版
2019/09/21 08:48
美しいテムズ川のボート旅で展開される懲りない一行の珍道中
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:隣でジントニック - この投稿者のレビュー一覧を見る
憎めない程度の毒に恵まれた3人と1匹がテムズ川中流を遡っていくボート旅。イングランドらしい川面や岸辺の風景描写がとても美しく、一行の間抜けな魅力をとても際立たせている。
この本の登場人物と登場犬は、こだわりが強いくせに思い付きで行動し、自分の失敗はいち早く他人のせいにし、誰かがやらなければならない仕事は誰かに押し付けようとし、やみくもに吠え立てて存在感を誇示する。でも誰もがそういう部分を持っているのが我々の現実。
どこにでもいそうな反省の足りない一行の、どこにでもありそうなドジな話に、きっと読者は昨日の失敗を慰められる。雨のラストシーンも「人生こんなもの」と思わせて良い。
2 件中 1 件~ 2 件を表示 |