残月記 【無料お試し版】 みんなのレビュー
- 小田雅久仁(著)
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残月記
2022/02/14 22:27
月というのは旧来魔性のものである。
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投稿者:S910 - この投稿者のレビュー一覧を見る
月がぐるりと裏返るのを見たと思った瞬間同姓同名の別人と立場が入れ替わってしまった男の狂気を描いた「そして月がふりかえる」。
月の風景石を叔母の遺品を引き継いだ女性が、夢の中で異世界の月に生きる異なる自分に憑依し、あちらとこちらを行き来しながら世界が変わってしまう「月景石」。
月昂と呼ばれる不治の病が存在する架空日本で月昂者となった青年の数奇な人生を描いた表題作である「残月記」を含む三編の作品集。
他二編は救いのないダークホラーのようだが、残月記だけは美しい愛の物語でもあった。
月昂という病は、幻想小説あるある的には吸血鬼化と考えれば理解しやすい。
発症すれば月の満ち欠けで人知を越える膂力を得るが衝動が抑えられなくなるし、夜に生きるものになるし、人々に恐れられ人としての扱いを受けられなくなる。
まるで吸血鬼だわ。
終盤までの月昂者になったがゆえの理不尽を強いられる展開は読んでいてつらいが、ラスト数十ページの愛のために人生を捧げた彼の行いが読後感を清涼なものにしてくれた。
本屋大賞候補作の中で一番ビビッときたので読んだけど、確かに候補に挙がる力のある作品だったと思う。
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