繕い屋 みんなのレビュー
- 矢崎 存美
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紙の本繕い屋 1 月のチーズとお菓子の家
2018/11/12 00:57
菓子パンみたいな甘い本。
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投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
ぶたぶたさんを積んで早やン年。
図書館の新刊リストにつられてこの本が矢崎存美さんの
初読となってしまいました。これを巡り合わせというのでしょう。
菓子パンみたいにひょいと読めて、こころに柔らかく問いかけてくる
作品でした。キーワードは、料理・猫・夢。
そんなおいしいものの詰め合わせです。
以下にネタバレします。
ミステリーではないので読んでもかまわないとは思いますが、
気になる方は読み飛ばして下さい。
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>――― < 以下、ネタバレです > ――――<
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五本の短篇集です。
こころに傷を負った人たちが主人公で登場します。
疲れたなあと思いながら、とぼとぼとさまよう人たち。
こころの疲れた人たちの体の表面には無数のひびが走り、
いまにも壊れそうです。
ひびを見ることができるのは、平峰花ただ一人です。
ほっておいたらひびは張り裂け、怪物が生まれて
人を食ってしまうのです。人を食うと書かれていますが、
具体的にどうなるのかは分かりません。
そうなる前に花が救ってしまうからなのです。
花はこころにできたほころびを繕う力を持った人です。
夢の中に入りこみ、その人と一緒に悪夢のもとを
消し去ることで救うのです。
どうやるかというと、なんと、食べてしまうのです。
つまり花は、悪夢のもとを使って料理する人なのです。
何が悪夢となっているのかはその人にしか分かりません。
なぜ悪夢を見るようになったのか、どこが悪夢の根っこなのか、
登場人物たちと触れ合いながらこころを解きほぐしていきます。
他人を傷つけるような人のこころにはひびは入りません。
こころ優しい人が、いつも負担を背負い、傷を負っているのです。
だから助けるのだと花は言います。
みんなこころには傷の一つや二つ、小さいものも含めたら
それこそ無数の傷があるはずです。
だからこの本を読むことで、穏やかな気持ちになるのは
いいものです。
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