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小説 太平洋戦争 みんなのレビュー

  • 山岡荘八 (著)
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みんなのレビュー8件

みんなの評価4.2

評価内訳

  • 星 5 (1件)
  • 星 4 (6件)
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14 件中 1 件~ 14 件を表示

小説太平洋戦争 4

2005/04/23 02:00

武士道の大輪

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る

日本は、徐々に物量で追い込まれてきた。補給の絶たれた南アジア諸戦線では、銃に込める弾もない。対する米国は、無限の銃弾を思うがままに打ちまくることが出来る。たとえば、日本兵がなけなしの1発を打ったら、何万発も応射してくるといった具合だ。
それでも我が将兵たちは、滅多なことでは敗北しなかった。第4巻では、「逃げず、引かず、人のために我が身を捧ぐ」といった、武士道精神が随所で花開き、儚くも散っている。
正直言って、ニューギニアの死闘は、書評するのも忍びがたい…。様々な死闘が、万華鏡のように各地で繰り広げられた。その全ては、日本将兵たちの一方的な死闘である。敵は、豊富な食料と無限の銃弾。何倍もの大兵力と圧倒的体格差…。はじめから勝負は見えていたのだ…。
中でも不幸だったのが、安達18軍である。著者も、「もはや読者も安達18軍の将兵から目を背けたくなったろう。しかし、私はまだ筆を置けない!」と自らと読者を鼓舞している。おそらく、著者の目は真っ赤に腫れていた事だろう。
第51師団は、18軍と合流すべく、気温マイナス30度の山々をなんと、6つも越えた。なかには、標高4500Mや3500Mという、富士山以上のものを含む。他にも、3000M・2000M以上であり、それを、上って降りたというのだから、トライアスロンの何十倍も厳しいはずだ。
凍傷で足が動かず、泣きながら置いていってくれと懇望する者。耐え切れず、投身自殺する者。一つ山を越えるごとに、500人以上が死ぬ…そんな極限を想像できるだろうか?
そうして、51師団長中野と、安達が劇的に再会した。しかし、51師団が辿り着いた先も、食料の枯渇しきった敵陣の真っ只中だったのである! なんということか…。
もはや、51師団に健常な者などいなかったという。上司である安達も命令ではなく、「お願い」と言う形で警備に付いてくれと言ったところ、彼らは一言半句の不平も言わず、戦いに赴いた。もう、これは、部隊の命令という強制力だけで同行できる情況ではない。それはまさしく、「同じ日本人としての絆」が彼らを強く結んでいた証拠であろう。
その後、彼らはほぼ全滅する。司令官安達は自害。遺書には、「多くの将兵の死は、私に全責任がある」。彼らの死の闘いは、筆舌に尽くせない。
この頃の日本兵に、アメリカと同じだけの弾があれば、10:1の兵力でも日本はアメリカを南方アジアから駆逐していたであろうことは充分に想像できる。実際、弾が尽きるまでは、いかなる不利な情況でも勝ち続けてきたのが、我が祖先たちだった。
皇軍の精神的支柱であった常勝提督山本五十六ももはや亡く、往年の歴戦パイロットも多く鬼籍に入り、銃砲も食料も燃料もない…。あるのは、当時世界最強最大の、旗艦「大和」だけである。船も世界最高、航空機もゼロ戦は世界最高、人も最高。しかし、燃料と材料がない…。動かぬ戦闘機、作れぬ艦船。こんな哀しく、悔しいことがあるだろうか。

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小説太平洋戦争 3

2005/04/21 13:54

大日本帝国とインドネシア、デヴィ婦人とスカルノ初代大統領

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この戦争では、日本将兵の「皇軍としての誇り」が随所に瞬いては消えていった。同じ日本人ならば、このご先祖たちの世界一統制の取れた(虐殺、強姦は皇軍精神に恥ず)、日本軍の将校に誇りを持ってよいと思う。
 しかし、断っておくが、日中戦争のなかでは、一部跳ね上がりが残虐行為をしたことは否定しがたい。それによって殺害されたご遺族の気持ちを決して無視してはならない。しかし、太平洋戦争最中においては、中国人を殺していたのは中国人である。それはおいおい本書で明らかになる。
 連戦連勝の日本は、浮沈艦といわれた大英帝国の艦隊を完膚なきまでに撃滅し、数百年にわたって搾取を続けてきた東南アジアから、イギリスの影響力は払拭された。
 当時イギリスの海軍は、大変な陣容であった。旗艦「プリンスオブウェールズ」は、ドイツの戦艦「ビスマルク」を轟沈に追い込んだ、まさに「大英帝国の誇り」といわれた最新鋭艦であった。わが日本海軍と英国海軍の海戦は、後にも先にもこの戦のみである。
 日本海軍の前になすすべもなく、ウェールズ号は轟沈した。一分間に六万発というウェールズ号が沈むなどチャーチル首相ですら信じられなかったようだ。そのときの首相の手記が残っている。
 「ウェールズ撃沈の電話のあと、部屋に人がいなくてよかった。私は、恐怖で押しつぶされそうだ。日本軍によって、もはやインド洋にも太平洋にも米英の主力艦は1隻もいなくなってしまった・・。そう、我々は丸裸なのだ・・」
 思えば、日本は、日本一国だけで、アメリカ・イギリス・オランダ・中国の連合軍を相手にしていたのだ。こうして、東南アジアからイギリスの影響力は地に堕ちた。このとき、搾取され続けた現地人が何と思うだろうか?誰も日本軍を「侵略軍」などと思ってはいない。とくに、インドネシア人は一気に独立機運が高まり、スカルノが独立宣言をしたとき、彼らが用いた暦はなんと、西洋暦ではなく「皇紀」。「皇紀」は初代の神武天皇の即位の日を元年としている。彼らは、本当に日本に今でも感謝している。
 たとえば、インドネシアの独立記念日では、インドネシアの服装の男女2名になんと、日本兵の服装をした1名を加えて3名で、国旗を掲揚している。こんなこと、授業で教わっただろうか?日本軍は侵略軍と暗記させられたはずだ。デヴィ婦人というスカルノ大統領の第3夫人がいるが、スカルノの日本への愛情のひとつの表れである。
 こうした歴史を教えるために、「一面では日本はインドネシアで歓迎された」と真実を遠慮がちに書いたのが、「新しい歴史教科書」なのだ。今までのインチキ教科書の方が糾弾されるべきだ。
 だが、いよいよ、日本は敗北に転ずる。ミッドウエーの大敗北である。この戦は、正面からやっていれば万に一つも負けぬ戦のはずだった。しかし、日本の暗号は筒抜けだった。同盟国ドイツはそれを知悉していたのに、なぜか連絡しなかったようだ。
 この敗戦により主力四空母(赤城・加賀・蒼竜・飛竜)・重巡・駆逐艦・兵員約三千五百名を失い、艦載機285機は珊瑚海海戦で失った100機を含め母艦搭載機の全滅に等しい。決定的なのは、歴戦連勝のA級パイロットの大部分を無為に死なせてしまったことである。これが一番痛かった。
 これ以降、悲しいかな、再び日本が立ち上がることはなかった・・あとは、日本はミッドウェーを潜り抜けた大戦艦「大和」のほか、希望はなにもない。これ以後は、有色人種にただ一国堂々とわたりあった烈々たる日本人の意地と誇りの悲しいストーリーと言うほかはない・・。

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小説太平洋戦争 1

2005/04/18 19:31

大日本帝国の真の姿

11人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る

著者山岡壮八さんは、何度も高熱にうなされ、耳鳴りに悩まされ、涙を拭いながら、この「小説太平洋戦争」を執筆なされた。くじけそうになっても、物言わぬ将兵の霊魂が執筆を支えていたのだと言う・・。
私も、日本将兵のあまりの清廉潔白なる忠烈さに、本を落とし、涙に暮れる日々を送ったものだ。いま、こうして思い出すだけでも、ある種後ろめたさがある。今自分がこうして読書に耽り、暖衣飽食の日々を送れることを感謝せずにはいられない。
とにかく、本書の内容は、嘘で有ってくれと思うほど壮絶であり、晴天のように晴れ渡った美しき日本精神で満ち溢れている。そして本書は、従軍記者であり、出陣直前の実際の将兵と生活を共にしつつ取材した山岡さんが著者であるが故に、忠実すぎるほど史実に沿っている。
この1巻では、いかに日本の首脳部が大東亜戦争を避けようとしていたか、実際の記録をふんだんに用いて描いている。東条英機を戦争の権化のように仕立て上げる悪辣な近隣諸国が多いが、実に東条こそ、戦争回避の道を必死で模索した第一人者だったのである。日本でも、このことは教科書では触れない。朝日新聞・中韓の圧力でそうなっているのである。
日本は、何度となく戦争回避の道を探り続けた。アメリカと何度も交渉した。しかし、アメリカは始めからいかなることがあっても、ここで日本を叩くつもりだった事が、明らかになってきている。アメリカではこのこともしっかり授業で教えている学校も多い。そこが彼らの偉いところだ。
米大統領ルーズベルトはじめ、白人は有色人種が植民地を持つことを快く思っていなかった。有色人種で白人に明確に勝ったのは、後にも先にも日本だけである。実際、日本は近代化して以降、日清日露、第一次大戦と勝ち続けた。そこが、白人の許せぬところだったようだ。1巻で山岡さんはそのように分析している。
軍神・山本五十六は日独伊三国同盟にさえ反対していた。山本長官は、戦艦長門を率いて、海戦で連戦連勝のまさに軍神のようなイメージがあるが、彼も戦争には反対だった。天皇陛下も反対であられた。つまり、政府関係者に戦争希望者などほとんどいなかったのである。
絶対に戦争を避けるため、粘り強くアメリカと交渉した日本だった。しかし、ハルノートに書かれた要求は、日本に死ねといっているのと同じだった。アメリカの真意を知った首脳らは呆然とし、彼らが待ちに待った先制攻撃をやってしまったのだ。ハルノートを実際本書で読んでほしい。飢えで苦しむ人に対し、さらに最後のパンまで取り上げようとする卑劣な意志が見えるはずだ。
1巻は、日本の戦争回避の様を克明に描くことに費やされる。中国や韓国では、日本を「鬼子」といい、戦争好きと教え込まれるが、それがいかに悪質な嘘か分かるはずだ。もし、近代史に有色人種としての日本の躍進がなければ、有色人種は劣等感にさいなまれ、白人は、歴史=白人と奢っていたことだろう。
1867年以降、奇跡続きだった日本。その清算としての太平洋戦争の犠牲はあまりに大きかった。マレー・フィリピン・ジャワの連戦連勝、サイパン玉砕、ガダルガナルの死闘(ここで著者は霊にうなされた)、硫黄島全滅、片道の燃料のみで特攻した現在でも世界最大の戦艦大和の最後、そして昭和天皇のご聖断・・・大日本帝国の物語は始まったばかりである・・。

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小説太平洋戦争 5

2005/04/23 23:22

なにをか望まんご先祖よ!

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る

おそらく神はこの戦を見ていたに違いない。そして、「日本よ、もう降伏してもいいのだよ」と囁いていたのではないか。これまでの2600年間、日本には不幸という不幸はなく、文永・弘安の役、徳川300年、天翔の明治、日清・日露・第一次大戦…対外戦争で被った被害は、秀吉の狂乱による役を唯一の例外とし、皆無といってよい。
しかし、この大戦後期は、「ツキ」というものが、日本に見られなくなった。5巻で描かれるサイパンの死闘は、ガダルカナルやパプアニューギニア以上に壮烈であり、サイパン島に閉じ込められた一般市民も含め、「日本人」という民族の本性が最もよく現れている。
人は、極限のときに本性を現す。そして、サイパンは四方を敵に方位され、食もなく、水すら満足ではないまさに極限の状態だった。したがって、日本人という「人」の本性が現れていると言えるのである…。
まさか日本のホームであるサイパンに敵が来るとは思っていなかった。サイパン島の戦いでは、日本軍は23811名が戦死し、921名が捕虜となった。このとき、米軍が上陸する前に、「大和」を総旗艦とする連合艦隊がそれを撃滅するはずだった。
しかし、レーダーを持たず、また数々の不幸が重なり、敵がてぐすねひいて待ち構えている真っ只中にわが艦隊は無垢にも飛び込んでしまった。米軍はこれを、「マリアナの七面鳥打ち」と称した。
これにより、大切に大切に使ってきた第一艦隊はほぼ全滅した。しかし!「大和」「武蔵」といった、世界に誇る大戦艦は、なぜか戦地に辿り着けず、無傷で生き残ることができた。
昭和天皇は、民間人が多く残るサイパンを「なんとしても救ってやってほしい」と仰せになられ、食も全く喉を通らぬほどに憔悴されていたようだ。しかし、もう無為に飛ばせる戦闘機は1機も残っていなかった。
サイパンの全日本人はもはや恰好の鴨である。最新武器を引っさげた米兵7万に包囲されてしまったのだ。しかし、サイパンが堕ちれば日本は全本土がじゅうたん爆撃の危機に晒されることになる。サイパンの陥落は、そのまま日本人8千万の死を意味する。故に、彼らは降伏等夢想だにしなった。
その彼らの死にさしての合言葉は「俺たち、死んでも靖国で会えるんだよな…靖国で会おうな。」である。これは、わずかな生き残りの多くの証言のほか、有名なのが、サイパン島で従軍していた看護婦の手記である。
最後は市民も含めた3000名が武器も持たず特攻し、全滅している。さらに、島の北端に追い詰められた民間人や兵士たちは、生きて虜囚の辱めを受けぬため、次々と断崖から身を投げ、あるいは家族や知り合い同士で手榴弾の上におおいかぶさり、自決していった…。みんな同じ日本と言う家に一緒に暮らした家族であるからこそ、一致団結して名誉を貫いたのだろう。誇りと意地を胸に高らかに頂き、「降伏するくらいなら死にます!」そういって自ら命を絶った高潔なる貴婦人も多くいたそうだ。
口々に「靖国であおう…」そういって死んでいった我がご先祖に対し、我々子孫は、はたして靖国を軽く見てよいものだろうか? それが、日本人としていかに恥ずかしいことか、胸に激痛が走るのは私だけか。

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小説太平洋戦争 6

2005/04/27 00:38

「武蔵」逝く…

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る

当時の連合艦隊と日本の象徴だった戦艦はいうまでもなく「大和」と「武蔵」である。大和と武蔵はほぼ同型同艦といってよい。両艦とも、当時世界における造船技術の最高傑作であり、世界最大の46センチ砲を登載した怪物艦である。
もし戦争で航空機を使ってはならないと言う条件をつけることが出来たならば、この両艦があればいかなる海戦にも勝つことが出来たと断言できる。まず、射程距離が凄まじく、船体の厚い防壁は航空機でなければ破ることなどできなかったろう。そういう計算のもとに造られたのだから当然かもしれないが。
しかし、時代は変わっていた。戦艦は航空機の前になすすべはない。故に、艦隊で人や物資を載せ、それを護衛するのが航空機であった。航空機にしても、我がゼロ戦は当時世界最高傑作と言われた最高水準であった。当然、大和や武蔵とともに航空機が目いっぱい援護射撃しなければならない。
だが、日本にはもう、飛行機を飛ばす燃料もなく、新たにゼロ戦を製造する資源もない。第6巻で描かれるレイテ海上決戦においては、敵740隻以上の艦船と何千機という航空機を相手に、日本の航空機はなんと100機程度…。
しかも、このとき中央から出た命令は、主力艦隊との決戦ではなく、輸送船団と心中せよという内容だった。通常の国の荒ぶる海軍志士たちにこのような指令を出したら大暴動が起こることは想像に難くない。
アメリカは、世界中にちやほやされている大和・武蔵が相当に気に食わなかったらしい。本作戦では、日本の象徴である大和武蔵を屠り、日本人の戦意を挫くつもりである。我が艦隊は、もはや航空機を持たない丸裸の艦隊であった。
武蔵は、上空から数え切れぬ砲弾を受け、魚雷を受け、戦艦の砲撃を受けた。大和の艦上から、武蔵が見える。武蔵は、無数の航空機に包囲されていた。死に物狂いで左右に回転運動を繰り返し、必死に轟沈を避けんとする武蔵。
あまりの攻撃に、水柱が立ち上げ、やがて武蔵を目視することすら出来なくなっていたと言う。この情況は、アメリカの側が写真に収めており、あらゆる角度からの写真が残っている。
武蔵はそれでも、航空機の第5次攻撃まで耐え抜いた。敵は、それぞれに違うパイロットが搭乗し、睡眠充分でわが艦隊に襲い掛かってくる。対する我が方は、いつ航空機がやってくるか不安で不眠不休で戦っていたのだ。
武蔵は段々と速度が出なくなってきた。しかし、帝國の象徴である武蔵を置いてなどいけない。その後、残酷にも第5次攻撃が始まる。このとき武蔵に150機以上の航空機が取り付いたという(設計者の言)。重ねて言うが、大和・武蔵の防御はパーフェクトである。砲弾の直撃を受けてもビクともしない設計になっている。
しかし、武蔵はついに艦体が傾きだし、機械が動かなくなってしまう。ついに艦長は「総員退避」を命じた。やがて武蔵は、敵機の無数の攻撃の前に火柱を上げ、沈没した。乗員退去を終え、祖国に向かってひとり敬礼をする海軍砲術の至宝・猪口艦長とともに…。
マレーの虎も遂に敗走し、山本長官も無く、南方所戦線で全面敗退が始まった日本…。遂に至宝武蔵まで失った我が祖国に何が残っているのだろうか…。もはや、戦争は事実上終結している。残っているのは、日本人の意地と最後(どうかそうなってほしい!)の世界大戦の最後まで戦った国家としての悲しいドラマだけである。

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小説太平洋戦争 2

2005/04/20 02:41

連戦、連勝

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ともかくも日本は、戦争に突入せざるを得なくなった。最大の原因は、米国による石油禁輸措置である。石油がなくては当時誰もが認めた最高の海軍も、海に置かれた鉄屑に過ぎなくなってしまう。演習すらできない。故に日本は焦った。
昭和16年12月8日。山本五十六司令長官を頂く連合艦隊が、ハワイ真珠湾に奇襲をかけ、大戦果を挙げた。「奇襲」と書いたが、実際にはアメリカに筒抜けだったらしい。朝日新聞に潜り込んでいたゾルゲ機関の日本人スパイの例を挙げるまでもなく、当時も売国奴は沢山いたということだ。暗号が駄々漏れだったことが、最大の敗因だと私は思う。しかし、なぜかこのときだけは、「ニイタカヤマノボレ」という原始的な合図だったので、直接にはばれなかったのであるが。
太平洋戦争の緒戦。日本の前に、まさに敵はなかった。マレー・フィリピン・ジャワと、連戦連勝。空軍同士の戦闘でも、わが零戦の前に、敵はなすすべもない。陸軍にいたっては、マレーの虎として世界中にその名を轟かした山下大勝率いる日本軍将兵の前に米英もなすすべがない状態だった。
シンガポールでは、将兵たちの血のにじむ努力の末、イギリス軍を無条件降伏に追い込んだ。ほんの35年前、日英同盟の蜜月関係が、いまこうして正反対になってしまっているのは何とも皮肉な話だ。
のち、日本を占領したマッカーサーも、フィリピンでは単身逃げてしまっている。が、これは彼の高度な戦術であったのだろう。バターン半島では、有名な「死の行進」が行われる。バターンの要塞に突撃し、今度はアメリカ軍を降伏させた。アメリカ軍は口々に日本の将兵の闘魂の凄まじさを述懐している。
この際、降伏したアメリカ人に対し日本兵がそれを引率して歩くのだが、日本兵1人に対し、米兵500人を引率した例もあるほどという。しかも、米兵の半分ほどしかないような小さな日本兵が米兵を引率している。つまり、それだけの戦力差のなか、わが将兵は諦めず、戦力差を吹き飛ばしたのだ。なんということだろう。
日本兵は、自らの食料をかなり捕虜にあげてしまった。このとき日本の食糧も完全に枯渇していたのだが、困っている人を無視するような皇軍教育はなされていない。自らが飢えても乾ぱんを分ったのだという。これは、山岡氏の友人記者が現地で取材した正しい記事に基づく話だ。
にもかかわらず、「死の行進」などとして世界中に「残酷な日本」を印象付ける宣伝に利用されてしまった。朝日・中韓は歴史教科書にこのエピソードを紹介することを許しはしまい。
とにかく、日露〜WW2までの日本兵は、陸海空すべてにわたって最強だったことは微塵の疑いもない。米英独路中・・ことごとく破っているのはまさに日本以外にない。何といっても一人で10人を相手にする精神力で圧倒的なのだ。
が、戦局はやがて絶望へと変わる。敵は無限の銃弾を湯水のごとく使うが、我が方は1発の弾もなく、全ての戦局で刀で戦うようになっていくからである…。それでも滅多なことでは負けないほどに将校は大奮戦していく。
いまはまだ呉軍港に眠る戦艦「大和」の発進も近い。我が方が、挙国一致、全国民が歯軋りして戦い抜く真の太平洋戦争は、今まさに始まったばかりである…

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小説太平洋戦争 1

2009/11/03 12:21

太平洋戦争の開始から終結までを描いた長編小説

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:CAM - この投稿者のレビュー一覧を見る

 山岡荘八氏による「長編小説」である。文庫第1巻の冒頭「執筆を終えて」によると、書き出したのが昭和37年、その後昭和46年の9月まで月刊小説雑誌に連載してきたということである。

 評者は、「山岡荘八」という名前は長編小説「徳川家康」の著者としては知ってはいたが、実際に著作を読むのは本書が初めてである。

Wikipediaによると、山岡荘八氏とは、

>1938年に「約束」で「サンデー毎日大衆文芸」入選。長谷川伸の新鷹会に入会し、新しい文学の創造を目指す。第二次世界大戦中は従軍作家として各戦線で活動。戦後、大ベストセラー『徳川家康』によって国民作家となる。同作品で第2回吉川英治文学賞を受賞。 その一方で保守系の政治家や文化人との付合いも多く、1963年には麻薬追放国土浄化連盟を福田恆存・市川房枝・田岡一雄・田中清玄らと結成。1974年には谷口雅春や岡田光玉と「日本を守る会」を結成し、これは現在の日本会議へとつながっていく。自衛隊友の会会長も務めていた。

 「執筆を終えて」で、著者は日支事変への従軍中の実感から

>日支事変を泥沼へ追い込んでいるものは、決して近衛や東条でもなければ蒋介石でもないようだった。両者が握手しそうになると、列強の間から援蒋の手が動いたり、原因不明の不思議な事件が突発したりして戦線は思わぬ方向へ拡大する。前者の主役はアメリカとイギリスであり、後者にはコミンテルンの手が動いている、ということだけは気づきだしていたが、それがそのままアメリカもイギリスもソ連もみな敵に廻して戦わなければ、解決の道はないとまで考えつめたことはなかった。

 と述べているが、日米開戦前の情勢から真珠湾空襲までを対象とする第1巻では、我が国指導者の非戦への努力にもかかわらず、英米等の指導者の策略により我が国が戦争に追いこめられていった事情が描かれている。

 こうした内容や著者の経歴等を見ただけでアレルギーを起こす方もおられるかもしれない。しかし、評者は、全9巻のうちまだ第2巻の途中まで読んだに過ぎないが、一読に値する「小説」だと感じた。先を読み進むのが楽しみである。それにしても「山岡荘八歴史文庫」が全100巻とはすごい(その内『徳川家康』が26巻)。

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小説太平洋戦争 9

2023/05/13 07:48

戦争を否定する著者の気持ちに共感

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る

戦争終結とともに自殺する軍人たち。今ではおよそ考えられない考えの下の行為で、これは昔の侍のようです。こういったことは、遠い昔のことのようでありながら、わずか80年ほど前の出来事。この本を読んで戦争は絶対にやってはいけないこと。そして戦争終結後の満州国に残された人たちの悲劇も、辛い出来事。著者のソ連を憎む気持ちはよく分かります。そして印象的だったのが、ラスト2ページ。どんな理由があれ、戦争を否定する著者の思いは、今の某国々のお偉い方に読ませたいと、強く思いました。

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小説太平洋戦争 8

2023/04/29 11:27

戦争を終えることの難しさ

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る

いよいよ武器もなくなってくる沖縄戦。当時の指揮官が、最後の戦いに臨む際に打ったいわゆる決別電報が多く出てきますが、申し訳ないという気持ち、愛国心が偲ばれる内容で、読んでいて何とも言えない気持ちになりました。そして原爆。著者は、人を殺し合う戦争が行われていて、科学技術も進歩するのだから、高度な兵器が使われるのはやむなしとの意見。戦争そのものが良くないということなのでしょう。そして思ったのは、戦争を始めることの簡単さに比べて終えることの難しさ。原爆を落とされてさえ、なおポツダム宣言の受諾に逡巡する幹部や軍の将校たち。そう思うとウクライナ問題もなかなか治らないのかなあとそんな気持ちにもなりました。

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小説太平洋戦争 7

2023/04/15 03:41

極限状態の戦争の悲劇

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る

この巻は、硫黄島の戦いから。ここが占領されると、いよいよ本土まで爆撃機が来れてしまうということで、必死の防戦。しかし、ここでも2万人以上の人が死ぬことに。沖縄での決戦に向けて、徐々に民間人にまで被害が出始め、特に沖縄では、小学生までが戦闘員にさせられることに。現場では負けると思っていながら、突撃して死ぬことを主張するのが正しいのか、冷静に退いて生きることを取るのが正しいのかさえ、誰も分からなくなるような極限の戦争状態の悲劇を、改めて痛感させられる巻でした。

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小説太平洋戦争 5

2023/03/19 11:35

早く終わればいいのに。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る

どんどん悲惨さが増してきます。サイパン島では、戦闘員かどうかにかかわらず、大勢が命を落とすことに。島の洞窟では、戦闘員が、非戦闘員の子供が泣くと、敵に見つかるから出て行けと言ったり。そして行き場がなくなり、仕方なく首を吊る人たち。一見、戦闘員を憎んだりしたくなりますが、みんな自分の生命を守るのに必死なので。そしてこの巻の最後は、神風特攻隊。自ら爆弾と化して、敵に体当たり攻撃をするこの攻撃方法。ここまでしないといけないのか、もう早く戦争なんてやめればいいのにと思いました。

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小説太平洋戦争 2

2023/02/11 20:35

序盤は快進撃の日本軍

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る

開戦後、序盤は東南アジアで快進撃を続ける日本軍。その目的が、資源にあったことに恥ずかしながら、この小説を読んで初めて知りました。マレー半島、フィリピン、インドネシアと、次々と攻略。なかなか読みにくい部分もあり、読むのがしんどいのですが、まだ先は長い。

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小説太平洋戦争 1

2023/01/28 20:16

日本贔屓の内容

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る

最初に『執筆を終えて』から始まりますが、これが印象的。この小説がどこまでノンフィクションかフィクションなのか分からず、でも一方で、戦争が行われたのは事実なので、なんとも言えない気持ちで読みました。太平洋戦争の始まりっていつなのか、やはり昭和2年の満州事変からなのかな。20年近い戦争の最終盤が、この最悪の太平洋戦争。しかし、欧米に戦争をするよう仕向けられた。相手は原爆を落としたのに、日本はホノルル市街に被害は与えていないといった内容をはじめ、日本贔屓の論調が、かなり偏った見方かもと、気になりました。残り8巻!

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小説太平洋戦争 6

2023/04/01 20:06

誰も幸せになれない戦争

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る

中央からの無理な命令を伝える者、それを受ける現場の将、それを更に伝えられる現場の兵隊。三者三様で、誰も幸せにならない辛い戦争です。そして『人間抹殺の悪業を認めるほど立派なイデオロギーなどがあるはずないのにそれがあたかも正義であるかの如く妄想して愚行を演じ合っている』戦後24年時点で著者が書いているこの一文が、この巻では印象的でした。

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