木枯の酒倉から・風博士 みんなのレビュー
- 坂口安吾 (著)
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木枯の酒倉から・風博士
2001/03/29 17:00
翔けぬける安吾、到来する風
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投稿者:呑如来 - この投稿者のレビュー一覧を見る
凄烈であると同時に枯淡な<光景>。文壇デビュー当時の本作品集で、疾うに世の実相を見据える視線を獲得していた安吾は、既存の「文学」を解体し、その威光を無に帰した場所に自らの立脚点を見出している。
徹底して感傷を廃し、唐突に小説の終わりを宣言しもするエクリチュールは、逆説的に読者を深い感慨へ導いてゆく。完成を拒否する「木枯の酒倉から」、時間軸が歪んでいるかのような「黒谷村」といった本書の作品群に流れる空気感は、安部公房の初期作品に流れているそれと驚くほど似通っており、漱石を想起させもするほどだ。
存在自体の物悲しさが漂う小説。それがなぜか爽やかな夏の風に感じられるのは、安吾が諦念や悟りとは無縁の「力への意志」を持っていたからに他ならない。日本の文学を語る上では必読の一冊である。
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