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今こそアーレントを読み直す みんなのレビュー

  • 仲正昌樹 (著)
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みんなのレビュー4件

みんなの評価4.0

評価内訳

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紙の本今こそアーレントを読み直す

2009/08/25 16:47

「アーレントはひねくれている」というスタンスで「ひねくれて書いた」わりにはまともな入門書。

16人中、16人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 アメリカ的自由擁護、全体主義批判の政治学者として位置づけられることが多いのだが、必ずしもアメリカ的自由を全面的に支持しているわけでもない、アーレント。「エルサレムのアイヒマン」(1963)や「リトルロックについて考える」(1959)での比較的わかりやすい指摘には理解できうなづける部分が多い。でも、「ではどうしたらよいのか?」という問いかけにははっきりとは答えてくれないもどかしさもあるのがアーレント、というのが私的なアーレントの印象である。
 この本は、アーレントを読んでは見たけれどすっきりしない、わかりにくい。でも気になる、という人(そういう私もその一人)には「こういう見方もできる」とちょっと理解を進めさせてくれる本である。

 著者の執筆のスタンスが面白い。
 アーレントは「少しひねくれている」。「アーレント自身、”政治”に関心を持って熱くなっている読者を挑発するつもりで、わざと「非挑発的」に、自らの政治哲学を展開している気がする。P218」というのである。「答えをあえて示さない、それがアーレントへの好みのわかれめ」。
 だから著者自身も、「わかったつもりにさせることを拒否してアーレントを紹介する。」という方向で本書を書き始めている。
 『「政治」について語る思想家は往々にしてわかりやすい結論にいきがちである。これは「宗教」に近い営みであろう P9』、と著者は序論からすっぱりと書いてくれる。窓の外から響いてくる「ワン・フレーズ」を強調する選挙演説を聴きながら読んでいると、その意味がよくわかる。「政治に参加すること」を強調したアーレントであるが、彼女の言う「政治参加」とはこういう「お祭り騒ぎ」のような形での参加とは違うということが、この本を読めばかなりわかってくるだろう。こんな部分は著者の「ひねくれた」書き方が爽快でもある。

 しかし、著者には不本意かも知れないが、この本はちゃんとアーレントの代表著書の解説も入っていて、わかりやすい「入門書」にもなっている。
 タイトルのように「読み直す」人ばかりでなく、哲学にも政治にも興味のなかった人が読んでみても、現代のさまざまな政治状況に引き寄せての著者の「ひねくれた」スタンスの解説は身近で読みやすい。
 終わりの方は、ちょっと普通の「アーレント解説本」に近くなってしまったところもある。著者自身が翻訳などもされた研究者でもあるからか、カントの説明(アーレントのカント解釈)の解釈)はかなり「普通」になっている気がする。

 「わかりやすさに慣れすぎると、”我々”一人一人の思考が次第に単純化していき、複雑な事態を複雑なままに捉えることができなくなる。P13」。これは本当にその通りだと思う。政治の問題だけでなく、我々は「わかりやすく説明してよ」と安直に言ってしまう、期待してしまうことが多くなっていないだろうか。それは説明する側にもいえる。書評もそれを手伝っているのかもしれない、という自己反省も含めてそう思う。
 アーレントは、そんな「人間性」を戒めてくれるところがある。「安易に答えをもとめないこと」「単純、明快に走りすぎないこと」「思考を停止しないこと」。「楽」に傾きがちな「人間のさが」をジンワリと批判してくれる?といったところだろうか。
 難しくても、自分で苦労して育てなければ自分の理解、考えではない。喜びにはならない。アーレントは、もしかしたらそんな基本的なことを説き続けているのかもしれない。アーレントらしいひねくれた」書き方で。

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