緋の鯱 みんなのレビュー
- 西村 寿行
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紙の本緋の鯱
2011/01/10 16:26
宇宙人襲来と、時を遡る旅
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
仙石チームの超能力の具合というか、怪しさ加減にますます磨きがかかってきたのである。仙石は首相から極秘の依頼を受ける。重罪犯を釈放せよという脅迫が司法関係者に届き、拒否した者は次々と謎の死を遂げているのだ。警察、司法、尋常な手段では解決不可能な、思念により人を操り殺す、悪魔の技と言うべきものであった。仙石文蔵たちは緋色のペイントをした女の存在を嗅ぎあてて、これを追いつめるが一足違いで国外脱出を許してしまう。
犯人は、ポーランド、そしてソ連に出現し、ソ連政府の脅迫に出る。KGBは宿敵である仙石に助けを乞う羽目になる。仙石はかつて能力を受け継いだ(「白い鯱」)、エベンキ族の長老オルガを助け、またソ連政府からの見返りに、北方領土4島と、絶世の美女にしてボリショイのプリマドンナを手に入れる。
悪魔は続いてアメリカの社会崩壊を目論み、仙石達は悪魔の正体を探り、戦いを挑む。挑んだというよりは、日本を皮切りにして挑み続けられていた。そして「悪魔」の狙いは、抑圧された民族、国家、人々を解放することにあったことも、徐々に明らかになってくる。さらに「悪魔」の超能力の起源が地球外にあったという衝撃の事実も。
その悪魔と仙石たちが戦ったのは、ことの成り行きというもので、報酬を受け取り、また挑まれたので戦ったのだということになる。そこに大国による世界支配体制を擁護する意図も無かったのだが、結果的に体制を支持する側に回ってしまった。それが必ずしも悪いこととも言えないのだろうが、いずれ世界秩序の対敵となる者はその性質を帯びる可能性は高く、仙石たちは再びそのジレンマに直面する可能性に怯えることになるだろう。これまでシベリアで、アマゾンで、CIAやKGBに滅ぼされようとする民族の側に立っていたのが、今回は悪魔達の力の強大さのためにか、まっしぐらに決戦に向かってしまうのだ。
戦いは時空を超えて、仙石文蔵の超能力と、十樹吾一、天星清八、関根十郎の格闘技、精神力の総合力にかかる。だが戦うことそのものの是非が彼らに重くのしかかる。世界の守護者、自由と享楽の信奉者であり続けることができるのか、そのための試練が襲いかかったのではなかったろうか。
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