氷結鏡界のエデン みんなのレビュー
- 著者:細音 啓, イラスト:カスカベ アキラ
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2015/09/29 15:36
つながる世界
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
天結宮、統政庁、異篇卿の共同部隊の活躍により、セラの鏡像という強力な幽幻種「アマデウス」「ミクヴェクス」「ヘケト・ラスパ」を何とか穢歌の庭に押し戻すことには成功したものの、シェルティス・マグナ・イールとユミィ・エル・スフレニクトールも一緒に穢歌の庭へと落下してしまった。それを伝え聞いたモニカ・イスペラント、華宮、ヴァイエル・バッハベルの前に、イグニドが現れ、二人を助ける方法が存在していると告げる。
一方、穢歌の庭に落下したシェルティスとユミィは、落下途中に幽幻種に襲われたことで離ればなれになってしまい、それぞれ別の場所に落下する。そこには、魔笛に汚染されていない街の姿が広がっていた。
「黄昏色の詠使い」「不完全神性機関イリス」に登場するキャラクターも出張してきており、ほのめかされていたリンクが明確になったと言えよう。それに伴い、シェルティスとユミィに課せられた辛い使命も明かされ、二人に選択を迫ることになる。
残されたモニカがまたもや可愛らしい行動をとってくれます。彼女にも幸せが訪れると良いんだけどね。難しいかな。
紙の本氷結鏡界のエデン 8 悲想共鳴−クルーエル・シャウト−
2012/01/24 15:50
モニカがめんどくさかわいい
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護士候補生シェルティスがかつての錬護士シェルティス・マグナ・イールであり、穢歌の庭に落ちて魔笛を宿している。それを巫女のユミィは隠していた。その秘密が異篇卿イグニドにより天結宮に伝えられ、大混乱を引き起こしてしまった。
その期に乗じて、巫女や千年獅の権力を削ろうと画策した天結宮の幹部と一部の錬護士が結び、ユミィの影響力を押さえ込んでいる間に、問答無用でシェルティスを監禁してしまう。
一方、シェルティスに好意を寄せるモニカは、自分が知らない秘密をユミィが知っていたことを知り、自分には知らせてもらえなかったことにショックを受けて塞ぎこんでしまう。
そして、シェルティスが警告した異篇卿イグニド襲来予告も、行方不明のレオンを探す春蕾たちには伝えられず、まんまとイグニドの思惑通りに事が運んでしまった。
というわけで、実はモニカの巻といっていいかもしれない。恋する乙女は好きな男に秘密をもたれていたことに落ち込んでしまい、しかもその秘密を共有していた相手がかつての後輩であることにもショックを受け、もはや彼や彼女を無視するしかないと言う心境だ。
しかしそんな不安定な状態が長く続くわけもなく、モニカは壊れる寸前までいってしまう。かといって、シェルティスが何を言っても今は無駄な部分もあり、こんな時にこそ仲間が大活躍する、という展開になっている。
一言でいえば、やきもちを焼くモニカがめんどくさかわいいとなるだろう。他人に好意を寄せることになれていない人間らしく、それが思惑通りに進まない時には全部ぶち壊したくなっちゃうわけだ。やっぱりめんどくさかわいい。
本編の進行とは全く関係ないと思うのだけれど、統政庁のゼアドールと黄金のマハの間で、なにやら変なフラグが立っちゃったみたいなのが笑える。…もしかしてこれも本編に関係しているのかな?何か因縁があるみたいでもあるし。
2011/07/05 11:42
強さを求めるゆえに生じてしまう弱さ
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浮遊大陸巡回任務についていた巫女と千年獅の姉妹、ヴィオラ・ノヴァとホルン・ノヴァが、天結宮へと帰還した。そのうち、ホルンとユフィの間には何らかの確執があるらしく、また、ホルンは実力のない護士たちを憎悪している。
そしてユフィは、浄化の巫女という称号を持っているにもかかわらず、浄化できない人々がいるという現実に打ちのめされ、訓練によって自らを痛めつける日々を送っていた。
そんな天結宮に届く、一通のメール。そこには、天結宮の護士の中に幽幻種が潜んでいると書かれていた。窮地に追い詰められそうになるシェルティス。そして、さらに追い打ちをかけるように、ホルンとユフィの確執の原因となった幽幻種が現れる。
その存在が明らかとなった第三勢力・異篇卿の攻勢に潜むオービエ・クレアとエデンに関する謎は、シェルティスやユフィの力の及ばないところで、彼らの存在を織り込んで物語を進行させていく。
そこには、彼らのごく側にいる人々も深くかかわっているようなのだが…。
2011/02/06 09:45
それぞれ違う目指すべき場所
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幽幻種の培養について統政庁が隠す秘密を派遣するため、統政庁が本拠をかまえる浮遊島に出向くことになった巫女ユミィと随員の護衛を務めるシェルティスたちだったが、両者の会談は遅々として進まない。同行した錬護士筆頭イシュタルは、事態を打開するために、統政庁の最奥部に保管されているという、全てを見通す秘宝・ミクヴァの緋眼へのアクセスを試みることを提案する。
その提案を受けたユミィは、決死の潜入となる人員を選び命令することをしなければならないのだが、犠牲になるかもしれない任務を誰かに託すことに逡巡してしまう。そんなとき、彼女の側に立つことができるのは…。
開始当初から前作『黄昏色の詠使い』との関連性が匂わされていたが、ますますそれがはっきりしてきたように思う。直接的に関係しているかは分からないけれど、何かはありそう。
今回は、錬護士筆頭という千年獅を目指せる地位にありながら、あえて今の地位に留まっているイシュタルが目指すものが明らかになる。シェルティスにしても他の千年獅にしても、地位が欲しくて戦っているようには見えないので、根源的にはイシュタルが戦う理由と同じものを抱えているのかもしれない。
またまた色々と世界の秘密がほのめかされ、6巻へと続いていきます。
2010/08/21 15:11
動き始める周辺
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統政庁に出向くユミィの随員の護衛任務に応募しようとするシェルティスたちだが、応募要件は4名のチームであること。不足の一人をうめるため、華宮の推薦によってヴァイエルという青年を臨時メンバーとすることにする。しかしこのヴァイエルは、怠惰で実力も不足しているようにしか見えない。
応募者をふるい落とす予選はシェルティスの実力で突破したものの、最終選考試験はチーム力が要求される巡回任務。ヴァイエルに対する不満だけでなく、モニカの指揮力に対する不安や、他人と一緒に戦うことに慣れないシェルティスなど、課題点がいっぱい。果たしてこれらの課題を解決し、無事に護衛任務に着くことができるか。
一方で、護衛の対象であるユミィは、謎の女性ツァリの導きによって氷結鏡界が張られる以前の世界の出来事を見せられていた。
次巻の準備段階という感じなので、あまり派手な事件は起きない。ユミィとモニカが再会し、モニカとユミィがやきもきするくらい。
全体としてヴァイエルの存在意義にはあまり納得できなかった。彼を護士候補生として雇う代わりに、もう少し安い給料で用務員でも雇えば済む。終盤でのヴァイエルと華宮のやりとりも、そう。練習で信頼できないヤツをいきなり実戦で信頼するなんて無謀だから、初めから勘定に入れないのは当然の扱いだと思うんだけどな。
2010/04/18 16:14
シェルティスを縛る二律背反
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正護士になるためには候補生3人以上で部隊を組んで任務をこなすことが必要だが、候補生たちから敬遠されるシェルティスには、個人的な実力はあっても仲間を募ることが出来ない。前回の事件で仲間となったモニカと部隊を作ることになり、必要なメンバーはあと一人という時に、モニカやエリエのつてをだとって出会ったのが、華宮というネルの民の少女だ。
警戒心の強いネルの民である華宮に信頼してもらうには、シェルティスの抱える秘密を話さなければならない。しかし話してしまうと、天結宮から追放されてしまうかもしれない。ユミィを護るには正護士にならないといけないが、そのために必要な仲間に秘密を話すと追放されるという二律背反を抱えて迷うシェルティスだが、そんなときにユミィの演説を聞いて少し迷いが晴れるのだった。
前回の研究所で見つけた幽幻種を閉じ込める水槽が、今回の事件でも関わってくる。そしてその事件の影に見え隠れする統政庁の影が、浮遊大陸の秘密を握っている感じ。
相変わらず今回も、実力にまかせたシェルティスの独断専行が目立ちます。
2009/12/18 17:01
巫女の孤独
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護士候補生として天結宮に再入宮したシェルティスだが、彼がいない三年の間に護士の昇格制度も大きく変わっていた。突出した技量を持つ戦士の育成ではなく、集団戦力としての増強を重視する。ゆえに護士候補生は三人以上で部隊を作り、その評価により昇格するシステムとなっていた。
訓練冒頭から圧倒的な実力を見せつけながらも、他とは異なる黒の衣装を身にまとい、異質な雰囲気を振りまくシェルティスは、容易に部隊を組むことが出来ない。しかし、ある早朝に、巫女としての術を使う、同じように孤立した護士候補生モニカと出会うことで、コンビを組むことになる。
レオンの強引な招集で、極秘の任務に借り出されるシェルティスとモニカ。そこで見つけるのは、天結宮と緩い対立をしている統制庁が隠す秘密。そこでの戦いを通じて、シェルティスは巫女と千年獅の本当の姿を学んでいく。
千年獅に匹敵する戦力を備えるシェルティスが一番下っ端からやり直すということで、実力的な違いをシステムで補うようにしているみたい。合わせて、ひょいひょい出歩けないユミィの代わりに、巫女の修行をしたモニカを身近に配することで、彼が知りえなかった巫女としてのユミィの姿を教えている。
もはや関係なくなってしまうかと思ったエリエとユトも、今後も色々とストーリーに絡んで来るみたいです。
2009/09/19 21:42
世界の理が否定したとしても、それだけでは諦められない
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浮遊大陸オービエ・クレア。その下に広がるのは穢歌の庭と呼ばれる領域で、そこに住む幽幻種から大陸を守るため、氷結鏡界という結界が、皇妃と巫女たちによって張られている。
シェルティス・マグナ・イールという少年は、かつては氷結鏡界と巫女たちを守る護士の一人であり、穢歌の庭に落ちて生還したただ一人の人間でもある。その結果、巫女の宿す沁力と反発する幽幻種の力、魔笛を宿すことになり、護士から追放され、巫女の一人である幼なじみユミィ・エル・スフレニクトールとは手も触れあえなくなり、彼女を守るという約束も果たせなくなってしまう。
それから数年後、居住区で普通の生活をするシェルティスは、再び幽幻種と遭遇してしまう。それらのとる奇妙な行動は、平穏な生活の終わりと、昔の約束を取り戻すための闘いの始まりを告げるものだった。
前作と同様に、沁力と魔笛という対立する存在と歌が軸にあるみたい。シリアスな状況にありながら、今のところ軽妙な印象も並立するのは、居住区に住む一般人のエリエとユトという存在のおかげである気がする。
この辺のバランスが上手く取れれば、面白いシリーズになる感じがする。物語自体は始まったばかりで、まだまだ色々な要素がこれから登場するのでしょうけどね。
紙の本氷結鏡界のエデン 9 決戦限界−アマリリス・コーラス−
2015/09/15 16:23
色々と忙しい展開
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護士候補生シェルティスが穢歌の庭に落ちた錬護士シェルティス・マグナ・イールだった事実の発覚は、彼を天結宮から遠ざける結果となった。華宮、ヴァイエル・バッハベルと共に生態生育野の巡回任務につけられたところに、怪我の治療で遅れていたモニカ・イスペラントが合流する。そして自分の思いを自覚したモニかはシェルティスに迫り…。
一方、シェルティスと決定的に離されることになった浄化の巫女ユミィ・エル・スフレニクトールの許には、セラの鏡像という強力な幽幻種が3体現れたとの報告が寄せられていた。アマデウス、ミクヴェクス、ヘケト・ラスパは、氷結鏡界をあっさりと破り、しかし中枢には踏み込まず、なにやら画策をしている。
怪我をしたレオン・ネストリウス・オーヴァ、拉致された春蕾・ピア・ヌクレネン。現状の戦力を検討した結果、自分が捨て身で挑むしかないとのユミィが覚悟を決めたとき、統政庁と異篇卿からそれぞれ、思わぬ知らせが入るのだった。
今巻は色々と事態が動く。これまでは敵対していた勢力が、突然出現した幽幻種を前に協力関係になったり、イグニドの正体が明らかにされたり、シェルティスとユミィに新たな試練が訪れたり、モニカが仕掛けを始めたりする。
弛緩したり緊張したり、色々と忙しい展開だ。
2015/08/17 13:16
暴かれる過去の出来事
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統政庁・天の車のヒューイックと共に、異篇卿の本拠地へと強攻偵察を仕掛けることになったシェルティスとレオン。天結宮でサポートに徹することになるユミィや春蕾は、いつもは感じない不安を感じてしまう。
一方、完全な居残組にさせられてしまったモニカは、シェルティスに同行できないということに、何か釈然としないものを感じてしまう。それはどうしてなのか?その想いの根源を突き詰めていくと、それはモニカとシェルティス、ユミィ、3人の関係を崩す想いにつながっていくのだった。
そんな状況の中で訪れた敵の本拠地。そこでシェルティスとレオン、それぞれが出会う、彼らの過去に大きく関係する人物とは、そしてそこで知らされる真実は、浮遊大陸に何をもたらすのか?
第一楽章「再始」が終わり、第二楽章「世界で一番近くて遠い夢」に続く。
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