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捨て犬・未来&きららものがたり みんなのレビュー

  • 今西乃子・著, 浜田一男・写真, カケヒサトコ・絵, ひろみちいと・絵
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みんなのレビュー3件

みんなの評価5.0

評価内訳

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3 件中 1 件~ 3 件を表示

「私は、未来ちゃんを幸せにすることで、私も幸せになりたいんです。だから……、里親を希望したのです……。」

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は、『命のバトンタッチ』で語られた、
「右目負傷、右うしろ足切断、左足の指がすべてない」という
人為的な障害を負った柴の子犬・未来の物語の続編である。

『命のバトンタッチ』では、未来が
千葉県動物愛護センターの見学に訪れた
ペットシッターの山口麻里子さんに引き取られ、
里親さんのところに送り届けられるまでが語られたが、
本書では、未来が里親さんとともに学校に行き、
「命の授業」を行うことが中心テーマである。

『命のバトンタッチ』では明かされなかったが、
実は、未来の里親は著者自身なのである。

それが本書の冒頭で明かされることになる。

それがわかって『命のバトンタッチ』を読み直してみると、
ペットシッター・山口麻里子の目線で、
未来の里親としての著者自身を描いていたことに、
描き方としてのおもしろみを感じた。

山口麻里子と未来自身に焦点を当てたかったというのもあるだろうし、
そのとき(出版年は本書の3年前である。)は
まだ伏せておきたかったのかもしれない。

『命のバトンタッチ』のプロローグとエピローグは、
この『しあわせのバトンタッチ』につながる、
未来の散歩のシーンが描かれていた。

未来を散歩していると子ども達が寄ってきて、
どの子も心を開き、未来に話しかける。

それが、著者が命の授業を展開するきっかけとなったのだ。

一方、本書のプロローグは、
山口麻里子さんに助けられるまでのことが
未来の言葉で語られている。

  わたしは死ぬために生まれてきたのではありません。

  生きるために生まれてきたのです。

本書では、著者の手に未来が引取られたところから話が続けられる。

未来を散歩に連れ出すと話しかけてくる子ども達。

そのとき、著者は出前授業や講演会で出会った多くの子どもたちの声を思い出す。

  「自分が、何のために生きているかわからない―」

  「生きている価値が見いだせない―」

  「自分のことが好きになれない」

著者は、この答えは、未来が導いてくれるのではないだろうかと考える。

ここで思い出されるのは、『命のバトンタッチ』の中で、
著者が山口麻里子に語った言葉である。

  私は、未来ちゃんを幸せにすることで、
  私も幸せになりたいんです。

  だから……、里親を希望したのです……。

このときからすでに、著者にとって、未来の里親になることは、
「自分のことを好きになること」、
自己肯定感というテーマと結びついていたのかもしれない。

さて、未来は、病気ひとつせず、いたずらいっぱいで元気に成長していた。

  未来がもっとも不自由なく走れるのは、海岸だ。

  海岸の砂はやわらかく、クッションとなる上、
  短い右うしろ足が砂に埋まっても走ることができる。

  未来は走った―。

著者は、未来が1歳を過ぎ、成長したのを機に、
真剣に学校に連れて行きたいと考え始めていた。

著者は、命の授業で、『命のバトンタッチ』のストーリーにそって、
未来がすてられていた時から今にいたるまでを、写真を追いながら話を進めていく。

未来の学校でビューは、小学校3年生の78名の子ども達が最初だった。

本書ではその様子がそのまま講演のときのような話し言葉で展開されていく。

子どもたちの正直な意見もリアルに語られていく。

虐待されて、人間が嫌いで、
君を見たら唸ってくるような犬だったら、
君は飼えるのかという問い。

飼えない。

野良犬だったら生きていけるのか。

野良犬は住民からの通報があれば捕まえることになっている。

飼い主不明犬として捕まえられ、
動物愛護センターにやってきた犬たちはどうなるのか。

新たな飼い主が現れないかぎり二酸化炭素で殺処分。

かわいそうという言葉、
著者はここでもかわいそうは嫌いな言葉だとはっきり言う。

この犬のために何ができるのかと問いかける。

  誰かの責任にする……、
  誰かに罰を下すことが今日の授業の目的じゃないんだよ……。

  消えていく命に対してどう思うのか、
  みんながどう感じるのか、
  そして自分に何ができるのかを考えてほしいんだ……

未来がセンターに送られてきた時の写真を見た時の
子どもたちの反応も率直に書かれている。

そして、麻里子がこの犬を助けたこと、
だが、もしそれが自分だったら、
きっとその勇気はなかっただろうということも率直語る著者。

そして、成長し、変わっていく未来の写真。

本物の未来が登場したときの子どもたちの反応。

子どもたちの反応を見て著者は思う。

  生きていれば変わることができる―。

  どんなにつらいことがあっても生きていれば幸せはきっとくる。

最初と今の変化、それが生きていることの力だと、
著者は子ども達に伝える。

もう少し高学年に対しては、
著者は、自分のことが好きかどうかと問いかける。

それはなぜ麻里子が障がいのあるその子犬だけを
選んで引き取ったのかという問いにつながる。

なぜ健康な犬ではなく障がいのある犬を引き取ったのか。

麻里子の過去に焦点が当たる。

障がいのある犬を引き取ったのは、誰のためなのか。

その問いが自分を好きかどうかというところに返ってくる。

子ども達は、真剣に、率直に、深く、このテーマに関わっていく。

大人が思うよりもずっとずっと理解が深いのかもしれない。

しっかりと自分に引き寄せて考えている。

  どんなにつらいことがあったって、幸せはきっとくる。

  でも、それは、誰かに復習することでも、
  自分をきらいになることでもないよ。

  大切な誰かと自分自身を愛してまもれる、
  そんな生き方こそが、幸せにつながるんだ!

著者は、未来を育てて、経験したこと学んだことを、
命の授業を通して、子ども達に伝え、
同時に子ども達から学んでいるのだ。

未来の言葉で語られるエピローグは、
『命のバトンタッチ』のプロローグ、エピローグともつながっている。

本書は『命のバトンタッチ』の続編というだけではなく、
循環し、補完しあう関係なのである。

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「犬はね、どんな犬もみんな、みーんな、やさしい心をもっているよ。あったかいよ。だって……生きてるんだもん」

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る

『命のバトンタッチ』と『しあわせのバトンタッチ』は、
「右目負傷、右うしろ足切断、左足の指がすべてない」という
人為的な障害を負った柴の子犬・未来の物語である。

『命のバトンタッチ』は、未来が
千葉県動物愛護センターの見学に訪れた
ペットシッターの山口麻里子さんに引き取られ、
里親さんのところに送り届けられるまでの物語である。

プロローグとエピローグに登場するのは
里親さんが未来を散歩しているシーンで、
未来がいると子ども達が心を開いて話しかけてくる。

  たくさんの大人は未来の足を見て
  「かわいそう」としか言わないのに、
  子どもはかならず「未来ちゃん、がんばってるね! 
  すごいね!」と言ってくれます。

  子どもたちは未来から
  たくさんの勇気をもらっているのでしょう。

このエピソードが、『しあわせのバトンタッチ』で展開される、
学校で命の授業を行う話へとつながっていく。

本書では、未来の里親さんが誰だか明かされていない
(『しあわせのバトンタッチ』ではわかる。)のが特徴で、
山口麻里子さんを中心に話が進んでいく。

初出では「山口麻里子」、以後「麻里子」という三人称で語られ、
彼女の内面描写も深い。

彼女がどういった家族構成で、
犬達とどんな思いで接してきたのか、
動物愛護センターをどんな思いで見学したのか。

  この部屋の犬たちは一週間後、次の部屋は6日後、
  そして、最後の部屋にいる犬たちは明日の朝、
  密閉されたまっ暗なステンレスの箱においやられ、
  何十頭もいっしょにおしこめられて、
  二酸化炭素ガスで窒息死させられてしまうのだ。

  その時間は5分から15分と言われていた。

本書は動物愛護センターの現実を書き切っている。

ここで、麻里子は未来と出会う。

  「何……? この子……」

  それは、小さな、小さな、あまりにも小さな子犬だった。

  しかも、右目がざっくり切られて大けがをしている。

  ところが大けがをしているにもかかわらず、
  子犬は、麻里子を見ると、
  大よろこびでしっぽをふって近づいてきた。

  ヒョコ……ヒョコ……。

  歩き方が少しへんだ。

この印象的な出会いのシーンは、
同じ著者の『読書介助犬オリビア』を思い出させた。

サンディとオリビアもアニマル・シェルターで出会っているのだ。

このとき、麻里子は、未来を連れて帰っていない。

だが、彼女は、忘れることができなかった。

ここで彼女がどんな風に犬と接してきたのか、
犬の里親ボランティアをするのなら見ておくべきだといわれて
動物愛護センターに見学にきたこと、
そして、
麻里子がこのときはまだ名もなき子犬だった
未来をなぜ忘れられなかったのかが
語られていく。

麻里子は、もう一度子犬に会いにいく。

彼女は、子犬を選び、未来と名付ける。

それは、最初は候補としていた犬を選ばないということを意味していた。

なんという重い選択だろう、運命だろう。

そして、なんという縁なのだろう。

未来は足に重い障害を持っていたが、麻里子の家で、
麻里子が飼っている他の三頭の犬の中で
社会性を学びながらすくすくと育っていく。

未来は負けん気の強い、勝気な女の子で、
指のない小さな肉球が残った左うしろ足だけで、
トコトコとよく走り回る犬だった。

1歳(人間で言えば18歳)で体重18キロのタイソンと
体重2キロに満たない未来は
元気いっぱいプロレスごっこをしているというくらい。

処分寸前で連れてきた子犬がどんどんけがを回復して、
元気いっぱいに毎日を生きる姿に麻里子は心を動かされる。

  この子は絶対に死にたくなかったのだ。

  生きていたかったのだ。

  それが、自分の心を動かしたにちがいない。

気が強い未来は、大きな先住犬たちをものともせず、
飼い主の麻里子の次は怒るとこわいと思うマーカスだが
その次は自分だと思っている元気のよさ。

遊んでいる未来を見ているうちに、麻里子は気づく。

ふかふかの布団の上なら、未来は四本とも足がつくと。

未来の様子はホームページに公開していたため、
彼女のためにたくさんの役立つ品が送られてきていた。

そして、里親募集もしていたのだが・・・。

掲示板にも未来を応援するメッセージがたくさん寄せられていた。

  ハンディのある未来を一生飼うことは
  かんたんなことではない。

  未来のことを真剣に思えば思う人ほど、
  うちで引きとるとはかんたんに言えないはずだ。

未来の里親候補は何人か現れたが条件に合う人はなかなかいなかった。

そして、「千葉県在住の40歳の女性で、夫と二人ぐらし、
現在は5歳になる犬を飼っている」という人から応募がある。

その人は、以前の里親候補をなぜ断ったのか訊ね、
その候補の語った「かわいそう」という言葉に敏感に反応する。

  "かわいそう"ですか。

  なぜ、その方たちは未来ちゃんを見て
  かわいそうと思ったんでしょうか?

  ネットで掲載されていたセンターでの写真ですか、
  切りとられたうしろ足や傷ついた右目のことですか?

  あわれみだけで、
  「命」はあずかれないのではないでしょうか。

彼女の言葉はさらに続いている。

麻里子はそれに対して、
「かわいそう」だから何かできないかという立場を否定はできない、
そこから少しずつはじめたいと思うことだってあると考えている。

里親候補の女性は言う。

  ハンディがある未来を引きとることで、
  自分がどこまでこの子を幸せにできるのか、
  チャレンジしたかったのです。

  私は、未来ちゃんを幸せにすることで、
  私も幸せになりたいんです。

  だから……、里親を希望したのです……。

「かわいそう」と思う立場に対して、意見が異なった二人だったが、
未来を幸せにすることで自分も幸せになりたい
という思いは二人をつなげたのだろう。

  人間は犬から、あたえてもらうだけあたえてもらい、
  何もかえしてはいないように思えた。

  だからこそ……、その命を助けることは必要だ。

  しかし、ほんとうにたいせつなのは
  動物たちを殺す処分所が必要でなくなる世の中なのだ。

本書は、犬を取り巻くつらい現実を描写している部分もある。

だが、その現実の中で、暖かい陽の光のような
生命力を感じさせる存在感を未来は持っている。

犬と縁を持とうと思うすべての人に手に取ってほしい1冊である。

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読書感想文におすすめです

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yuifuumaa - この投稿者のレビュー一覧を見る

夏休みの読書感想文に子どもが選びました。
小学校5年生で、あまり普段本を読まない子ですが、
読みやすく、拾われたわんちゃんが
たくさんの愛により、ボランティアを通じて沢山の人に愛を与えていくという素敵なお話です。

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