世界がもし100人の村だったら みんなのレビュー
- 池田香代子, C・ダグラス・ラミス
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世界がもし100人の村だったら
2003/12/09 02:47
感銘を受けた人は覚えていますか。この本のことを。
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:味噌まめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
今更って感じですが、今更だから採り上げます。
このメール、届いた人もいるのではないでしょうか。
本書は63億人いるこの地球を100人に縮めて、そこに統計学によって出されたデータを絡めて、世界の状況を伝えようとしています。
100人の方が数の想像がしやすいから、自分の、世界の置かれた状況が分かりやすくなるのでしょう。
って本当かよ。
いや確かに、そういう面もあると思います。
わたし達の置かれた立場が恵まれている事が分かります。
とは言うものの、こんな事、小学校で社会科の授業を受けたりすればたちどころに分かるようなものではないでしょうか。
自分たちは恵まれていて、しかし他方には恵まれていない人たちがいる。そしてそういう状況を作り出した責任の一端を私たちは否応なく担っている。それは仕方のない事である。
少なくとも日本に生まれたならば、そういうことを折込済みで生きてきたのではないでしょうか。
それでも、10代の方が感動するのはいいでしょう。
大の大人が感動するなよ。
それからこの本を読んで、自己啓発系の感想を書いている人がネットに見受けられました(以前とは物事が違って見えるようになったとか。自分たちが恵まれているのがわかった、日々を大切に生きていたいとか)。
恵まれない人間を踏み台にして跳び箱を飛ぶなよ。
ちょっと脇が甘すぎない?
こういう人間が一番困る。
明らかにこの本を「消費」してるから。
この本のほとんどが二分法により、書かれています。幸せな方・そうでない方みたいに。
冒頭はこうなっています。
中学校に通う長女の担任は生徒たちに毎日メールで学級通信を送ってくださるすてきな先生です。
そのなかに、とても感動したメールがあったのでみなさんにも送ります。
本書にこういう記述があります。
村人のうち1人が大学の教育を受け、2人がコンピューターをもっています。
けれど、14人は文字が読めません
本書が「みなさん」と呼びかけているのはこの村のわずか2人だけです。
なぜこのメールが拡がったのか考える必要がありそうです。
このメールが「感動したメール」だからでしょうか。
もしそうなら、私たちが安全地帯にいる故ではとも思えてきます。
このメールはそういう人間にしか回ってきません。
多くの日本人は「家のまわりに小銭が転がっている人」です。
本書の表現を借りれば「もっとも豊かな8人のうちの1人」です。
一方「1人は死にそうなほど」栄養が不足しています。
同じ1人です。
この1人という数は等価なはずなのに、前者を少なく、後者を多く、私たちは見ていないでしょか?
このあたり、100人に縮めたことが、詐術のように少しだけ思えてならないのです。
正直この本を批判するのは気が引けます。
それは、この本を誉めている人と自分が同じ階層に生きるものであり、そう違いはないと思うからです。
趣味は読書の中で斎藤が「募金の送り先やNGOに連絡先などココから何かのアクションに通じるものがない」と批判したのは半分当たって、半分はずれています。
だって感動した人、私のように斜に見た人の中でそんなアクションを起こす人は少ないだろうと思うからです。
だから「そう違いはない」と書いたのです。
この本が現実の社会情勢を簡単的確に表していることも事実です。
将来この本を読んだ事で、弱者救済の道に進んだ人が表れれば、それはそれでいいことだと思います。
まぁ実際そういうコメントが出れば出たで、ナンなんだけど。
売上の方はいくらは分かりませんが寄付されたそうです(基金を作ったそうだ)。
そりゃ、こういう本で儲けちゃまずいなとは思いますけども。
かといってこの本の評価を変えるつもりはありません。
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