風雲児たち 幕末編 みんなのレビュー
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風雲児たち 幕末編19 (SPコミックス)
2011/08/27 11:50
吉田松陰亡きあと時代へ突入だ
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
「幕末編」も19巻になりました。しかも、きっとみなもと太郎が力を入れて描いていた人物たち(それを彼は「風雲児たち」と呼んでいるのでしょうが)の1人である吉田松陰の刑死が描かれた1巻です。
しかし、刑死そのものはむしろ淡々と描かれており、その前後の安政の大獄の全容や、刑死後の桂小五郎らの動向に力を入れて描いたという感じもあります。
そして後半は、その当時の西郷隆盛の動静と薩摩藩の動きが描かれており、「幕末編」の「幕末編」らしい話が続きます。
幕末は、このマンガを読むまでもなく、多くの傑物が出現した時代で、そんな人たちがいたから魅力的なのか、時代そのものが何か惹きつけるものがあり、だからこそいろいろな人物が現れてきたのかわからないところもありますが、この19巻あたりではそうした人物が入れ替わっていき、時代がまた動いていっているのだということを感じさせてくれます。
「幕末編」になってからコマのサイズが大きくなっているような気もしていましたが、ことこの19巻に限っては、そのコマサイズが内容とうまく合っているようにも思えます。
風雲児たち 幕末編14 (SPコミックス)
2009/02/01 18:33
有名どころで言えば井伊直弼が表舞台に登場してきた頃です
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
この第14巻にはプロローグがわざわざついています。今までの巻にはなかったのではないかと思います。では何故14巻にはついているのか。
実はこのプロローグが一番衝撃的なのかもしれません。事実上徳川幕府が崩壊したとも言える場面が収められているからです。
ネタばれになってもいけないので、プロローグのタイトル「ハリス仰天」だけ、ここに書き留めておくことにします。
14巻全体としては、(これまた何と)安政5年の状況で終わってしまいます。
これまで不勉強でしたが、徳川の幕末は徳川方と外様雄藩(薩摩、長州、土佐などなど)の政権争いかと思っていました。しかし、この14巻を読むと結構京都朝廷や公家もその争いに加担していたのだということを知ることができました。
それにしてもまだ安政5年なのか。
風雲児たち 幕末編12 (SPコミックス)
2008/02/11 22:42
大河ドラマが「風雲児たち」に追いついてきたような
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
まるでタイアップしているかのように、薩摩藩を中心とした話が続く12巻です。別に狙ったわけではないとは思いますが、篤姫の話がちらっと出てきたり、その前後の島津斉彬や西郷、大久保らの話は、2008年大河ドラマの解説をしているようです。
それ以外には、唐人お吉にからめて日米通商条約の話、阿部正弘が亡くなり幕府が崩壊の道を走りだした話なども収められています。
しかし、その合間を縫うようにして坂本龍馬が登場してくるのをみると、やはり作者が描きたいのは彼のことなのかもしれないと思えてきます。
これだけでもまだ安政の3年間ほどの話ですから、幕末まで(それにきっと明治維新後も描きたいのだろうから)どれくらい時間がかかるのか、楽しみに待ちたいものです。
風雲児たち 幕末編11 (SPコミックス)
2007/09/30 17:33
安政2年から4年あたりの話
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
この巻の冒頭が坂本竜馬の父親が死んだ場面で、時は1855年末となっている。そして巻末あたりの話が1857年なので、何と1冊で2年足らずしか時間が経過していないということになる。これでは何冊を費やしてもなかなか話が進まないはずだ。
それでもこの幕末編も11巻目になって、それなりに話が進んでいる。坂本龍馬が再び江戸へ上ってきた話、蕃書調所にかかわることになる前後の村田蔵六の話、適塾に福沢諭吉が戻ってきた話、勝海舟らが長崎から戻ってきた話、そしてアロー戦争、太平天国の乱を挟んで松下村塾を活発化させていた吉田松陰に母国へ帰る島津斉彬まで、わずか2年の間にもこれだけのことが起きていたことを変わらぬ筆致で描いているのだから、もう感心どころではない。それでもこの調子で幕末まで行くとしたら、あとどれくらい掛かるのだろう。
と思ってみたものの、よくよく見ればすでに1850年代なわけで、もうあと10年程もすれば大政奉還があるのだ。これからさらに描きつくされねばならない出来事や人物があるのだろうけれど、もうここまでこればあとわずかという気にもなる。
もう少し付き合い続けていきましょう!
風雲児たち 幕末編10 (SPコミックス)
2007/01/15 00:04
祝10巻!でも、この調子ならばまた20数巻と続いてくのかもしれない
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
幕末こそ、みなもと太郎が描きたかった時代であり、その時代に実に多くの人々が活躍して江戸から明治へと日本を作り上げていったわけなので、最近の『風雲児たち幕末編』は1話1話がエピソディックになってしまうのもやむを得ないかもしれない。多くの人たちが同時進行のように日本の各地で行動しているのを、まんべんなく伝えるにはこの描き方しかないのだろう。
この10巻では、安政の大地震後の幕僚たちに始まり、勝海舟、吉田松陰、村田蔵六、福沢諭吉、シーボルト・イネ、ハリスと、これでもかこれでもかと幕末の有名人が登場している。しかも、有名人だけでなく、川路聖謨、オランダ商館長、講武所の面々など、今まで一般の人には余り知られていなかったであろう人たちにまで光を当てている。
まだまだ本当(?)の幕末まで先は長いのだが、こうして見てくると、まさに時代のうねりと言うか、本当に多くの人たちがそれぞれに生きていったことの積み重ね、重なり合いが歴史を作っていったのだということがわかる。
学校の授業でもこうした人たちの生きた様を教えてくれれば、もっと歴史に関心を持ちもするだろうし、今を生きている私たちの中にも通じるものがあるということを知らしめてくれるのだろうに。それが無理とわかっているからこそ、私たちはこの『風雲児たち』を楽しむしかないのかもしれない。
風雲児たち 幕末編9 (SPコミックス)
2006/04/30 18:10
第9巻はロシアの話だけでなく、福沢諭吉も村田蔵六も勝海舟も出てきます
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
すでに『風雲児たち幕末編7』でも触れたことがあるのですが、このマンガでは日本外交史におけるロシアの果たした役割や世界史の中でのロシアの状況に多くが割かれています。今までどうしてこんなに多く割いているのか疑問に思わないでもなかったのですが、その理由がこの第9巻で少しわかったような気がします。当時はアメリカは新興国であり、世界はヨーロッパを中心に動いていたわけですから、例え農奴制が残る帝政ロシアであってもヨーロッパの一角を担う存在だったのですね。そして、ロシア自体の事情もあったのでしょうが、果敢に日本との関係を作ろうとしていた国だったのだから、当然多くを語る必要があったのですね。学生時代にきちんと世界史を勉強していたり、世界史、日本史をよく知っている人にすれば当然のことなのかもしれませんが、私には今回初めてよくわかったのでした。
こんなことまで教えてくれるこのマンガは、作者の目配りがあらゆるところに行き届いていて、どの巻も読み流すことができません。時に、その情報量に圧倒されてしまうこともありますが。
しかし、適塾での手塚良仙のエピソードは目配り過ぎのような気もしないではありませんでした。まあ、手塚治虫に敬意を表してといったところでしょうか。
風雲児たち 幕末編8 (SPコミックス)
2006/01/10 23:37
江川太郎左衛門の偉大さを改めて知った巻でした。
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
「遂に「安政」と改元、風雲急を告げる日本!」との帯コピーのある第8巻です。主な登場人物は、村田蔵六(大村益次郎)とお稲、江川太郎左衛門、坂本龍馬、吉田寅次郎(松蔭)、福沢諭吉と、いよいよ幕末の志士が登場してきました。
しかし、この巻の一番の見所は、江川太郎左衛門の件でしょう。この『風雲児たち』ではかなり以前から登場しており、学校日本史ではわからなかった活躍をしている人でしたが、遂に亡くなってしまいました。
今まで幕末というのは、急に内外の情勢の中から生まれてきた変革の時代だと思っていましたが、この江川太郎左衛門などの話を知るにつけ、少しずつ少しずつ時代は変わっていたのであり、時代を見据えて行動していた人たちが少なからずいたのだなあということがわかってきます。
これからもちろん、幕末の有名人が多数登場するのでしょうが、それ以外の余り知られていなかった人たちにも光を当ててもらいたいものです。でも、きっと描いてくれますよね。「幕末編」も既に8巻になっているにも関わらず、時間はあまり進んでいないのですから。
風雲児たち 幕末編7 (SPコミックス)
2005/08/07 19:02
歴史には様々な視点があり、いろいろな考え方があるのだということを教えてくれています
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
このマンガそのものの評価は、今更私がするまでもないので、ただそれだけで星5つにしてもいいのかなあと思います。
この『幕末編』7巻の前半はペリーに始まった各国の開国要求を次々とのんでいく日本の姿が描かれていますが、その中で丁寧に描かれているのがロシアの姿です。以前からこの『風雲児たち』はロシアに関係するところが丁寧に描かれていますが、この開国要求でもプチャーチン率いるロシア艦隊がずっと描かれています。
最近はいくらか変化してきているとはいえ、現在の私たちが外交を考える時にはどうしてもアメリカを中心に考えてしまいますが、この『風雲児たち』を読み続けているとロシアの存在が大きいのだなあということに気づかされます。だからすぐにどうだ、というわけではないのですが、一部ないし一方からだけ語られる歴史が、今現在を生きる私たちのものの見方を左右しているかもしれない、様々な視点から考える必要があるのだということを教えてくれているのかもしれません。
そのように考えると、この『風雲児たち』そのものが外国に限らず、日本の中でも様々な考え方や行動のとり方があるのだということを教えてくれているように、改めて気づかされました。
それはこの7巻の後半、坂本竜馬が新たな視点を得ていく過程を描いているところからもわかるように思います。
風雲児たち 幕末編6 (SPコミックス)
2005/04/30 11:49
吉田松陰についてもっとたくさん知りたい
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
幕末には何人もの偉人が登場し、後に様々なメディアで取り上げられている。最も有名なところでは、やはり坂本龍馬や西郷隆盛であり、それに勝海舟なども加わるのだろうか。この『風雲児たち』も、そのタイトルが表すように、幕末に現われた偉人たちの姿、行動を追っていくのがテーマであり、20数年続いてきたのは、その幕末に至り偉人たちが現われてくる背景をていねいに追っていったからなのだ、ということは今更言うまでもないだろう。
それでも、この『幕末編』になってから、どしどしと偉人たちが現われるようになって、「そうだね、いよいよ幕末だね。本編だね」と思うのも当然なのだが、今までのところで多く語られているのが、吉田松陰である。
幕末について少し学習すればこの名前にぶつからないわけはないし、彼の作った松下村塾からは幕末、明治に活躍した人々が多数輩出されるのだから、彼もまた偉人にはちがいないだろう。だが、吉田松陰その人のことについて、どれだけ語られているのだろうか。
試みにbk1の検索機能を使って吉田松陰を登場人物とする小説を探してみると、あまり多くない。もちろん専門書や教養書などを検索すれば多く見つかるのだが、そんな本はよほど興味を持つ人しか読まないだろうから、ごく一般的に目に触れる本といえばやはり小説などだろうとは思う。しかし、そこでは吉田松陰はあまり語られていない。
私自身は、NHK大河ドラマ『花神』やその原作の一つであった司馬遼太郎の『世に棲む日々』で彼のことを知ったものだったし、そこで見た博識で頭脳明晰でストイックな人物像がイメージになってしまっているのだけれども、この『風雲児たち』に登場する吉田松陰は、さらにストイックであり、自ら言うような「狂人」の域にまで達しそうな純粋さを抱えた若者として描かれている。この第6巻では、吉田松陰が黒船に便乗してアメリカへ行こうとするくだりが描かれているが、これがまた圧巻だ。こういう人がいたから、さらに続く人が現われ、それが大きな波になって幕末に活躍する一団となっていくのだろうということが、さらにイメージされるのだ。あまり多く語られることのない吉田松陰だから、この調子で丁寧に描かれていって欲しい。
もっとも、ここで描かれているキャラクターの姿は、どこか腑抜けている貧乏侍にしか見えない。そのギャップがまた、吉田松陰の「狂人」たる部分を強調しているようにも見えるのだけれども。それに、これは既に有名な話ではあるけれども、かつてみなもと太郎が描いた新撰組の沖田総司とキャラクターがだぶっている。その問題は、いつかたを付けてくれるのだろう。