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紙の本
憲法 (岩波文庫)
著者 鵜飼信成 (著)
戦後憲法学を牽引した鵜飼信成が、施行から10年足らずの日本国憲法を一般向けに解説。独創性と先見性にあふれ、今なお異彩を放つ書。豊富な知見を盛り込んだ註も付す。索引・条文索...
憲法 (岩波文庫)
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商品説明
戦後憲法学を牽引した鵜飼信成が、施行から10年足らずの日本国憲法を一般向けに解説。独創性と先見性にあふれ、今なお異彩を放つ書。豊富な知見を盛り込んだ註も付す。索引・条文索引あり。【「TRC MARC」の商品解説】
「われわれの政府は憲法の下にある。そうして憲法とは、国民が、これが憲法だというものにほかならない。」戦後憲法学を牽引した鵜飼信成(一九〇六―一九八七)が、施行から一〇年足らずの日本国憲法を一般向けに解説した書。独創性と先見性にあふれ、今なお異彩を放つ。豊富な知見を盛り込んだ註も読み応えがある。(解説=石川健治)【商品解説】
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日本国憲法の絶対的な解説書
2024/03/24 08:57
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、日本国憲法を解説している一書です。中身としては、解釈は元より、条文から読み取れる方向性や視点、将又、含んでいる意味合い等、実に深く深く論述してあります。
憲法の作定にあたり、アメリカからの関わりについての記述があちこちにありました。英語での表現と日本での表現に於けるニュアンスの違いが示されていたりと、貴重な含蓄は非常に良かったと感じます。
一方でふわっとした表現になっている条文に関しては必然的に解釈の仕方が難しかったり、分かりにくかったりで、苦労します。それはしかし恣意的な要素を擁しており、明言を避けるようにしている事と認識出来ました。或いはまた、よくよく条文の言葉の文法をみた場合、そういう言い方はしないな、というちょっと微妙な助詞があるように思います。
偏りを伴わずに日本国憲法をここ迄じっくり解説したものに出逢えていなかったので、為になったと思います。是非自身の脇息にします。
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戦後日本の憲法体制の成り立ちと骨格はどのようなものか
2023/04/19 18:17
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
1946年11月3日に公布された日本国憲法は、翌年5月3日に施行されました。戦後日本の憲法体制の成り立ちと骨格はどのようなものか、これを理解するのに欠かせない基本的な文書を集めています。長谷部恭男さんの詳細な解説付。「憲法改正」が議論になっているとき、その議論のベースになる文書が全て収録されている。高校に入学したら、大学に入ったら手元にあるのが望ましい。まずは手元に置いて、読んでみることからはじまる。日本国憲法のほか,英文日本国憲法、大日本帝国憲法、パリ不戦条約、ポツダム宣言、降伏文書、日本国との平和条約、日米安全保障条約を収録。戦後の日本の骨格がわかる一冊。
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時代を超えた「「独創性と先見性」の憲法解説本
2022/07/19 12:49
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kapa - この投稿者のレビュー一覧を見る
かつて一般向けの平易な解説書「岩波全書」シリーズの文庫本化。鵜飼「憲法」は日本国憲法施行から10年足らずの1956年に出版され、1987年まで30刷を重ねたという。初版が出版されてから20年後、当時大学で憲法を学び始めた頃の私は、教科書以外の本を読んでみよう、と考えてこの本を手にした。小さな判でコンパクトにまとまってそうだから、というのが選んだ理由。
しかし当時の憲法教科書とは異なるユニークな内容に衝撃をうけた。読書子には、その後の読書人生に影響を与えた一冊があるものだが、私にとっては、今も続く憲法理論への関心、特に「司法審査と民主政」への関心はこの書によって始まったと言っても過言ではない。
ニューディール期ヒューズCharles Evans Hughes連邦最高裁判所長官の「我々は憲法の下にある、しかし、裁判官の語ったことが憲法である。」は、司法審査がどのような性格であるかを、端的に示したアフォリズムであり、印象に残る言葉であった。これを契機に民主主義と司法審査を巡る議論への関心は現在にまで続くことになったのである。鵜飼は本書カバーにあるように、「憲法とは、国民が、これが憲法だというものにほかならない。」と言い換えたが、国民主権を強調するためのレトリックであり、憲法施行後10年時点では納得されただろう。国民(人民)の意思が選挙で明確になった場合には、新しい憲法コンセンサスを原理として打ち立て、それにより司法審査することになる、しかし過去の憲法体制を支えた原理を全て捨て去るのではなく、取捨選択をしながら憲法体制の世代間の連続性も維持していく(『アメリカ憲法理論史;その基底にあるもの』ブルース・アッカマン, 北大路書房2020)、と鵜飼のレトリックは解釈できるだろう。
鵜飼の視点は、憲法の政治的なものである。法律的原則が、どのような政治的な理念に基づいて運用するかで実体が変わる、というリアリズムを肯定する。そして戦争放棄条項の「腐った木材を喰う虫のような」文言解釈とか、象徴天皇の国事行為の「煩瑣な法律的分析」といった、およそ法律学とは縁遠い表現を使った批判は、当時の憲法運用を巡る懐古的な動きに抗して、憲法制定権力である国民の立法者意思を明確にしなければならない、という考えによる。先のヒューズの言説も憲法政治では認めざるを得ない現実であるが、鵜飼はその現実を認識し、新憲法下で国民はどう考えるべきか、を言わんとしたかったのだろう。最後に「天皇制」を置くという、憲法の章立順ではない、独特の章立て。それまでの記述の端々に、憲法現実の政治的側面に触れていたが、「戦争放棄」を最初に、そして最後に「天皇制」を持ってくることで、それが端的に集約されることを示したかったのだろう。
一般向け概説書であるが、石川健治東大憲法学教授による本書解題にあるように、「独創性と先見性」に溢れている。例えば、出版当時も購入した時点でも、まだ米国憲法理論の受容途上であったが、鵜飼は、例えば、社会的な制約に服する経済的自由権と精神的自由権を区別して「公共の福祉」を論じるところは、「二重の基準」論を先取りしているところであった。一般向けということで、詰めた議論は脚注にしているが、読み応えのある含蓄に富んだ内容である。最後に一つの例をあげるとすれば、天皇退位時には、象徴天皇とは何か、が議論された。鵜飼は人間が象徴となり、しかも世襲されるとしたことにより、過去との関係で政治的抗争の中で揺らぐ天皇制の問題がある、との指摘は慧眼であった。文庫化されたことで本書は「古典」となったわけであるが、今読んでも未来の憲法学への挑戦の書でもある。