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- カテゴリ:一般
- 発売日:2022/07/21
- 出版社: 講談社
- サイズ:19cm/157p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-06-528345-5
読割 50
紙の本
言葉の展望台
著者 三木 那由他 (著)
アイデンティティと一人称、人々をつなげる言葉、誠実な謝罪と不誠実な謝罪…。難しくて切実で面白い「言葉とコミュニケーション」を、「哲学」と「私」のあいだのリアルな言葉で綴っ...
言葉の展望台
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商品説明
アイデンティティと一人称、人々をつなげる言葉、誠実な謝罪と不誠実な謝罪…。難しくて切実で面白い「言葉とコミュニケーション」を、「哲学」と「私」のあいだのリアルな言葉で綴ったエッセイ集。『群像』掲載を書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】
いま、あなたとの会話で起きたことは、いったい何だろう?
マンスプレイニング、コミュニケーション的暴力、会話の引き出し、言語的なポリティクス、アイデンティティと一人称、人々をつなげる言葉、誠実な謝罪と不誠実な謝罪……。難しくて切実で面白い「言葉とコミュニケーション」を、「哲学」と「私」のあいだのリアルな言葉で綴るエッセイ。
【目次】
プロローグ コミュニケーション的暴力としての、意味の占有
そういうわけなので、呼ばなくて構いません
ちょっとした言葉に透けて見えるもの
張り紙の駆け引き、そしてマンスプレイニング
言葉の空白地帯
すだちかレモンか
哲学と私のあいだで
会話の引き出し
「私」のいない言葉
心にない言葉
大きな傘の下で会いましょう
謝罪の懐疑論
ブラックホールと扉
【商品解説】
著者紹介
三木 那由他
- 略歴
- 〈三木那由他〉1985年神奈川県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程指導認定退学。博士(文学)。大阪大学大学院人文学研究科講師。著書に「グライス理性の哲学」など。
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電子書籍
哲学者としての大事なマインドセット
2023/02/26 14:27
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Bakhitin - この投稿者のレビュー一覧を見る
三木那由他著『言葉の展望台』読了。
『「コミュニケーションの道具」という言語観には、この経験の居場所はなさそうだ。何か、大きな発想の転換が必要に思える。』(本文より) これは哲学者としてはほんとうに大事なマインドセットだと思う。
言葉はいつもゆらいでいることを見据え、織り込み、計算したうえで、「コミュニケーションの理論的なモデル」からずれたものとして言葉を使うのがよいと思う。現実は「理論的モデル」に適合するためにあるのではない。そうではなくて、
理論的モデルを無限に生み出す母胎として「いかなるモデルによっても汲み尽くせない」。現実が存在するのである。現実が「いかなる理論的モデルによっても汲み尽くせない」と思っている人間が現実に直面したときに、いちばんよく口にする言葉は何か。
それは、 「そういうことって、あるかもしれない」。つまり、理論は、つねに書き換えられなくてはならないという義務にさらされているのである。生身の人間の経験の居場所を探し続けることによってしか、新たな言語観は出てこないと思う。
そして、今まで「当たり前」になっていた会話の中で埋め込まれていたある種の「規範」を突き崩していくことがいかに大変なのかを三木さんは淡々と語る。そして、この論考は、
「会話」はいったい何なのかについて、大事なことを一つ教えてくれる。それは「会話分析」の発見した『規則』と経験的に確かめられた実証的『概念』というよりはむしろ、ルールに従ったり従わなかったりすることが、それに対応した間主観的理解や社会的結果を生み出していくという意味で、↓
アプリオリな性格を持ったものであるということ。つまり我々が普段の「会話」で従う『規則』とは経験的規則ではなく、私たちがある社会のメンバーとしてコミットしなければならない『規範的で』『道徳的』な秩序なのである。「規範的で」あるからこそ、そのルールの持つ拘束力は非常に大きい。
なので, そのルールに従わない場合は、必ず「差別」や「排除」のような社会的サンクションが与えられる。そういう側面を考えると、著者が言っているように「カミングアウトは、その成否に世界の命運がかかっているような気持ちになる」というのは過言ではないと思う。もう一つ、
今回の論考は「断絶」についてもいろいろ考えさせられる。つまり、断絶は「断絶以前」を自分のうちに抱え込んだまま「断絶以後」の時代を生き延びることを選んだ人間にとってしか存在しないということだ。
紙の本
会話の在り方を模索し続ける哲学者。
2023/01/24 10:45
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゲイリーゲイリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
普段私たちが何気なく行っている会話。
自分の意図を伝えたり相手の意図を汲み取ったりと、当たり前の様に行われている会話とは、コミュニケーションとは一体どういう行為なのか。
本作は、そうした問いを研究対象とする言語哲学者による、日々の会話やコミュニケーションについて考察した一冊となっている。
哲学と聞くと何やら堅苦しく、小難しい言葉や抽象的な概念を想起するかもしれない。
しかし本作にそういった側面は全くなく、言語哲学を知らずとも充分に楽しめる。
映画や漫画といったフィクション作品のセリフや、何気ない日常会話。
その様な誰もが一度は見聞きしたことがあろうコミュニケーションを例に、言語の世界を丁寧に案内してくれため、
肩の力を抜いた状態で思う存分会話やコミュニケーションの深遠さ、面白さを知ることができるのだ。
関節言語行為、調整(アコモデーション)、解釈的不正義、解釈的周縁化といった概念でさえも、私たちの日常会話を例に取り扱い、噛み砕いて説明してくれる著者の手腕は見事と言う他ない。
そのため本作は言語哲学入門書としても最適と言えるだろう。
また、会話やコミュニケーションの恐ろしさについて述べられているのも特筆すべき点だろう。
マンスプレイング、意味の占有等、日々行われる会話の中で抱く違和感の正体を著者は独自の視点で明らかにしていく。
約束事とは約束を持ちかけた当人にとっても思いがけない不利益をもたらすことがある、という一文に共感できるのはきっと私だけじゃないはず。
約束の外側での人と人との力関係によって約束事は如何様にも変形させられてしまうという事実に、平等な会話やコミュニケーションは存在しないのかと惨憺たる気持ちになった。
しかし著者は対等な会話を諦めない。
対等な会話とは、ふたりが共同でつくる約束事が自分の思い通りにいかない可能性を認めるということでしか始まらないと断言する。
また、話し手の意図を重視するコミュニケーション観が根強く、自身の発話の意味を他人によって占有される経験が少ない人々ばかりが言語学哲学を担ってきたのではないか、
と言語哲学そのものにも不平等さがあると警鐘を鳴らす。
対等さ平等さという視点で言語やコミュニケーションの在り方を模索し続ける、著者の姿勢に胸を打たれた。
紙の本
コトバ
2022/09/10 10:28
2人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「群像」の連載を書籍化。言葉とコミュニケーションを廻るエッセイという感じですが、内容・論理展開などなど全体的に私は受け入れられない。