P+D BOOKS 岸辺のアルバム
著者 山田太一
昭和ホームドラマの金字塔、その原作小説。1977年夏にTBS系列で放送され、「辛口ホームドラマ」として放送史に燦然と輝く名作。その原作小説は1976~77年にかけて東京新...
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商品説明
昭和ホームドラマの金字塔、その原作小説。
1977年夏にTBS系列で放送され、「辛口ホームドラマ」として放送史に燦然と輝く名作。その原作小説は1976~77年にかけて東京新聞ほかで連載された。
高度成長期の大企業に勤めるモーレツサラリーマンの夫・田島謙作。傍目には恵まれた貞淑な妻・則子。才気煥発な女子大生の娘・律子と気弱な高校三年生の息子・繁。一見すると、郊外の戸建て住宅に暮らす幸福そうな一家が、ある1本の電話から破綻に向かって走り出す。主婦の浮気、レイプなど当時は斬新なテーマを意欲的に描いた、脚本家・山田太一の代表作。
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雨降って地固まる。
2021/11/18 17:15
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:暴れ熊 - この投稿者のレビュー一覧を見る
妻の不倫、娘の強姦被害と中絶、会社の危機、息子の反抗……読んでいるときはほんとうに心が重かった。心がグサグサと刃物で突き刺されるような痛みを感じた。救いようがない小説だと思った。しかし、最後に決定的なカタストロフが訪れ、再生の機会を得る。まさに雨降って地固まる。
最後の2ページほどでようやく救われた思いになった。
そこまで読者を引き込む作者の筆力に脱帽。とてもフィクションとは思えないようなリアリティがあった。登場人物の心の襞まで分け入って書いているのも一つの要因だろう。
疲れた。
TV史に残るドラマの原作
2024/12/24 17:01
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:flowerofzabon - この投稿者のレビュー一覧を見る
2024年11月からBSで再放送された山田太一脚本ドラマの代表作。ドラマ視聴後に原作にあたる本書を読んだ。
以下、ドラマとの比較も含めて感想を記す(ネタばれあり)。
TVドラマでは則子と謙作の内面の動きをわかりやすくするために新たにわき役が配置されたり、重要度が増したりしている。謙作の部下=村野武範、沢田雅美と謙作の級友/同僚の妻=原佐知子。また謙作がつとめる商社のダークサイドともいえる商売は変更されている。また繁のやきもきする気持ちをわかりやすくするための学校からの電話のエピソードなどは原作にはない。原作では魅力的ではない人物として描かれている哀愁と教師は、演じる俳優が風吹ジュンと津川雅彦なので造形は大きく異なる。
TVがこってりとした味わいなのに対して小説はあっさりしている。社会が豊かになり、一戸建てを買える程には成功している一家の中で、主人公の高校生の繁が家族に感じるいらだちは、もうすでにZ世代の感性とは隔たりすぎて、陳腐化を通り過ぎてファンタジーのようでさえある。不倫や中絶、性犯罪、人身売買、武器輸出、豪雨災害扱われる題材は当時はショッキングだったのだろうが、今では何の刺激にもならないので個人と家族の関係に集中して読むことができるのはむしろ今かもしれない。しかも現実は、小説やドラマのように都合よく災害が転じて再生のスタートにはならず、ただただ悲劇のダメージが蓄積されていくだけ。いまリメイクするならもっと可能性が信じられるように工夫が必要だろうなあ。