紙の本
現代社会の不穏さ
2023/08/25 16:49
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミステリーのような、恋愛小説のような、不穏な湖畔の街でおきる介護療養施設での不審死事件が、物語を駆動する。登場人物たちは、あるものは事件の真相を追い、ある者は事件のそれなりの解決を願い、それぞれの思いのままに、生きていこうとする。その不審死事件は殺人事件なのであろうが、犯人と目される者の本当の意図は、何だろうか。権力の腐敗、生産性の無いとされる者への憎悪、高齢者介護、金や権力を握る上級国民と自負する者たち、現代社会のもつ問題や闇を、物語の中に散りばめ、行き場のないやるせない想いだけが、残る。
紙の本
私には難しい
2024/03/06 10:56
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投稿者:Jung - この投稿者のレビュー一覧を見る
犯人は?という気分で、正直なところ自分には難しい作品でした。ただ、現代を考えさせられるような作品でもありました。
紙の本
湖の中というか「薮の中」?
2023/10/15 11:54
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
多様な吉田修一作品の中でも異質?登場人物にここまで感情移入や共感できないのは珍しい。ミステリーなのだが結末もすっきりしない。七三一部隊や薬害事件など歴史上の事実を扱いつつ、それを今に問うような展開でもない。現在の介護現場、津久井やまゆり園事件などなど現代社会でわれわれが触れている問題や事件も散りばめられているが、そこと歴史の闇はつながっているようでつながっていない(むりやり読み解いてこじつけでつなげようとすればできるのだが)。ミステリー部分と官能小説的な部分もつながっていない。なんか最期までもやもやとする。すべて薮の中だ。
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途中挫折しそうなほど嫌な感じだった。
吉田修一さんの小説はいつも登場人物のキャラクターが良いのに、胸糞悪い人ばかり…。特に伊佐美は…。ただ、皆はじめから腐っていたわけではない。腐っていることに気づいていないわけめはない。最後まで読んで良かった。汚い世界に慣れて生きていく人と抗おうとする人の生き様を描いていた。
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最初、読んでるうちは、インモラルな性愛に目が向きがちで、これ、映画化ってどうするんだろう…、みたいな野次馬的な見方をしていたのですが…
吉田修一さんを見縊るもんじゃありませんでした
それは様々なインモラルについての描写の1つに過ぎなかっただけ
この時代に、1番弱く崩しやすい者を追い込み吊し上げる集団
ある一定数の、金と権力を持っている者の振る舞い
戦時中の正誤が歪んだ中での歪んだ行為
そして、終盤に露わになる事実に、やはり吉田修一氏もはたして盛り込んできたかと放心しました
昨年、「ロスト・ケア」が口火を切り、「正欲」「月」とセンセーショナルな映画が公開されました
今まで、見ないように蓋をしてきたけど、それでいいと思いますか?と読者、視聴者に問いかけてきます
作者は全ては詳らかにはしません、朧げに状況を記すのみで、あとは読者に放つだけ
あなたは、どう判断しますか?
警察がある人を犯人に仕立て上げる様は、まるでSNSで私たちが誰かを吊し上げる様のようで
これを記している時、ニュースが流れました
「セクシー田中さん」の原作者で、漫画家の芦原妃名子さんが死去したことが29日、分かった。
今、またその犯人探しが始まってます
なんでわからないの?
わたしたちはいつまでこんなことをくりかえしますか?
この物語を読んで、心に残った文章です
罪を償わなければならないのは、事件や犯罪を犯したからではない。金や権力を自分が持たなかったからなのだ。
幾らパーティーしようが、頭悪いね、と言い放とうが、大統領にだってなれる時代だけど
だから諦めていいわけがない
すみません、もっとまとまった文章を書くつもりでしたが、突然知ったニュースに心が乱れています
まわりが道徳に反していて、それが当たり前になっているからといって、それが間違っていると思ったら、勇気を出して、周りに配慮して、対話すべきだ、話し合うべきだ
責めるんじゃなくて!誰かを否定するんじゃなくて!
諦めて黙ってても、何も変わらない、と強く思います
それはSNSに無闇に書き込むこととは全く違います
それはとてつもない責任を伴う行為です
その言葉で誰かが生きるのを諦めてしまうこともあるのですから
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介護施設での殺人事件を追う内に、過去の薬害事件、満州での人体実験まで、遡ることになる。裏の力が働いて、事件の捜査、取材は打ち切りになる。真犯人は少女と少年たちなのか?
刑事と施設で働く介護士の歪んだ性欲も描かれていく。
人の性を描く、吉田修一は俊逸で面白い。
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この作者の作品が好きなんですが、この物語はちょっとモヤモヤが残る?
詳細は省きますが、現実的にこんなんないやろーって展開が続き、ちょっとこれって妄想?とか思いながら読み進めてたらそうではない感じだし…。
結末も結局…って感じで、中途半端?
読みやすかったですけどね。
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先が気になってすらすら読めてしまったけど、わからないところがたくさん残る作品だった。
中学生たちはなんであんなことをするのか?
圭介と佳代はなぜそんな関係になるのか?
解説が欲しい、、
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ダーク吉田作品は割と好きで、ふと読みたくなる時がある。
老人介護施設で起きた事件を皮切りに
施設で働く女性と刑事との関係が始まる。
性が絡む主従関係には(SM)
信頼が何よりも大切なんだなぁと
変なところで感心してしまう。
沼へズブズブと埋まっていく感じが何とも妖しくて
こんな経験をした後に、日常生活へと戻ることは出来るのだろうか?と少し怖くなった。
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【横道世之介】を書いた同じ人の作品とは思えません。下品な描写あり、全体的には悪い作品では無いと思います。
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公開前に読みたいと思い、読み始めたら一気に読了
ミステリーとは違う感じだけど、ある事件をきっかけに、湖という孤立した場所への閉塞を感じました
また、警察と検察と事件捜査にも閉塞感を覚えました
事件捜査の中で壊れていく人たち、偶然から事件を追う記者が丁寧に書かれているのに、スッキリしない終わりでした
書かれていところを読む感じでしょうか
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吉田さんだから不穏で不安にまみれながら読むんだろうなとは思っていたものの…
橋を渡る を読んだ時と同じ…
わからなかった笑
モヤモヤと終わってしまい、だけど終わった後もなんとなく考えてしまう。
というか映画化、福士蒼汰くんの名前が書いてあったけど、え、誰の役なんだろう濱中?ええまじで?できるのかな?って思った。彼にとって試練になるだろうなぁ…などと。
帯や背表紙のあらすじを読んでから買ったが受けた印象が全然違った。湖に集まる男たち?
そういやタイトルの「湖の女」って一体誰のことを指しているんだろう?複数形?「湖」がキーワードになっているのは?満州での話と繋がっている…から?ってその辺読んでる人の受け取りかたに委ねますみたいなのはわたしごのみ。
宮部さんの小説で、家族が見ている昏いものは黙っていても他の家族にも見えている、もちろん影響をうけるみたいな話があったんだけど(個人の意見です)、あれと同じ。よくわかる。逆に明確に言葉にしないで隠している方が余計な想像と妄想で悪影響しかない。
何の感情もない軍隊のような行進がこわい。
2人の関係。
いやー全然わからなかったわw
え?なになになに?どういうこと?
いきなりそれ?なんで?
2人ともだよ。そういうタイミングだった?
理由はわからないけど腐りかけた毎日を打開するには破滅一歩手前まで行くしかなかった?
というか、この類の欲望って私の中にあるかな?って自問自答しながら読んでたよ。わかっちゃったらどうしようって思ったけどw
中村文則の最後の命を思い出してた。村上さんもね。自分の中に何があるかわからない怖さ。
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『もし揺れていなければ、存在しない』
『小鳥の声や波音が、わたしやあなたの心に沁みてくる。ただ、沁みてくる。これが世界の始まりだ』
最終章、夜から朝になる琵琶湖を描写した表現が美しすぎた!!!!!!
かと思えば、徹頭徹尾、性欲というより「情欲」という言葉の方が相応しいような妖しさが漂う。こういう沼にハマる感じは、なんか、わかる気がする。
沼に嵌めてるつもりの男が、実は女の沼に嵌められてるという。
地元滋賀が舞台。映画は見たことあるが、吉田修一作品を読むのは初めてで、濃密さに感動した。正常な人は、週刊誌記者の池田しかいなかった。
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湖畔に建つ介護施設で人工呼吸器が停止した。
介護士による殺人として片付けたい警察は、違法な取り調べを続けるが‥。
倒錯した男女関係の精神性、警察組織や政治家の腐敗、戦中日本軍の罪、現代の若者の危険な思想‥ありとあらゆる問題意識が詰め込まれすぎて、そもそものミステリーとしてのストーリーが尻切れトンボのようになっている気がする。
途中までは面白く読めたのに残念。
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いつつないだかわかりませんが、100歳の人工呼吸器患者。
かつて人体実験をしていた元教授だったとすれば、それだけでかなり皮肉な結果です。