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紙の本
徹底的にこだわった人
2002/01/28 12:59
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たむ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ストーカーの一人称による表題作だけでもすごいのだが、さらに表題作の主人公が書いた小説「二人」、表題作を客観的に批判したような「無知万歳」、表題作第七章の死の考察と対をなす生の考察「生まれなかったら?」など、一大サーガを構成しているのがさらにすごい。
武者小路実篤はおそらく、人を好きになるということや、生きるということは、いったいどういうことなのかを、作者なりに真剣に考えたのだろう。その結果、異常ともいえる鬼気迫る作品群を抽出させた。現代の目から見れば、ただのおかしな人になってしまうものの、著者の真剣な苦悩が伝わってきます。