紙の本
徹底的にこだわった人
2002/01/28 12:59
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たむ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ストーカーの一人称による表題作だけでもすごいのだが、さらに表題作の主人公が書いた小説「二人」、表題作を客観的に批判したような「無知万歳」、表題作第七章の死の考察と対をなす生の考察「生まれなかったら?」など、一大サーガを構成しているのがさらにすごい。
武者小路実篤はおそらく、人を好きになるということや、生きるということは、いったいどういうことなのかを、作者なりに真剣に考えたのだろう。その結果、異常ともいえる鬼気迫る作品群を抽出させた。現代の目から見れば、ただのおかしな人になってしまうものの、著者の真剣な苦悩が伝わってきます。
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高校の時、「俺と付き合う女は、俺以外の男と慣れなれしくするな。俺を尊敬しろ。」と思ってました。なんとも。。。そんなあばずれた高校生の私の心を掴んで止まなかったのがこの一冊。
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武者小路実篤の思考と自分の思考はきっと近いんだと思う。
本編の主人公が書いた(ということになっている)付録が面白い。
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武者小路実篤の小説に出てくる青年は、たいてい恋愛下手で意気地なしなのだけれど、それが妙にコミカルに描かれているところが好きだ。でも、意気地なしにもほどがあり、度を過ぎたこの著書はあまり好きになれなかった。愛する女性に対する主人公の想いは、まさに病的。そりゃ振られもするだろうよとツッコミを入れたくもなるほど強烈な妄想癖には呆れるばかり。こんな男性に言い寄られたら・・・嫌だなぁ(笑)。
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武者小路氏の描く主人公はどうしてこうもいじいじ、うだうだしているのだ?読み進めて行くうちに彼のひとりよがりな片思いに憤りを覚えた。しかし問いかけてみる。はたして自分はそうでないと言い切れるのだろうか。いや、私だって結局のところ同じなんだ。彼の中に自分を見たからこそきまりの悪さを感じたのだろう。
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ある男性の勘違いの恋のお話です。
自分に思いをよせていると思っていた女性が
まったく別の男性と結婚してしまいます。
「あーこういう勘違いあるかも!」と思わず笑ってしまいます。
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主人公は馬鹿だな、と思う人が多いだろうが、恋をすると彼と同じように、自分では気づかずに馬鹿げた行動をとっているかもしれない。ラストの彼の思考回路は、実際にこんな人がいたら怖いだろうと思った。
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『お目出たき人』
「女に飢えている」男。男の妄想。恋する相手は鶴。友人に仲介を頼み求婚するが断られる。そのまま妄想を抱き鶴を思い続ける。
付録
『二人』
お互いを意識しながら結ばれなかった一郎と夏。
『無知万歳』
甲乙の会話。
『生まれなかったら』
自分が生まれなかったらという妄想を抱く中田豊男。
『亡友』
天才だった「あいつ」の思い出を話す男たち。
『空想』
自分を慰める妹を妄想うする男。
2010年7月25日読了
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寂しい三十路独身男の妄想炸裂。ストーカーぎりぎりの行為をしながら話しかける勇気がないのが悲しい。自分はがんばろうと思える。どんな反面教師だ。
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近づいていけないものだから、本当の鶴がどういう人なのかわからないはずなのに、自分の理想に重ね妄想する。「お目出たき人」というか「女々しき人」というか。率直に表現しうる作者には感銘を覚える。11.1.13
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「自分は女に餓えている」
「自分の個性をまげずに鶴とならば夫婦になれるように思われて来た」
「自分には鶴と一緒になって始めて全人間たることが出来るように思えた。何かかくにつけ、読むにつけ、見るにつけ鶴が居たらと思う。嬉しい時も淋しい時も悲しい時も、美しいものを見るときも、甘味いものを食う時も鶴と一緒だったらと思う」
然し、物語を通して鶴との具体的な交渉は一切なく、独り善がりの空想に終始する。自他の隔壁が融解することでなければ、個々の強張った自我がほどけて互いにまた撚り合っていくことでなければ、わざわざ愛に特別な場所を与える理由も無かろうに。
現代、この男にいろんな名前が与えられているのは、周知の通り。
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図書館から借りました
舞台は日本。恋愛小説。
短編。
空想。
イッテますねー。
著者のすごいところは、独りよがりな主人公をわかっていて、書いてるところです。
だから失恋するんですが。
んで、この「空想」
批評されて傷ついた兄を妹が慰めているというもの。
タイトル通りです。
兄に当たる人が優しく慰めてくれる「妹」も「恋人」もいないから、紙にそんな会話を書き付けているという。
えー???(笑
独りよがりな人を冷静に書かせたら、武者小路さんに比肩する者なし、みたいな気がする。
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まさに恋は盲目、どんな些細な事象も都合よく解釈し、自分にとっての理想を妄想として膨らませる、まさに狂気、恐怖すら感じるのは現代的な感覚なのか、あるいは。
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非常に気持ち悪い作品。反自然主義の白樺派の代表作。学習院大学卒のおぼっちゃまの書いた理想主義な作品。最初から最後までひたすら妄想。結局最後は鶴が別の男と結婚してしまうんだけど、それでも妄想。田山花袋の蒲団並みに気持ち悪い。
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何回、「女に飢えている」というのだ!表題作は妄想満開。マッチョ丸出し。それを「お目出たき」と客観視できているのがまだマシなのか?ともかく、笑わせてもらいましたけれど、嫌悪感も大いに感じた。