銀河鉄道の夜

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投稿者：wildcat　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

この表紙。

開く前にしばらく眺めてしまう。

（このDVDと同じ表紙です。）

この絵本は、藤城清治とジェヌ・パントルの
影絵劇「銀河鉄道の夜」をもとに、絵本制作のために、
あらたに演出、撮影し、構成したものだという。

1982年12月に出版されたもので、
私の手元にあるのは、2007年6月の第52刷である。

静かに長く支持されているのが感じられる。

購入したのは、2007年12月。
「銀河鉄道の夜」のプラネタリウムを観た会場だった。

一緒に行った相手が、表紙の藤城清治さんの絵を見て、
昔、藤城作品のジグソーパズルが家にあって
なんかなつかしいなと言ったのが購入のきっかけだった。

私自身は、藤城さんの名前も作品も知らなかった。

なのに、なぜか、なつかしいという感覚だけはあったのだった。

表紙の絵は、静止しているのに、光があって、動きが感じられた。

何かを観に行って記念に何かを買うとき、
たいていはそこに行ったこと思い出すために買うことが多いのだが、
このときはその記念のもの以外に、
もう一つ別のものを買ったはじめての日になった。

とにかく空の色が印象的である。

夕暮れに近い青、夕方の真っ赤な空、満天の星空、
ききょう色のさぎがたくさん降りてくる空・・・。

同じ色の空はひとつとしてない。

切り取られたひとつひとつのシーンに情景だけじゃなくて、
心情までが写し取られている。

列車を眺めているだけで、そこに思いを馳せていることも、
帰って行く少年たちに背を向けているだけで、
ジョバンニがさびしいってこともわかる。

貧しい生活の部屋の中と銀河祭りの華やかさの対比、
華やかなお祭りとからすうりのとうろうの暖かな炎、
祭りの賑わいから離れてひとり木の下に立つジョバンニ。

カンパネルラの赤い帽子が鮮やかな光を放つのは、
ジョバンニにとって、彼が誰よりも大きな存在だからだろう。

表紙にもなっている銀河鉄道がやってくるシーンは、
見開きで見ると大きな存在感がある。

銀河鉄道を影と周りの光で表現し、実体をぼかしているページでは、
影がゆらゆら揺れて、汽車も動いている気がする。

宮沢賢治は「原作」になっていて、
文章は、影絵のシーンにあわせてリライトされている。

バランスとしては、絵と文が３：２ぐらいの配分になっているが、
省略された感じはなく、流れも自然である。

銀河鉄道の旅は、「ほんとうの幸せ」とは何かを考える旅、
そして・・・。

この作品が描いているテーマの奥深さを知るのは、
大人になってからだろう。

小さな子どもには、絵の下の文字は細かすぎるかもしれないし、
覚えるにしても言い回しも少し難しいかもしれない。

だが、間違いなく、この影絵たちには、目を奪われるだろうと思う。

絵だけを飽かず眺めるかもしれない。

ひざの上で読み聞かせるまで行かなくても、
最初は、絵を見せるだけでいい。

きっと子どもは目を輝かせることだろう。

そして、大人になったときに、原風景の中にこの絵と
読み聞かせの親のひざを一緒に思い出すに違いないと思うのだ。

もちろん、自分で本を読む子ども時代を経て大人になって・・・。

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投稿者：YOSHI　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

「銀河鉄道の夜」の物語も藤城清二さんの影絵も大好きです。
この絵本は本当に素敵。私のストレス解消法です。

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投稿者：honyomi　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

銀河鉄道の夜の本は絵本に限らずたくさん出ているので、
ちょっと自分が読んだ本なのか迷いますが、
特徴的な影絵だったので多分これでしょう。
「銀河鉄道」に焦点が当たりがちですが、
「夜」の方にも目を向けたくなる美しい影絵です。

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投稿者：ないものねだり　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

暗くて湿っぽくて好きではないけど、宮沢賢治の評価は高い。「銀河鉄道の夜」は、藤城清治さんの影絵に向いている作品だと思う。