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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:1988.3
  • 出版社: 新潮社
  • レーベル: 新潮文庫
  • サイズ:16cm/594p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-10-111408-8
文庫

紙の本

満月 (新潮文庫)

著者 原田 康子 (著)

満月 (新潮文庫)

税込 660 6pt

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みんなのレビュー19件

みんなの評価4.2

評価内訳

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  • 星 3 (2件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)

紙の本

女心と内野ゴロ

2011/06/09 16:19

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る

 口は悪く、品もない。煙草は吸うし、酒も欠かせない。生き物大好き、男はうんざり。
 著者は、そんな高校生物教師である主人公の女性に、移ろいやすく変わりやすい女心を芽吹かせ、その秋空模様をなんともリアルに描きだした。
 本書は、主人公まりと、タイムスリップしてきた三百年前の侍・小弥太とのラブストーリーである。

 まりの一人称で展開されるラブストーリーは、きわめて少女漫画的。
 男っ気のない女性の前に現れた三百年前の美形侍。始めは嫌っていたものの、次第に心を惹かれ、彼と相愛に。しかし、彼には妻子があり、一年後には過去へ帰る身。二人は永遠に結ばれることはない。別れの時が迫る。
 そんな少女漫画のような悲恋の情景が、次々と展開される。

 悲恋の主人公まりはといえば、小弥太と親しくなってからというもの、ちょっとしたことで心が揺れる。素直な言動があるかと思えば、好意にも拗ね、何もされていないのに怒り、かというと急に冷静に。
 まるで内野ゴロのイレギュラーである。球がどう変化するか分からない。一流の内野手でも捕れるかどうか。
 だから普通の男性は、捕球できるはずもなく、困惑するしかない。三百年前の侍も困惑である。しかし、この困惑は愛情である。捕球できなくてごめんね、という愛情。こんな球とれるか!だと困惑にはならないのだ。

 この物語は、そういう女心とか、男心とか、内野ゴロとか、恋する男女の機微を見事に描き出した作品なのである。

 本書を読む注意点を一つ。
 本の厚さに加え、状況描写ばかりで、ちっとも進まない物語に挫折しそうになるが、それも三分の一まで。それ以降、まりと小弥太の関係に変化が現れて面白くなるので、短気を起こしてはいけない。
 本書にも、捕球できなくてごめんね、という愛情が必要なのである。

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2005/11/07 22:05

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2009/11/11 16:08

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2010/08/20 23:34

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2011/02/20 11:11

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2011/10/24 03:46

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2012/04/15 01:37

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2013/04/12 15:55

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