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紙の本
今は昔、
2024/02/10 05:07
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投稿者:雨宮司 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品では、アメリカの作家で『悪魔の辞典』の著者としても知られる、アンブローズ・ビアスをモデルにした人物の戦時下のメキシコでの生きぶりが、想像力をたくましくして描かれている。もちろん、ビアスの著作を知らなくても充分に楽しめるから安心してほしい。アメリカではベストセラーになって映画まで製作されたらしいが、それは措く。辛辣な皮肉屋として知られたビアスは、この作品中ではグリンゴと呼ばれ、パンチョ・ビージャ(パンチョ・ビリャと書いた方が通りがいいか)麾下のアローヨ将軍の下で働くことになる。作中では何度も、「彼は死にに来た」と言われることとなる。アローヨは、学がないが記憶力がよく、どん底の境遇から成りあがってきた人物として、その学のなさも含めて描かれている。メキシコの人民を代表する存在だ。そのアローヨとグリンゴとの関係が緊密感をもって描かれる。戦争の苛烈な現実と、アメリカ人とメキシコ人との関係性がしっかりと描かれていて、なかなかに味わい深い。一流の戦争文学としても読めるし、サービス精神も旺盛だから、よく味わって読んでほしい。
紙の本
面白い人だ
2019/06/15 23:09
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
トランプ政権になってからアメリカとメキシコの関係が悪化してきている。トランプはメキシコとの国境に壁を作ると宣言し、移民を制限しようとしている。では、両国はそれまでは良好な関係を維持してきたかというとそうではないようだ。アメリカはメキシコを自国の裏庭としか思っておらず、アメリカ人とメキシコ人の命の重さも当然のごとく差があると考えている、少なくてもメキシコ人はそう思っている、米墨戦争により加州やテキサスを奪い取られた恨みは根強い。タイトルにあるグリンゴはアメリカ男子の別称で、アメリカ人全体のイメージとして彼らは「金は持っているけど、いけすかねえやつら」と思っているようだ。その憎悪がむき出しになってきている今の時代が怖い
紙の本
ビバ、メヒコ!
2003/01/26 21:53
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投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
メキシコの歴史って、知ってますか? 学校では習いませんよね。僕も知らない。
革命、戦争、独裁、1913年その炎の中に老アンブローズ・ビアスがおもむき、消息を絶った。
この物語では、ビアスはメキシコに「死にに」行った。米国で比類ない皮肉屋として知られたビアスならさもありなんと思わせる。
米国人はメキシコの民衆には「グリンゴ」(女性はグリンガ)と蔑称で呼ばれる。だがこの老人に対しては親愛を込めて呼ばれた。そのグリンゴがどのようにして死んだかが語られる。グリンゴは革命軍の英雄になったのだろうか。帝国主義の化身の極悪人として殺されたのだろうか。名も無き一人の異邦人として静かな余生を送ったのだろうか。その知性でメキシコ民衆を導いた後に米国に凱旋したのか。どれも正しく、どれも間違っているように思えます。
全然知らなかったんですけど、このメキシコ人作家の小説は米国でベストセラーになり、グレゴリ−・ペック主演で映画化までされたそうです。メキシコが舞台の映画っていいですよね。荒野、ガンマン、国境。「サボテン・ブラザーズ」「クレージーのメキシコ大作戦」大好きなんですけど。