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- カテゴリ:幼児 小学生
- 発売日:1995/09/01
- 出版社: あすなろ書房
- サイズ:27cm/1冊
- 利用対象:幼児 小学生
- ISBN:4-7515-1445-8
紙の本
ぶたばあちゃん
著者 マーガレット・ワイルド (文),ロン・ブルックス (絵),今村 葦子 (訳)
ぶたばあちゃんと孫むすめは、ふたりが知っている、いちばんいいやり方で「さよなら」をいいました。生きることと愛すること、あたえることと受け取ること、ぶたばあちゃんの死を通し...
ぶたばあちゃん
紙の本 |
セット商品 |
- 税込価格:18,260円(166pt)
- 発送可能日:購入できません
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商品説明
ぶたばあちゃんと孫むすめは、ふたりが知っている、いちばんいいやり方で「さよなら」をいいました。生きることと愛すること、あたえることと受け取ること、ぶたばあちゃんの死を通して様々なことを教えてくれる絵本。【「TRC MARC」の商品解説】
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書店員レビュー
最後まで涙なしでは読...
ジュンク堂書店大分店さん
最後まで涙なしでは読めません。
ばあちゃんの孫娘に対する愛情、孫娘がばあちゃんに長生きしてほしいと願う優しさが紙面を通してじんと伝わってきます。
ばあちゃんは生が燃え尽きる最後の最後まできらめく世界を味わったのです。
孫娘と散歩をしているシーンは悲しすぎてじっくり見ることができません。読んだ後は涙と溜息で胸が一杯になります。
児童書担当
紙の本
逝く者と送る者、自分がどちらの立場にたつとしても。
2009/08/19 17:34
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:田川ミメイ - この投稿者のレビュー一覧を見る
長いあいだ、ふたりだけで暮らしてきた「ぶたばあちゃん」と「孫むすめ」。家事も料理もふたりで分け合って。なのに、ある朝ぶたばあちゃんは、いつものように起きてこなかった。その日一日眠りつづけていたぶたばあちゃんは、それでも次の日には起きてきて、「きょうは、いそがしくなるよ」という。「したく」をするから、と。
孫むすめは「なんのしたく?」と訊くのだけれど、ばあちゃんは返事をしない。『そんなことしなくてもよかったのです。なぜなら孫むすめはとっくにその答えしっていて、胸がはりさけそうな気がしていたのです。』
と、こう書くと、なんだかとても哀しい物語のようだけれど(実際、哀しいことはたしかなのだけれど)。が、ここからの「ぶたばあちゃん」がすばらしい。その「したく」には悲壮感もなければ気負いもない。その「したく」がどんなものなのかは、実際に手にとって、ゆっくりと頁をめくってみてほしい。そうすることで、読み手もその「したく」に立ち合うことになる。そして最後の1頁。この絵がなんともいえずに良い。色んな思いが入り混じり、確かに胸のどこかにさみしさはあるけれど、でもそれさえも何か大きなものに包まれているような、そんな気持ちになるのだった。
「したく」をするぶたばあちゃんには、それまでの彼女の生き方が透けて見える。凛としていながら、悠々と穏やかで。大きな心で色んなことを受けとめて、すべてのことに感謝して。きっとぶたばあちゃんはこれまでずっと、こんなふうにして生きてきた。でなければ最後の日をこんなふうに過ごせるわけはない。孫娘とふたり、毎日を大切に生きてきたからこそ、こんなに穏やかな別れの日がやってきた。どんなふうに死ぬかということは、どんなふうに生きるか、ということに繋がっているのだ。
逝く者と送る者。自分がどちらの立場にたつとしても、こんなふうでありたい、としみじみ思う。難しいことではあるけれど、でも人は誰もがいつか死ぬ、いつかは別れがやってくる、そのことを、子どもも大人もちゃんと知っておいたほうがいい、と、この本を読むと実感する。内容も文章も絵も、絵本でありながら決して「子どもだまし」なんかじゃなくて、むやみやたらに涙を誘うようなイマドキの小説や映画とは大違い。文句なく、名作です。
著者はオーストラリアを代表とする児童書の作家マーガレット・ワイルド(Margaret Wild)。柔らかな優しい絵はタスマニア在住のロン・ブルックス(Ron Brooks)。両者とも他にも多数の著作があるようなので、ぜひ読んでみようと思う。
紙の本
最後の時間をどう過ごすか。
2009/08/27 21:50
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る
1週間前に掲載された田川ミメイさんの書評を読んで、
素敵だなと思い、本書を手にした。
『ぶたばあちゃん』とは、
なかなかダイナミックなタイトルだというのが第一印象。
原題を確認すると『OLD PIG』と、やっぱりストレートだった。
「ぶたばあちゃん」と「孫むすめ」は、
ずっとながいあいだ、いっしょにくらしてきたという。
そういえば、「ぶたとうちゃん」も「ぶたかあちゃん」も
まったく出てこない。
なぜかふたりだけで生活してきた。
ただ積み重ねられてきたふたりの時間が、
このお話が始まる前からずーっとずっとあったのだろう
ということだけはわかる。
ふたりはどっちが何をするかなんて確認するまでもなく、
生活のあらゆることを自然に分担して慎ましやかに暮らしてきたのだ。
孫むすめは、とうもろこしとオート麦がきらいだ。
でも、ぶたばあちゃんに、
「とうもろこしとオート麦は、体にいいのよ。
わたしが元気なうちに、ぜんぶ食べられるようにならなくっちゃ」
と言われると、
孫むすめは、もしそうしたら、ばあちゃんが長生きするというのなら、
朝も昼も晩も、一日に三度だって、
とうもろこしとオート麦を食べるんだと思う。
もうわかっていたのかもしれない。何が起こりつつあるのかを。
ぶたばあちゃんと孫むすめがすごした「ごちそう」の時間。
「木々や、花々や空や、なにもかもを見て、
目に、うんとごちそうした」時間。
耳をかたむけ、においをかぎ、すべてを味わった。
ふたりの眼前の景色のなんと美しいことだろう。
このごちそうの時間を味わっている見開き4ページは、
ぶたばあちゃんと孫むすめになって、
五感のすべてを開いて、息を呑むだけなんだ。
クライマックスの景色だけのページが象徴するもの、
そして、最後のページ。
何が描かれていて何が描かれていないのか。
静寂の夜にも新たなる朝にも、潔い美しさがある。
もしも、旅立ちのときがわかるのだとしたら、
私はその日を誰とどのように過ごすだろうか。
こんな風に分け合える人がいたら、幸せだな。
でも、私は、往生際が悪いから、
心静かではいられずに、泣き喚いているかもしれない。
どんなになろうと自分なわけで、五感をしっかりと開いて、
肉体を持つ自分を味わいつくしてやろう、とだけは思っている。
そもそも、旅立ちのときを
旅立つ人も見送る人もわかっているということの方がまれだ。
ならば、毎日毎日、喜怒哀楽を味わいつくして生きるしかないんだろうな。
紙の本
命の継承
2009/10/26 10:39
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タール - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ずっとながいあいだ」助け合って暮らしてきた、ぶたばあちゃんと孫むすめに近づく別れの日。 別れの予感に怯え、駄々をこねずにはいられなかった孫むすめが、少しずつ聞きわけがよくなっていく様子に、切なさよりも頼もしさをより感じるのは、さすがぶたばあちゃんの孫、とばかりに、成長を喜ぶ気持ちになるからだろうか。ぶたばあちゃんが「ごちそう」と呼んだ生の輝きを受け取った後、「ひとりぶんの」調理をし、「ぜんぶ食べ」「きちんとかたづけ」る孫むすめの覚悟もまた、ぶたばあちゃんの確かな導きを思わせ、厳かな悟りの世界を彷彿とさせて神々しいほどだ。
やがて確かな親愛と尊敬の心を持って、送り送られる二人。ぶたばあちゃんと孫むすめから与えられる荘厳な清々しさは、死が悲しい別れではなく、命をつなぐ自然の成り行きであるということを、しっかりと教えてくれる。
版の大きさ、装丁、優しい色合い、そしてなによりこのタイトルと、"いかにも絵本"ではあるけれど、うっかり幼児向きなどと決してい侮ってはいけない奥深い内容に感心させられる。
最近になって、今まで食わず嫌いっぽかった絵本を手にし、読むようになった私。侮りがたい絵本というのは、絵本好きのみなさん知っての通り数多く、死別をテーマにした絵本もまた比較的多いように思うけれど、この「ぶたばあちゃん」は、悲しみを乗り越える、というような、いったん表出させて収束させる描き方でなく、生の豊かさ素晴らしさをそっと諭すことで、自然の別れそのものを「悲しいことじゃないんだよ」というメッセージとして心の内側にすりこんでくるような、大きな力がある。
「ふたりが知っている、いちばんいいやりかたで、さよならをいいあいました」
読み終えた時、裏表紙の言葉がこんなに心に沁みるとは思わなかった。自分なりの「いちばんいいやりかた」を知りたい。命の継承について考える力を与えられる思いがした。
紙の本
こんな風に一生を終わりたい…。
2004/01/15 22:58
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:bochibochi - この投稿者のレビュー一覧を見る
絵本を手にして思った事はまず「絵が奇麗!」
ぶたばあちゃんと孫娘。登場人物は二人ですが、この二人の表情がすごく良い。ぶたばあちゃんのやさしさ、孫娘の不安、寂しさ…。
文字を読まなくてもちゃんと伝わってきます。風景の絵もすごく素敵で、本文中の「目に、うんとごちそうしてやりたいんだよ」の言葉にぴったりです。
ぶたばあちゃんと孫娘。二人は助け合って寄り添って二人で生きてきました。でもある朝、ぶたばあちゃんはベットから起きてきません。旅立ちの時が近づいて来たのです。その事を二人ともちゃんと解っていて、それでも前向きに懸命に生きています。その姿にとても心を打たれます。
愛情と思いやり、生きる勇気が詰まった、ちょっと切ないお話です。
紙の本
うらやましい最期
2018/11/25 22:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ウッドチャック - この投稿者のレビュー一覧を見る
こんな風に老いて、こんな風に最期を迎えられたら、こんなに幸せなことはないなと、思いました。
大人向けの絵本としても、とても素敵な一冊だと思います。