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- カテゴリ:小学生
- 発売日:1996/04/01
- 出版社: 偕成社
- サイズ:22cm/133p
- 利用対象:小学生
- ISBN:4-03-528280-4
読割 50
紙の本
黒ねこサンゴロウ旅のつづき 3 ほのおをこえて
【赤い鳥さし絵賞(第9回)】おれの名前はサンゴロウ。わけあって、やまねこ族のかくれすむ貝がら島のクルミに会いにいったところを、カシザエモンの息子にとらえられてしまった。ナ...
黒ねこサンゴロウ旅のつづき 3 ほのおをこえて
ほのおをこえて
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商品説明
【赤い鳥さし絵賞(第9回)】おれの名前はサンゴロウ。わけあって、やまねこ族のかくれすむ貝がら島のクルミに会いにいったところを、カシザエモンの息子にとらえられてしまった。ナラジロウとクヌギの兄弟は、次の長老になろうと争っていたが…。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
竹下 文子
- 略歴
- 〈竹下文子〉1957年福岡県生まれ。東京学芸大学卒業。おもな作品に、「星とトランペット」「わたしおてつだいねこ」「みけねこレストラン」などがある。
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紙の本
狭間に生きる者たちの決断
2010/03/06 12:18
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る
本作は、前編との関係でいうと『黒ねこサンゴロウ3:やまねこの島』に登場した
やまねこ族の隠れ住む<貝がら島>が舞台となる。
『やまねこの島』では、サンゴロウと友人で医師のナギヒコとの関係が中心に語られていたが、
本作では、サンゴロウは、貝がら島のやまねこ族の後継者争いに巻き込まれていき、
サンゴロウとやまねこ族の末裔達とのやりとりが話の中心をなす。
ナギヒコの思い人であるクルミは、貝がら島の医師である。
サンゴロウとナギヒコが訪れたときから、
貝がら島の外の世界に思いをはせているようなところがあった。
そして、その思いのために、クルミは少しずつ準備を進めていたのである。
やまねこ族とうみねこ族の間には、先祖の時代に大きな確執があった。
だが、ナギヒコにカレハ熱から助けられた若い者を中心に、
意識が少しずつ変わってきてもいる。
後継者争いに巻き込まれて、捕らえられたサンゴロウを助けるのは、
そういった子どもの世代なのだ。
サンゴロウは、内省も観察も鋭く、短い言葉で核心を突いていく。
言葉少なな中の冒険者的な名言も健在である。
おれは、どっちみち陸じゃ死なない。
死ぬときは、船といっしょだ。
シンプルだが、とても惹かれる。
きっと大きな波がくる。
きたら、うまくのれよ、サンゴロウ。
自分も一緒に波を待ってしまうのだ。
サンゴロウは、囚われている部屋で悪夢を見る。
(家がもえている。倉庫がもえている。
さけび声が聞こえる。
火の粉をあびてにげまどう、たくさんの黒いかげ。)
ところが、それは・・・。
ちがう。夢じゃない。記憶だ。
はるかむかしの、遠い北の陸地。
うみねこ族とやまねこ族の最後のたたかいの夜。
これは、だれの記憶だ?
だれが、なんのために、おれにこんな古い悪夢をみせる?
サンゴロウの記憶は、この状況の中で考えていたのだ。
(船をまもらなくては。船を……。)
本作は、サンゴロウの封印された記憶がキーにもなっている。
もうひとつのキーが、やまねこ族の末裔達が、
島のおきてで、長い間船を禁じていた理由、
そして、北の陸地を離れてなぜこの島にやってきたのか。
このやまねこ族の長老の衣装なのだが、
どことなく、アイヌの文様のようにも見える。
やまねこ族は、うみねこ族との最後の大きなたたかいで、二せきの船を手に入れた。
一せきは燃えてしまったが、もう一せきは無傷だった。
やまねこ族は、よりすぐった者たちを集め、その船に乗り、
もっと豊かな「南の陸地」があると信じて、航海に出た。
本作は全体として、北の島々の物語なのだ。
やまねこ族は船の操縦はできなかったはずである。
だが、貝がら島にぶつかって沈んでいる船は大型船である。
長老の家には、代々つたえられている話がある。
アンモナイト号の船長は、黒いねこだった、とね。
アンモナイト号の船長とサンゴロウ。
二匹の黒ねこの符合。
うみねこ族も、やまねこ族も、
きっと、もとは敵どうしじゃない。
海にでていく船は、山の木でつくられる。
海と山は、ふたごの兄弟だ。
おれたちは、おなじ月をみて、
おなじ歌をうたうなかまだったのかもしれない。
本作は、狭間に生きる者の物語である。
いや、シリーズ全体がそうなのかもしれない。
紙の本
遠い記憶。
2002/06/15 23:02
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:本箱屋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
長老「カシザエモン」が死んだやまねこの島では
「ナラジロウ」と「クヌギ」の兄弟が
次の長老になる為あらそっていた。
うみねこ族のこどもは木の葉のボートをつくり
それを水にうかべることから始める。
帆を張り、ヨットに乗り、そうして自分の船を作る。
やまねこ族はやまねこ族の船を。でなければどこへも行けない。
古いおきてを変え、ふるさとへ帰る船を作るのだ
という「ナラジロウ」にそんな話をしたかったと
「サンゴロウ」は思う。
「クルミ」は「サンゴロウ」に同行し島をでる。
やまねこの島がこれからどうなるか。
どんなにひどいあらしでも必ず終わりがくるように
いつか変わる日がくるだろう。