紙の本
全員が片思い。ロマンチックなラブコメディー。
2012/02/07 13:16
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きゃべつちょうちょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
シェイクスピアは、ずいぶん前に「ハムレット」を読んで以来、
おどろおどろしくて敬遠していた。
たくさんの人が死んで血しぶきがあがるスプラッタ。
そして嫉妬とか復讐とか人間のおそろしい感情が渦を巻く・・・・・・。
しかし今回、モームの本にも幾度となく出てくる「十二夜」を読んでみたところ、
シェイクスピアのイメージはみごとに一新された。
「十二夜」は、軽妙な恋愛喜劇である。
登場する男女全員が独身のために、構造もややこしくならない。
歴史もからんでこないので、喜劇初心者にはぴったりだと思う。
頭に入れておけばいいのは、主要な人間関係だけ。
オーシーノ公爵は、オリヴィア嬢に首ったけ。
サー・アンドルーもオリヴィアに思いを寄せ、求婚する。
しかし、オリヴィア嬢は、
オーシーノの従僕シザーリオにひと目ぼれしてしまう。
すこしだけややこしいのは、
シザーリオは、実はヴァイオラという女性が男装していること、
(ある事情を抱えているため、男に化けて公爵に仕えている。
劇中にはほぼシザーリオの姿で登場する)
このシザーリオ(ほんとうはヴァイオラ)は、オーシーノが好き。
とりあえずこれだけつかんでおけば、下段の注釈も合わせながら、
シェイクスピアの、おおいなる言葉あそびの世界に浸ることができる。
ウィットが効いてるかと思えば、オヤジギャグも満載。
松岡和子の訳は、読みやすいがひねりも効いていて、
なおかつ、日本人に親しみやすいながれをつくってくれている。
みじかいセンテンスの中に、伝えるべきエッセンスが詰め込まれ、
歯切れのいいテンポで進んでいく。
とくにおかしかったのが第二幕の第五場から。これには爆笑。
ふだん堅物のキャラクターが妄想をふくらませるおかしさ。
このエピソードでストーリーに波が起こされ、惹き込まれる。
本筋とはすこしズレるが、ほんとうの意味で花を添えている。
このかわいそうなマルヴォーリオというキャラクターに
助演男優賞をぜひあげたくなる。
タイトルの「十二夜」とは、クリスマスからかぞえて十二日め、
一月六日の夜のことであるが、劇中では特に触れていない。
一説には、実在したイタリアの若きオーシーノ公爵が、
エリザベス女王に招かれた宴のために書かれたものとされる。
その宴が行われたのが、一月六日の晩だったのだ。
クリスマスのお祝いごとの最後の晩にふさわしい、
賑やかで単純にたのしめるハリウッド映画のようなお芝居。
シェイクスピアはまさにニーズにぴたりと応えたといえるだろう。
興味深い事実として、この「十二夜」は、
「ハムレット」と同時期に執筆されていたらしいこと。
ビギナーのわたしとしては、
シェイクスピアも精神的なバランスを取りたかったのでは!?
と、とっさに思った。
たとえ紙の上であったとしても、人を殺すのはきついのではないか。
(そう考えると、ミステリ作家って、なんて強靭な精神の持ち主!)
しかし、シェイクスピアはこの後に、「オセロー」、「リア王」、「マクベス」
と、徹底的に人間の影の部分を追求した作品を生み出していく。
そして「十二夜」以降の喜劇は、陰影のついた憂いを含むものに
変わっていったという。
紙の本
賢い道化
2022/03/07 17:46
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投稿者:ペンギン - この投稿者のレビュー一覧を見る
第三幕第一場の道化とヴァイオラのやり取りが好きだ。人から阿呆と馬鹿にされている人は意外と賢かったりする。他人を見下す人が、コテンパンに馬鹿にされる。当時見た人も溜飲が下がる思いをしたに違いない。
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お手本のようなすれ違いラブロマンス
2022/04/25 20:21
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投稿者:hachiroeto - この投稿者のレビュー一覧を見る
男装のヴァイオラは主人の公爵に惚れ、公爵は別の女性オリヴィアにぞっこんで、オリヴィアは公爵の使いとして来たヴァイオラに一目惚れ。ややこしい筋書きをさばくシェイクスピアの手並みは見事。これって手塚治虫の『リボンの騎士』の元ネタですね。
紙の本
クリスマスから十二夜の宴
2022/09/30 10:03
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投稿者:令和4年・寅年 - この投稿者のレビュー一覧を見る
クリスマスから十二夜。船。イタリアひいきのエリザベス女王に献上された芝居とも伝わる。男女のロマンスと漢の決闘が喜劇に。仰々しい大陸のオペラから歴史と神話性を取り除いた人間ドラマの誕生なのでは。
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おもしろいです。
ころっと恋に落ちたりする不合理さがリアルであり、理由は要らないという感じはとても現実的。そして恋を成就させる偶然の出来事をなんの疑いも無く素直に肯定する。このあたりもリアル。そして、笑いあり。最高。
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図書館で借りて読了。
難破船から生き残ったヴァイオラは男装してシザーリオと名乗ってその土地の公爵に仕える。ヴァイオラは公爵に恋をするが、公爵は伯爵令嬢に恋している。その公爵の使いで現れたシザーリオに伯爵令嬢は一目惚れし、更には海で溺れて死んでしまったはずのヴァイオラの双子の兄が…。
という全員片思い状態。
サー・アンドルーがかわいかった。訳の幼い口調の影響も多分にあるのだろうけど、…それを言うと当時の風俗や社会情勢を知らないとわからない言葉遊びもたくさんあるのだろうから、やっぱり原典を読めたら一番楽しいのだろうなぁと思う。
恋に苦しむ者と引っ掻き回す者、軽やかでウィットにとんだ言い回しとテンポの良さに思わずクスッと笑ってしまう台詞の応酬もあって、400年近く経っても読み継がれているのにも納得。ヘイ、ホウ。
道化〈フェステ〉に拍手を。
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舞台を見たあとで読んだ。双子の喜劇。クスッと笑えてハッピーエンド。道化が良い味だしてて面白い。歌舞伎版もみたかったなあ
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私のようなものには瑕疵など見つけられません、わかりません。挿入の詩の流れは些かぎこちないけれど、伝うべきを伝う、と感じられる。これ(この戯曲)は如何にして上演可能か、という点を追求している、という意味でも、2010年秋現在、角川文庫とちくま文庫、いずれに……迷うところ。どちらもいいのです。ほんとうに。で、それで、シェイクスピアって……?そういう問いの浮かんだ方は、能う限り古い翻訳、なんかも探してみてください。言葉が古すぎて馴染めなかったら、きっとシェイクスピアひいじぃちゃんのころの英語も、今のよりずいぶんと古くさかったんだろうな、と思ってください。日本のお能とか歌舞伎とか文楽とか、それに似た時代の、似たような「劇」だったんだから。それらよりは、よっぽど「現代的」な言葉だから。
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シェイクスピアは翻訳がたくさんでてますが、個人的には松岡和子さんのか一番読みやすいです。
十二夜。
屋敷の主人に片思いする女の子(主人公)は、少しでも主人の傍に行きたかった。なので、とりあえず男装して小姓として遣えてみることにした!
彼女の想いは届くのか。
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恋愛喜劇。
テンポも良いし、オチも面白い。
読んだシェイクスピアの中では一番好きな作品。
松岡和子さん訳のものしか読んだことないので、読みやすさの比較は出来ないけど。
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たのしい話だが、ごちゃごちゃしている。舞台がみたいと思う。ヴァイオラがオシーノに惚れる理由がわからない。
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気になっていたシェイクスピアの作品。
船で難破し、双子の兄とはぐれた妹ヴァイオラは、船長の助けを借りて男装し、シザーリオと名を変えて、領主オーシーノ公爵のそばに仕える。
公爵に淡い想いを寄せる妹、ところが公爵は伯爵令嬢オリヴィアに一目惚れ。あげくのはてに、公爵はオリヴィアに求婚を申し込みたいと、妹を使いに出す始末。
そこに、遅れて辿り着いたのは、死んだと思われていた双子の兄セバスチャン。
ところが、兄の命を救った恩人、アントーニオは、領主の公爵と昔もめていた様子で…!?
オリヴィアの叔父トービー、侍女のマライア、求婚者のアンドルー、召使のフェイビアンは結託して、真面目な執事マルヴォーリオをこらしめようと騒動を起こし……。
片想いの連鎖と、勘違いが重なって、事態はしっちゃかめっちゃかに!?
最終的には、3組のカップルが誕生し、めでたしめでたし、という形で終わりますが……はたして、これで良かったのかなあ。
なーんか、忘れているような……。(特に、船長と元船長とか。。。)
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シェイクスピア全集 (6) 十二夜
(和書)2009年04月14日 16:41
1998 筑摩書房 W. シェイクスピア, William Shakcpeare, 松岡 和子
「十二夜」を初めて読みました。最後のまとめ方が急で一回読んだだけでは理解できなかった。なのでその部分だけもう一回読み直しました。他の翻訳と読み比べてみたいなって思う。シェイクスピアは原文が読める人は良いけど翻訳で読む場合、読み比べるのがなかなか楽しみの一つなのです。
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十二夜ということばの意味は解説を読んで初めて分かった。クリスマスから12日目の夜。だから1月6日の夜になる。クリスマスから続く一連のお祝い事の最後の夜ということになるそうだ。しかし、このお芝居の中に、そんな話は読みとれなかった。私は本作品を悲劇か喜劇かどちらかというそんな基本的な事実も知らずに読み始めた。もっとも、悲劇でも喜劇でも下ネタは出てくるし、ドタバタはつきものだし、まあどっちでもいいかという感じだ。双子がすれ違うことでドタバタになるのは「間違いの喜劇」でも読んだ。これを舞台でどう扱うのかが興味深い。大地真央が1人2役でやるというのは適役なような気がするが、2人を別人が演じるとどうなるのか。ヴァイオラ 伊藤蘭 これもいい。でも、ここにセバスチャンの名がない。これはどういうことなのか。もともとセバスチャンに配役の略号が与えられていないのも不思議。それにしても、観客はこれを観てどう理解するのか。まあ予習が必要なんだろうな。でも、シェイクスピアの時代、予習もせずに観てどう感じるのか。僕はと言えば、本書を読みながらどうしても吉本新喜劇に思えてならなかった。シェイクスピアに失礼なのかどうかわからないけれど、もう、バレバレだけれど、観客もそれをわかった上で受け入れている。それを楽しんでいる。そんなふうに感じた。脚注を確認しながら読み進めると、誰に対して発せられたセリフかもはっきりしない場面もあるようだ。その解釈の仕方で、ずいぶん受け取り方も変わってくるのだろう。まあ、そういう細かい話は抜きにして、自分なりの受け取り方で楽しめばいいのだろうなあ。それにしても、この作品の登場人物はほんの一瞬で恋に落ちるのだなあ。僕なんかにはちょっと想像がつかない。最も印象深いセリフは「犬をやるからお礼に犬を返してくれ」というもの。こういうのを教養というのかどうかわからないが、いろんな知識があるとより楽しめるのだろうなあと思う。そして、道化の存在。これがどうも大きいような気がする。昔のお屋敷にはこういう人物が1人はいたのだろうか。それを、誰が演じるか。吉田鋼太郎は他の役も演じているが、道化ではないな。笹野高史とか生瀬勝久あたりはいいなあ。最初に坂田利夫か、と思ったら光夫だった。1954年だものなあ。まあ、知っている役者が少ないというのもあるけれど。こうやって誰が演じているのかを見るのもまあまあ楽しい。
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ヴァイオラ(シザーリオ)大好き!
公爵の「ひとつの顔、ひとつの声、ひとつの服、だが別々の二人!」はやっぱり名台詞だなぁ。
お祭り騒ぎから正気に帰っていく感じが
バシッと決まっててかっこいい場面。
双子とはいえヴァイオラがセバスチャンとそっくりという設定が
最初は中々イメージできなかった。
しかし、ヴァイオラを「男装に違和感のない年長の少年女形」が演じていたと知って納得。
マルヴォーリオも
演じがいのありそうな美味しい役。