つむじ風食堂の夜

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こんな食堂があるのなら訪ねてみたい。
アタゴオルの世界に似た心地よさ。
クラフトエヴィング商会と初めてであった本です。

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私の求めていた食堂がここにある！
とは言いすぎかもしれないが、これを読んだとき懐かしい感じや「これだ！」という印象を持ったのは確か。
時には演劇を見ているような、センチメンタルに浸れそうな、いろんな感覚を味わえる作品なのだ。
クラフトエヴィングの吉田篤弘さんの著作ですね、うふっ。

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大切なのは日々の積み重ね。それから一緒に話して笑える誰かと時間と空間を共有すること。本当に大切なのは案外単純で身近なものかもしれない。とかなんとか。思ってみたりする。

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どこか遠くへ行こうと思った。でも行きたい場所はやっぱり「ここ」だった。
つむじ風ひとつ、くるりと巻いて、それが「ここ」

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こころが疲れているときなどに読むべし。いつもどおりゆったりとした時間軸の中にもプチミステリーがいくつも用意され、円の閉じる感じも味わえる。読後には潤いのある健全な心に戻っているはず。

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食堂は、十字路の角にぽつんとひとつ灯をともしていた。私がこの町に越してきてからずっとそのようにしてあり、今もそのようにしてある。十字路には、東西南北あちらこちらから風が吹きつのるので、いつでも、つむじ風がひとつ、くるりと廻っていた。くるりと廻って、都会の隅に吹きだまる砂粒を舞い上げ、そいつをまた、鋭くはじき返すようにして食堂の暖簾がはためいていた。暖簾に名はない。――――――この世界をお試しあれ。

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今回もゆったりまったりな、どこか懐かしい感じの物語。こんな町に住みたい、こんな食堂に行きたい、そう思います。読み終わった後、やわらかい布につつまれた余韻が。出てくる人やモノ(私はｴｽﾌﾟﾚｯｿﾏｼｰﾝがお気に入り)全てが淡く優しく光っている感じ。えぇ、「種も仕掛けもございません」から。

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ああー、食堂にいきたいな。
個人的に、『唐辛子千夜一夜奇譚』が読みたいです。出版してくれないかしら。

文庫版もでています。

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それは、笑いのこぼれる夜。食堂は、十字路の角にぽつんとひとつ灯をとも
していた-。舞台は懐かしい町「月舟町」。エヴィング商会物語作家による、
書き下ろし小説。

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タイトルと本の装丁が好みなので思わず借りてしまいましたが、正解でした。
文章はシンプルで透明感があり、まるで絵本の世界に紛れ込むような感じ。

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発売直後に単行本で買ったのですが、文庫も持ってます（笑）
2005年に読んだのは文庫の方ですが、あえて単行本で登録。
もどかしい主人公なのに、どこか憎めない。
魅力的で変わった本が出てくるのもいい。
地下のコーヒー屋の話が好き。

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旅に出る。

空想の旅、想像の旅、つむじ風に乗って。

街は動いている。

確かに、総てを包み込んでいる。

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帯表
それは、笑いのおぼれる夜。
舞台は懐かしい町「月舟町」。
クラフト・エヴィング商會の物語作家による
書き下ろし小説。
帯背
夜と帽子とつむじ風
帯裏
食堂は、十字路の角にぽつんとひとつ灯をともしていた。
私がこの町に越してきてからずっとそのようにしてあり、
今もそのよううにしてある。
十字路には、東西南北あちらこちらから風が吹きつのるので、
いつでも、つむじ風がひとつ、くるりと廻っていた。
くるりと廻って、都会の隅に吹きだまる砂粒を舞い上げ、
そいつをまた、鋭くあじき返すようにして食堂の暖簾がはためいていた。
暖簾に名はない。