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紙の本
この小説のジャンルは、何になるのでしょうか?
2009/03/29 11:13
12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:龍. - この投稿者のレビュー一覧を見る
この小説のジャンルは、何になるのでしょうか?
奇想天外なストーリーと圧倒的な表現力で、引き込まれます。
物語は、ひとりの「匂いのない」男が主人公。匂いに異常なまでの執着を見せる彼は、究極の香水作りに取り組みます。
その香水とは、処女の香り。
しかも原料は、生身の処女たち。
おぞましい物語ですが、読んでいると文章から香りがしてくるような錯覚にとらわれます。
香水には、もともと媚薬的な効果もあるため、エロスとも結びついた表現が多くなりますが、主人公が求めるのは匂いのみ。肉体には全く興味を示さない、というのがかえってエロスを感じさせるのかもしれません。
匂いを支配する主人公は、世の中のすべての人を魅了することに成功します。
そして、ラストシーンは、すさまじいエロシズム。
映画にもなった作品ですが、小説の方が細かな描写を読み取ることができるためお勧めです。
龍.
http://ameblo.jp/12484/
紙の本
シュールでグロテスクで残酷。80年代ドイツ最大のベストセラー。映画化されるって、パゾリーニやホドロフスキー作品のように?丸尾末広か花輪和一がアニメ化してもいいが。
2003/08/14 14:01
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る
18世紀のフランスに天才肌のおぞましい男がいた、という紹介が最初のパラグラフでなされる。何の領分においてかという説明として「香りというつかのまの王国に」とそのパラグラフは結ばれる。つづいて当時の町、ことにパリがいかに悪臭に満ちていたかの記述があふれ出してくる。
昔のヨーロッパでは入浴の習慣がほとんどなく、人びとの体臭がすごいがために香水というものが発達してきたとか、トイレや下水道の整備がされていないから疫病がまたたく間に広がったという聞きかじりの話を思い出しながら読み進めていると、最初に紹介された天才の酷い出生が語られ始める。
文庫版でわずかに6ページの第1節。「げっ、キモい!」という人と「こりゃすごそうだ!」という人が、ここですっぱり岐かれることと思う。見かけだおしではなく、クライマックスにはそれに見合った盛り上がりがあり、結末にもそれに相応しい幕切れが用意されている。ヒートアップしていくだけなのだから、覚悟の決め時というものだろう。
「孤児のグルネイユは生まれながらに図抜けた嗅覚を与えられていた。真の闇夜でさえ匂いで自在に歩める。異才はやがて香水調合師としてパリ中を陶然とさせる。さらなる芳香を求めた男は、ある日、処女の体臭に我を忘れる。この匂いをわがものに…」
カバーのあらすじで、ある種の方向性や面白さを嗅ぎ取る人もいると思うが、これはあまりに慎ましやかでおとなしすぎる案内というものだ。
全体は大きく3部に分かれている。
第1部の舞台はパリ。主人公グルネイユの生まれと育ちの異常さが、成長してのちの悲劇の一因となることが語られる。読者にとっては、シュールな虚構物語を頭に構築していく上でスムースな導入だ。生まれ育ちに加え、異常に発達した嗅覚と特異な体質がグルネイユを香りの世界へ導き、香りを通して世界を認識させていく様を描いている。物語にとっても必要欠くべかざる土台。
自分の鼻や分析・記憶に対する自信の獲得が、自分は何者かという成長期の自己同一性獲得に結びつく。それゆえ何を目的に、何を欲望して生きていくべきなのかが徐々に露わになっていく。
第2部は7年もの歳月が流れるというのに、ごく短い。彼はひとつところに留まり修行僧のように過ごす。修行僧のように心の平安を得たのち、自らの決定的な欠落を発見する。その発見が、これまでにない全く新しいタイプの香水作りの動機になる。
第3部は、彼のなかの猟奇が全開する祭典の場である。猟奇的ではあるが、グルネイユはレクター博士のような根っからの「悪漢」ではない。ターゲットに向かうときの集中力、そのための禁欲や美学には共通するところがあるものの…。
語りの上手さに舌を巻くし、香水の知識を得られたり、時代の雰囲気に浸ったりというだけでもよく出来た小説だ。しかし、何よりもスリリングな楽しみがある。それは、禁じられた欲望をグロテスクに昇華させていくことの面白さを求めながら、自分のなかの卑しい欲望、危ない欲望を刺激するのが許されることだ。読書という行為のなかだけであるならば…。
紙の本
寓話的ミステリー
2016/05/08 19:01
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちょびちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミステリーはミステリーですが、池内さんのコミカルな訳のせいなのか、SUESKINDさんの文体がそうなのか、少し寓話ぽい印象をうけます。そして化学の知識がある人ならもっと楽しめるのでは?とも思いました。ただ、そんな知識がなくても、ヨーロッパの香水の世界(19世紀の話なので歴史)がよくわかります。20年くらいまえのベストセラーですが、今読んでも面白く、読みだすと最後までノンストップですよ!
紙の本
味覚よりも嗅覚を優先させたアイディア
2015/08/14 18:43
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:更夜 - この投稿者のレビュー一覧を見る
煙草をやめたら味覚よりも嗅覚が鋭くなりました。
今まで気にならなかった臭いに敏感になり、香りのよさに気がついたり。
この物語の主人公は、とても嗅覚が鋭くて、孤児ではありますが、
香水屋に弟子入りして、その才覚を現していきます。
1980年代に発表されてベストセラーになり、英国ガーディアン紙が選ぶ
死ぬまでに読んでおきたい1000冊の本の一冊にもなっています。
味覚を描いた美食ものというのは、もう巷にあふれていて、
めずらしさはないけれど、なんといってもこの本の魅力は嗅覚という
アイディア。
18世紀フランスがどんなに悪臭まみれだったか、最初にがつんと
描いています。
主人公ほどではないけれど、嗅覚がするどくなったので、その描写に
鼻が曲がりそうです。
グロテスクさもありますが、今流行のストレートな表現はなくて
どこかしら、哀愁がただよっている所が読みやすい部分でもありました。
紙の本
鼻男の一代記
2015/08/09 00:41
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夜メガネ - この投稿者のレビュー一覧を見る
帯・後書きにあった言葉ですが、グルヌイユの形容にこれほどマッチした言葉はないです。
ついでに言うと、これほど「におい」という単語が出てきた小説は読んだ事がありません。
たぶん、これからも無いような予感がします。
それほど、強烈に匂い立つほど面白かった!
読んでいる最中に、これまで以上に香水に興味がわき、日本では販売されていない香水を取り寄せてしまったほど。
"eau de parfum"香料濃度15~30%+アルコール+蒸留水
(間にEau de Parfum、ついでEau de Toilette、と濃度順に続きます)
"eau de Cologne"=『ケルンの水』の意から由来 香料濃度2~5%+アルコール+蒸留水
身近な品としては日本では多くの方が低濃度のトワレとコロンをあげると思います。
しかし、悪臭際立つパリでは原液(精油)に限りなく近いparfumこそがグルヌイユの作品。
動物的な人間が持つ唯一の執着によるライフワーク、とも思えてしまう描写。
訳では複雑な学名だったりしますが、最近では別名でピンとくる香料もあるので
こちらも映画を観てからの方がわかりやすかったです。
(例としては「パチョリ」。小説・映画共にグルヌイユが繰り返しつぶやく場面があります)
映画公開当時は、予告編に規制がかかったり、観客の反応がまま微妙ではあったのですが、改めて観ると(原作をババッと駆け抜けてるところはありますが)面白い。
原作者のP・ジュースキントは「映画化するならキューブリックとミロス・フォアマン!」
と言いはってきたらしいですが、
ベストセラー後に住まいを移した南仏の自然が2000年頃に彼の心をほぐしてくれたのか、
原作:ドイツ作家 映画製作:ドイツ/フランス/スペイン キャスト:英国メイン、
監督:ドイツ出身 言語:英語
と、なんとも不思議なとりあわせで映像化。
単行本に出会えた際には物語りに出てくる地名が表紙裏にパリの古地図が配されているので、ぜひチェックしてみてほしいです。
あとがきも読み応えがあり、「次はこれだ!」と思える読書ガイド。
しかも、「香水」の古地図がニクイ演出に一役かってくれている。
→アラン・コルバン「においの歴史―嗅覚と社会的想像力」へ、
匂いの歴史旅が続いていきます。
紙の本
一気読み
2022/07/28 02:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:emi - この投稿者のレビュー一覧を見る
異常な嗅覚を持った主人公の物語。話のテンポがよく、一気に読んでしまった。
紙の本
前から読んでみたかった作品です
2017/07/25 21:02
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:テレグラムサム - この投稿者のレビュー一覧を見る
面白いと評判だったし香水が好きなので、読んでみたかったのですが、読んでびっくり!
主人公が生まれつきの悪人だったのでした。
・・・でも、なんだか読んでいると、本当にただの悪人といいきれるものかどうなのか・・・と思ってしまったり・・・(少し、かわいそうで・・・)
自分に体臭がないってところは別として、古代の人間はもともとこの主人公のように感覚が研ぎ澄まされていて、本能のままに行動していたのではないのかなぁ・・・とか思ってみたり。
ラストはなぜかスッキリなのです。
まるで主人公なんて、元々居なかったかのように・・・
紙の本
あらゆる香り
2016/02/09 17:05
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:狂人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
あらゆる香りをかぎとってしまう主人公…生い立ちの歪みも加担して殺人者になってしまう。あらゆる香りが漂う物語…ラストは浮き世ばなれしているが、面白い。