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紙の本
薔薇の木枇杷の木檸檬の木 (集英社文庫)
著者 江国 香織 (著)
恋は世界を循環するエネルギー。日常というフィールドを舞台に、優しく、ときに物憂げに、何ものをも畏れず繰り広げられる、9人の女性たちの恋愛。都会的タッチの「恋愛運動小説」。...
薔薇の木枇杷の木檸檬の木 (集英社文庫)
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商品説明
恋は世界を循環するエネルギー。日常というフィールドを舞台に、優しく、ときに物憂げに、何ものをも畏れず繰り広げられる、9人の女性たちの恋愛。都会的タッチの「恋愛運動小説」。(解説・唯川 恵)
【商品解説】
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紙の本
江國香織さんの長編小説はどきっとするほど怖かった
2008/08/05 21:21
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サムシングブルー - この投稿者のレビュー一覧を見る
江國香織さんの作品はとてもお洒落で、都会的です。『薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木』の舞台は広尾です。『いちばん好きな花はフリージアだった。』で、この物語は始まります。フリージア、ストック、ひまわり、うす黄色のカーネーション、小手鞠、スミレ、忘れな草、ストロベリー・キャロル、白いバラ、クラマゴケ、白いラナンキュラスなどの花に囲まれています。そして、ケニー・Gのサックスが流れている生活、なんとも優雅です。主人公の陶子とフラワーショップのオーナーのエミ子と陶子の学生時代からの友達のれいこ、3人の既婚者を中心に9人の女性と6人の男性が登場します。恋愛をすると起こりうるであろうすべてのことが起こってきます。よく考えると怖い物語です。しかし、江國香織さんの手にかかるとすてきな物語になるのですから不思議です。ストーリーを書くことは控えます。そこで心に残った文を抜粋します。
エネルギーがあるから恋愛をするわけではなく、恋愛がエネルギーを産むのだ、と思ったが、言わずにおいた。
「誰かを好きになったからといって、夫をきらいになれるわけじゃないもの」
「でも、もう二度と、夫に男性的な魅力は感じられないと思うわ」
「ね、ビラヴド ワイフって知ってる?」
エミ子がふいに言った。
「ビラヴド ワイフ?」
訊き返した陶子に、エミ子は説明する。
「そう。外国映画によくでてくるでしょう? 女が死ぬと、お墓にそう刻むの。愛された妻にして良き母、とか」
ああ、小説にもでてくるわ、と、れいこが相槌を打った。
「あれをみるたびにね、思うの。お墓の下で何人抗議してるだろうって」
そして「『奥さんの薔薇園』ではとりどりの薔薇が、いまを盛りと咲き誇っている。」で、この物語は終わります。江國香織さんの世界に酔いしれた私は深いため息をつきました。本能のままに生きられたら……。
紙の本
淡々とした日常
2003/08/05 16:10
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さら - この投稿者のレビュー一覧を見る
久しぶりに読んだ江國香織さんの作品。
大満足の一冊です!
彼女の作品にしては珍しく、大勢の登場人物が代わる代わるそれぞれの視点から話が進んでいくため、最初ちょっと読みづらく、設定把握に時間がかかってしまいましたが、読み進むうちにはまりこんで一気にいけます。
大きな大事件が起こるではなく、誰もが経験しそうな、色々な立場の人から見る日常が淡々と綴られています。
誰か一人に共感するという人もいるでしょうし、私のように「あ、こういう人いる!」とか「解る〜」などとその場その場で共感反感することも出来る作品です。
紙の本
考えさせられる夫婦の関係
2021/07/19 21:21
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
主婦・陶子(既婚)、彼女の妹(未婚)、雑誌の編集者(既婚)、花屋(既婚)、モデル(未婚)、大学生(未婚)、その他の既婚、未婚の女たちのお話、まわりからは幸せそうに見える夫婦だが実は。別に経験がるわけではないのだが。登場人物の一人の女性が夫に離婚を切り出す、その時、夫は「理由ぐらいいうべきじゃないのか」と切れる、その時、妻は「じゃああなた結婚するときに訊いた? なぜ俺と結婚したいのかって訊いた?」と腹立たしい気持ちで考える。そう言われればそうだ、そんなこと、考えたこともなかったが確かに訊いたことはない。また、この作品には本当の自分を偽って夫として、妻として、こうあるべきだと、ある時はかっこをつけて、ある時は冷静さを装って演技をしているかもしれないと覚めてしまうという場面がたびたび登場する、まったく同感だ
紙の本
どうなんですか?
2004/07/08 23:02
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちはな - この投稿者のレビュー一覧を見る
同じ街に住む何人もの人物が入れ替わり立ち替わりで文章中に登場して、最初は少し戸惑いながら読みました。が、すぐに慣れて「さて次は誰?」という感じに。恋愛ってこんなに日常的なものなんだ…と気付かされました。何気なく口にする「結婚おめでとう」という言葉、それから夫婦について、みんな普通に結婚してるけどどうなの?と聞きたくなりました。
紙の本
あなたは誰に共感する?
2003/07/13 00:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:米作り - この投稿者のレビュー一覧を見る
8人の女性が中心となって繰り広げる「恋」と「生き様」が溶け合ったストーリー。それぞれの強烈な個性が、まるでそれが「宿命」だったかのように、人生を突き進んでいく様子がこの物語の根幹にある。男の目に見える「強さ」だけが、女の強さを全て表しているわけではない。恋のために突き進む女のリアリティを、ヒロイン達は見事に体現している。ちなみに、私は登場人物の中でも、とりわけ「衿」の奔放さから目を離せなくなってしまった。
強いて難点を挙げるとすると、登場人物が多いため、通勤時間などの細切れ時間を使って読む私にとっては、個々の人間関係を把握できるまでに時間がかかってしまったことだ。だが一方で、登場人物の数だけ同時進行で人数分かそれ以上の展開が楽しめる。これから読む人には、できるだけ、一気にまとめて読むことをおすすめしたい。