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紙の本
ST黄の調査ファイル (講談社ノベルス ST警視庁科学特捜班)
著者 今野 敏 (著)
宗教団体「苦楽苑」の若者信者4人が突然の集団自殺を遂げた。検視官はカルト的な自殺と断定したが、事件現場の不自然さを疑ったSTは調査を始める…。STメンバー僧侶の山吹が禅を...
ST黄の調査ファイル (講談社ノベルス ST警視庁科学特捜班)
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商品説明
宗教団体「苦楽苑」の若者信者4人が突然の集団自殺を遂げた。検視官はカルト的な自殺と断定したが、事件現場の不自然さを疑ったSTは調査を始める…。STメンバー僧侶の山吹が禅を通して現代人の心の闇に迫る。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
今野 敏
- 略歴
- 〈今野敏〉1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年「怪物が街にやってくる」で第4回問題小説新人賞を受賞。レコード会社勤務などを経て、作家専業となる。著書に「蓬萊」ほか。
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紙の本
宗教は、本当に人を救うのか?
2004/02/04 16:28
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投稿者:カルバドス - この投稿者のレビュー一覧を見る
こうしている間にも、世界の何処かで新しい宗教が興されているのかもしれない。現在では三大宗教やブードゥーといったメジャーな教団だけが神聖視され、それ以外は異端視されている場合が多い。法外な寄付金を要求したり、悪意を持った教義で人々を煽動したりする団体も少なくないから、それも仕方ないのだろう。
法医学のエキスパートや超人的な聴覚や嗅覚を持った人員で構成される警視庁科学特捜班(通称ST)の今回のターゲットも、新興宗教である。団体の指導者は宗教ではないと言っているが、“偶像を2人以上の人間が信奉する”という定義からすれば、指導者のカリスマに頼っているこの団体は立派な宗教といえる。
さて、本シリーズ(本書は第6弾)の見所の一つに、STの面々による専門的な調査がある。超人的な聴覚と嗅覚を駆使して“人間嘘発見器”となったり、茫洋としながら的確に相手の精神状態を言い当てたりと、その驚きは尽きない。そうした特殊能力を持つ面々の陰に隠れてこれまで目立たなかった存在、薬学の専門家にして僧籍を持つ山吹才蔵が今回の主人公だ。
これといった能力がない彼がどのように活躍するのか、読む前は全く想像できなかった。だが、読み進めるうちに、「なるほど」と頷かされることがしばしば。これまでのシリーズでは科学捜査によって事件を解明していたが、今回ばかりはいつもと勝手が違う。“嬉しい期待外れ”とでもいおうか、「事件へのアプローチが少し違うだけで、こうまで感覚が変わるのか」と、新たな面白さに気付かされた。僧籍を持つ彼だからこそ解決に導けたと言っても過言ではない。
今、STシリーズの新たな魅力が生まれた。