紙の本
日本報道から見る日本
2008/09/27 03:51
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書はイギリスから韓国、アラブ諸国まで、日本がどのように報道されているのかを各国別に紹介している。文章は各国ごとに担当が専門別に分かれているので、それなりに詳しい。ただし、4年前のデータなので特にアメリカなどは若干変更を要するところも出てきている。
アメリカはいうまでもなく民主主義国家群の盟主であり、日本にとっては最大にして唯一の同盟国である以上、ここに注目せざるを得ない。見てみると、小泉政権との絡みで書かれている部分が非常に大きい。小泉総理はブッシュとの蜜月関係を多種多様に演じて見せた。日本人はそれによって日米蜜月と思いきや、米国は冷めていた・・的な流れである。が、当時のアメリカはやはり日本に好意的であった。それは、小泉総理がイラクに派兵したからである。ウォールストリートは当然として左翼のNYタイムズも結構好意的なものが多かった。
しかし思えば、日本批判が舞い踊り、抜かせ追い越せムードだった90年代初頭は日本記事は相当多かった。なにしろクリントンはそんな生意気な日本に「天誅」を加えると断言し当選した人物である。当時は、東京の地価でアメリカ全土が買えてしまい、テキサスほどしかない日本のその首都東京の株式市場の時価総額はダウをも凌駕していた。そんな時代から比べれば現在はジャパンナッシングというより、「ホントに報道することがない」というのが覆うべからざる真相だろう。まあ、別にこんなもんだ。おそまつ君の唄じゃないが、外国なんてそんなもんだ。汚染米なんか報道したって誰が新聞を買おうか、視聴率が稼げようか。
アラブ諸国はもっとそうで、ほとんど日本記事はないそうだ。あるのは皇室報道である。これは要するにアラブの王室を語る際に日本がたまに引き合いに出されるというものだ。日本だってそれで英国王室を報道することが結構多いわけでこれもまあこんなもんだろう。だから無関心といえばそうだが、しかし中東からトルコあたりの日本のイメージは「電機」である。なにしろテレビは「NIPPONN」とかいうあり得ないメーカー名で売り出されたりしている。バングラディッシュにいった友人はそんなテレビを何台もみたそうだ。トルコに至っては、そこらじゅうに「日本製品」があふれ返っている。もちろんラベルだけ日本というインチキ製品にきまっている。それだけメイドインジャパンの信頼は健在だし、そのイメージは全く揺らいでいない。
ドイツは生意気にも日本の二の舞を舞うなかれ的な色調だそうだ。ドイツ人というのは優秀だが、おかしなところも多い。たとえば、日本の債務について対GDP比と比較するのがお好きで、自分の国は欧州基準があるので60%内に収まっているという主張が大好きである。おまけに日本のGDPの30%は不良債権で腐っているなどと、まあとにかく日本経済にはネガティブである。ついでにいうと、日本では日独同盟の誼を懐かしみ友情に近い印象を持つ者も結構いるのだが、ドイツ人はそれを恥に思っている。
恥はまさしくこちらであり、そのおかげで世界大戦を破滅に導いてしまったわけだが、認識としてはこうだ。また、売上に等しいGDPと債務額を比較しても債務額の規模が分かるだけであって、なんの意味もない。要はその担保が重要なわけで、ドイツのように失業があふれている劣等性に言われるようなことではない。結果、日独は本書にもあるとおり、戦後の劣等性の括りにはまってしまったが、いずれも世界2位3位の大経済国であることを忘れる必要はない。
またフランスでは近年は経済より何百倍規模で文化報道がなされていることはもうご存知の方も多いだろう。なにしろドラゴンボールのテレビ視聴率は70%である。ドラゴンボールを例えばトランクスが現れたあたりで政府が放映禁止にしたらドラゴンボールデモが起きたことは間違いない。それくらいのレベルである。いまでは一番有名な日本人は鳥山明だそうだ。
最後に異質なのは韓国である。連日連夜反日大合唱。この国にはもはやいうことは何もない。ただちに国交断絶し、貿易も不要だ。部品を売ってやって腹いせがまずいノリの押し付けだ。おまけに海苔巻は韓国発祥だ、剣道部指導は韓国起源だからオリンピックには「クムド」で登録、竹島、おまけに対馬まで韓国領土と言い張る国会決議を模索中で、国民の6割はそれに賛成だと。一日一回は「日本海を東海に」の文章を見る。つきあっても何一つメリットはない。
他にも多く紹介されているが、経済の未来は明るいが、問題は政治がどうなるか。政治が安定しなければ経済は絶対に好転しない。政治システムが悪すぎ、議院内閣制が完全に機能不全に陥っている。各国の悪口が多いのはやはり政治に対するものだ。これは反論できない。英国は一度首相になった人を引きずり降ろさない成熟した政治風土がある。しかし日本にはない。こういう国が日本式議院内閣制を取ると、政治は安定しない。議会が解散したら首相も議席を失い、総理から引きずり降ろされる上に、最大でも4年の任期までつき、その上3年に一回の参院選挙で負けたら政情不安定。おまけに引きずり下ろし文化もある。これで政治が安定するのはまさしく薄氷を走るが如しだ。
紙の本
各国の事情がよく分かる
2009/06/04 21:08
9人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GTO - この投稿者のレビュー一覧を見る
各国のマスコミが、日本の何をどのように報道し、何を無視し、何を誤報するかは、それぞれのお国の事情を反映していて面白い。日本のマスコミ報道も海外から見れば同様なのであろう。さらに日本に入ってくる情報のほとんどは英語経由であることも、英語圏以外の国々の報道との温度差を大きくしている。
「はじめに」で、『自分の身の回りのことで精一杯で、今どき海外が日本をどう見ているかなんてどうでもいい - 本書のタイトルを見た人からは、こんな言葉が聞こえてきそうだ。』(p.6)とあるが、私は日本人ほど外からどう見られているか気にする国民はないと思っている。この本が売れるのもそのようなニースが高いからである。
それには良い面もあれば、悪い面もある。現状を非難するためにやたらと海外を美化するパターンの本も後を絶たない。だからといって、海外情勢を見なくてよいかと言えば、そうではない。日本の外交下手は国民の目から見てもはっきり分かる。政府関係は、日米関係を重視するあまり、他の国々に対する情勢分析が甘い。マスコミは読者や視聴者受けをねらい過ぎ、取材が表面的であったり、片寄った選択をしている。常にそれを意識して情報に接する必要があると思う。
各国の報道内容は、出版が2004年のため、日本はバブル後の失われた10年の直後ということもあり、失墜した日本経済をどのように報じているかが中心になっている。現在(2009年)の米国発の不況が世界を席巻している状況では、どのように変わっているかも興味深い。
個人的には、各章の末尾にある「基礎知識・各国のメディア」が大変勉強になりよかった。現在はその多くがネット上にも紙面を持っているので、それぞれの語学力があれば各国がいま何を問題視しているかが分かる。日本でどれだけ大きな扱いを受けていても、他国の新聞では扱われていないものがある。これはわりと理解できる。日本のことであるのに、日本国内よりも海外で大きく扱われるものがある。これには要注意である。しっかりと分析をする必要がある。そのようなヒントがいっぱい詰まっていて、楽しい本であった。
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海外のメディアで日本がどう報じられているかについて書かれた本です。
日本人がどう思われているのか知ることで、国際社会で日本人としてどう振舞うかを誤ることが少なくなるのではないでしょうか。
また、これからどのように日本を世界に発信していけばよいのか考える上で参考になる本です。
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アメリカ・韓国・中国・フランス・ドイツ・・。
それぞれの日本に対する見方をそれぞれの専門家が
わかりやすく述べているので、とてもわかりやすかった。
失われた10年に対する各国の見方なり、
結構幅広いのでいいと思います。
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5月、学校の図書館。
各国による日本報道の違いについて書かれています。中・韓がやっぱり気になるので読んで見ました。
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日本人が思っている以上に世界にとって日本は重要視されていない。
国ごとに報じられている情報も全く異なっててびっくりしました。
やっぱり誤解も多いこともショックだったかな。
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簡単に読めるけど各国ごとに区切られて日本像と、その国との関係が描かれています。ちょっと風刺が効いているので、読み物として。
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こう言うの興味あった。主観でなく客観的な見方の中の日本。
またメディアをチェックする際、“何が報道されているか”に加え“何が報道されていないか”を見ることが大事。
【イギリス】
・イギリスでは大戦中の捕虜虐待問題がすごく有名。反面日英同盟を知らない人も多い。
また繁栄をきわめていたイギリス帝国の没落を呼んだ国(日本に敗れ植民地を手放したこと、支配や権力が大きく揺らいだ)としての日本の側面も。そして今メディアや世論はようやくその古い呪縛を抜け出しつつある。
・一昔前は「日本の経済侵略」「日本に学べ」だった。また深刻な不況を経験した英国側からは日本の不況を不況と思えない、何故ならそれでも生活水準が高いから。花火はあげるしショッピングはするし‥
・捕鯨に関する批判も。ただ文化への無理解に警鐘を鳴らす内容もあることはある。
・日本で大きく報道されるサミット。しかし英国では数ある首脳会談のひとつにしか過ぎない。
日本はたまにしかあがれない世界(欧米)の大舞台だから報道される‥
【フランス】
・“文化のフランス”と“経済の日本”だった図が逆転してきている。
つまり“経済のフランス”“文化の日本”。距離感があるからこそ幸福なエキゾチズムを日本に感じる。
・最近日本への興味は薄れてきており反対に中国への興味が強くなっている。ただでさえ決して重要な経済パートナーでは無い両国関係、日本の凋落によってそれは当然。
・今や“日本おそるるに足らず”の論調も多い。日本へ進出するフランス企業も多くなっている。
・フランスはド・ゴール以降、外交でアメリカに決定的なところでは妥協しつつも表面的には自主独立外交を行ってきている。イラク戦争で日本が米国に賛成したときフランスのマスコミは“世界2位の経済力を持つ国が出来る外交を放棄した”と報道した。
【ドイツ】
日本からドイツへの想いはずっと片思い、明治維新の頃からずっと‥日本が経済繁栄を謳歌していたころはよくメッカを目指す巡礼者の様に日本に勉強に来ていたが‥今は「ガリバー(巨人)は死んだ」と報道されている。
日本の経済、本当はイタリアよりもロシアよりも深刻である。日本おそるるに足らず。
向こうからするとすでに破産状態にあるはずの日本が機能していることが理解できない。それは日本独特のシステムと日本側の非理屈性から来ている。
・病巣はいくつもあるにも関わらず具体的な改革を遂げた指導者はひとりもいない。また指導者を含む政治家はみな無策。よくこれで‥?首相がこれほど頻繁に代わる国は先進国で例がない。しかも党利党略が優先されみな同じように「改革!」を叫んでいる。カラオケともうひとつドイツ語になった言葉としてカローシがある。しかしドイツでは残業はトップのすること、平社員がすることではない。
・またドイツ自体の経済が落ちてきており日本どころではない、と言う側面も。
皮肉にも日本とともに戦後繁栄を謳歌したドイツは“日本のように沈むのですか”と問われたりする。死んだガリバーである日本は悪例、反面教師として引き合いにだされている��
【アメリカ】
戦時中、敗戦が確実な状況で“負けることはない、絶対に勝つ”と叫んだ軍部と今の政治家がだぶってみえる。
沈みゆく船の小泉船長が大丈夫!と虚勢を乗組員に張っている。
ジャパンバッシング(日本叩き)→ジャパンパッシング(日本外し)ときて今はジャパンナッシング、つまり日本無視と揶揄される。
過去の戦争責任については絶対に米国の非を認めず基本的に、
一貫して中韓に沿った報道をしている。
【アラブの国々】
日本に対する報道はほとんどない。日本人は自分たちを大国だと思っているが‥
ただ例外として広島と長崎だけは有名。しかしそれはアメリカへの反抗、攻撃を正当化する理由として広島→ベトナム→パレスチナ→アメリカは攻撃される原因がある、との解釈。
【中国】
政府の統制などによりまだまともな報道システムが完成していない模様。
自由であるはずのインターネットも反日感情が邪魔をしている‥
【韓国】
韓国にとって日本は量的に最も多く報道されている国。しかしその内容は肯定と否定、羨望と嫉妬など様々な感情が混ざり複雑。
侵略時代に形成された“うちなる日本”に触れることはタブーとされた、
否定しなければならない。
若い世代は皮膚感覚としての日本嫌悪感が無くなってきている。
しかし韓国で好かれている日本は民族や国家でなはくあくまで“文化として消費される日本”
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使える新書21世紀の論点編
図書館で借りた。08年12月27日17時23分36秒
メディア関連の本。予想してから読むと面白い。1回だけ読んだんじゃぁこの本を味わえない。
09年2月17日12時3516より更新
イギリス:
WCのときの日本人の清潔さに驚く。ゴミの掃除をする日本人を見て、母国の価値観が覆された。
英国では日英同盟を知っている人は少ない。しかし、日本軍による英軍捕虜虐待問題は、広島の原爆並みの知名度らしい。
ジャップという蔑称語も、死語ではない。
捕鯨問題は日本批判の定番。
トイレを見て驚く英国人。ハイテク機能のついた道具だとか。
日本人男性の女性観は最悪中の最悪で、女性は重要な社会的地位につくことはほとんどなく、家事を黙々とこなすか、性のオモチャ。
開国時は、日本は西洋のストーカーになった。
すごい見方をするものだと思った。意識していないとはいえ、そう見えているのだから仕方がない。
フランス:
ゴーンさん、フランス企業の日本進出。
シラクさんの親日家ぶりと、日本の伝統文化への造詣の深さ。
ポケモン、タケシ・キタノ。
三島由紀夫、川端康成、小津安二郎、黒澤明、安藤忠雄はメディアの常連。
“イデオロギーを欠いた密かな反乱”のフリーターだって。
“ハッピーでラヴリーな生活を夢見る”東南アジアに赴くボランティアたち。
ドイツ:
カローシ。もはや脅威ではなく凋落した日本。
日本の銀行は実質、破綻している。
日本のGDPの30パーセントは腐っている。
日本の二の舞になりたくない。
勤勉であるという日本人像。
アメリカ:
小泉総理のやっていたことが、“この舟は絶対に沈まない”と言っている光景と被る。
日本バッシング(叩き)→日本パッシング(外し)→日本ナッシング(無視)
自動車、半導体の次はベースボールが日本を席捲。
調査捕鯨と言う名目で鯨を殺す日本。
日本の戦争責任にたいする報道は、捕鯨以上に立場をはっきりさせているし、譲らない問題。
アラブ世界:日本のことはほとんど報道されず、報道されても皇室問題くらいだという。
日本の歴史認識もあまりないようで、原爆投下前に日本は降伏しただの、第二次世界大戦後、北方領土を取り戻すために派兵しただの・・
驚きである。ヒロシマも伝わってはいても、詳しいことは知らない。
中国:
中国人が思い浮かべる日本人は1位小泉純一郎、続いて田中角栄、山口百恵、東條英機、山本五十六、中田英寿、酒井法子、高倉健、三浦友和、岡村寧次(やすじ。元陸軍大将、終戦時のしな派遣軍総司令官)
このランキングからわかるとおり、多様な視点がメディアにはなく、反日感情を掻き立てる内容である。学校教育を通じ日本の侵略の歴史に対する深い憤���の感情を中国の人々の心に染み付いている。
共産党の一党指導体制への求心力を高めるための愛国主義キャンペーン、その標的となった日本。
韓国:いや特に。
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世界各国が日本をどう報じているかを記した本。いまだにステレオタイプな見方をしている国もあり、それは逆に日本人も同じような見方をしているということかもしれない。メディアの問題として一番興味深く、一番問題だと思うのはやはり中国であろう。事実とは異なる報道を行い、日本バッシングをして、最後には自ら火消し。マッチポンプとなっている。大衆レベルでの日中間の感情的対立が今後も心配になる。それにしても小泉首相は靖国参拝をやめればいいのに・・・。
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日本が評価されていると嬉しいとは思うけれど、よくよくその国の状況や立場を考えてみれば本質が見えてくる。
「外国」なんて所詮は他人。
ここぞというときに掌返されるなんて世界史にはよくあること
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英仏独中米アラブ韓それぞれの、日本の受け止められ方を、各学者によって主にメディア(新聞・テレビ)を用いて紹介されている。
歴史見解を修正してほしいという動きは、中国や韓国だけでなく、第二次世界大戦時の日英戦争などイギリスにとっても、その溝が深い事が分った。
また、日本ではあまり問題視されていない捕鯨問題、アラブ世界で日本という国名よりよく知られている「ヒロシマ」「ナガサキ」という言葉、靖国参拝問題など、日本国外から見た、日本の問題が鋭く指摘されており、興味をそそる。
今こそ日本の時代が来る、と信じている人々は思い直した方が良い。たしかに、この国は勤勉で素直かつ清潔な国民性を持っているけれど、世界の注目を集める国ではないことをひしひしと感じている。例えば、今日本で北欧ブームが定着化しつつあるけれど、北欧家具がもてはやされるのと、海外で寿司がもてはやされるのは大差ないのである。(ちなみに、韓国料理屋にTERIYAKIと掲げられている文字はなぜか。寿司だって日本のものだと知らないアメリカ人もいるだろう)そのほとんどが、「国」そのもののナショナリティというよりは国の文化を抽出してできあがった、カテゴリーに注目が集まっているだけなのだ。
さらに、アメリカで生活していると日本人である事すら薄らいで感じてしまうのは、すでにアメリカが人種のるつぼと化し、全てを平等に受け入れる土壌ができているからだと感じる。
国民性を重んじるより、自分自身に力点を置いた人生の進路をとるべきだとつくづく思う、今日この頃。
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イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、中国と韓国、アラブ諸国の主に新聞で日本がどう報じられているかというレポート。日本を客体化することによって見えてくるのは、日本の真実・・ということではなくて、世界中のマスメディアの報道というのはいかにでたらめで、ステレオタイプで、偏向に満ちているのかということである。僕等がこの国で知りえている他の国のことも、それがどこまで真実なのか、もっと自分で学習しなければ、権力者=マスコミによって簡単に〈操作〉されてしまうことになるだろう。中国におけるマスメディアのマッチポンプ的「排日」報道のように・・・・。そして、世界中の誰もが〈経済〉というのを理解していない、というか〈経済〉は学問ではなく、後付の〈見方〉にしか過ぎないということが明確になる。出版された2004年、取材されているのは2002年くらいまでで、日本はまだ銀行の不良債権問題など深刻な状況にあったわけだが、そこまでしか知らない各国メディアの報道が真実だったとしたら、この国はもうない、はずであった。しかしまだこうしてある。つまりマスメディアは、事実にプラスして、予測だとか、推測だとかをあたかも事実のように報道しているのである。そしてその境目を見つけるのは非常に難しい。
上記ふたつの読み方はたぶんこの著書の意図したところではないと思われる。
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現在の日本を知るためには、「過去と現在の日本とを比べる」か、もしくは「外国と日本を比較する」ことが必要である。
しかし、「外国と日本を比較する」と一口に言っても、「海外を知ることで、日本を知る」ということと、「海外メディアを知ることで、日本を知る」ということは、似て非なるものである。
前者は、視点が日本国内にあり、主体的に海外を知ろうとすることによって、日本を相対的に捉えるということを意味する。
一方で後者は、海外のメディア、つまりは外国人にとっての一般的な日本の認識を理解することで、日本という国が、海外でどのように見られているかを知るということだ。
本書は、そうした比較のための、一つの視座を与えてくれる一冊である。
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(「BOOK」データベースより)
「ジャパン・バッシング(日本叩き)」や「日本異質論」が横行した時代も今は昔。「空白の十年」を経て、なおも経済の無策と政治の迷走を繰り返す日本に注がれる視線には、憐れみや嘲笑のニュアンスさえ混じり始めた。一方でポップカルチャーや社会風俗への関心はむしろ高まっているという。いったい、今の日本は世界の人々の目にどのように映っているのか。各国メディアの報道を通して、現在の「日本像」を探る。