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商品説明
憲法の基本的な個別領域での憲法学説を素材として、憲法学会をリードする研究者のなかから具体的領域での見解を提示している15名に聞く。『法学セミナー』に掲載された対談と編者による鼎談を加えまとめたもの。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
井上 典之
- 略歴
- 〈井上〉1960年生まれ。現在、神戸大学大学院法学研究科教授。
〈小山〉1960年生まれ。慶応義塾大学法学部教授。
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紙の本
あなたにかわって、聞いてきました
2009/05/02 06:50
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:半久 - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんの分野でもいいけれども、「ここんところを、もっと著者自身の口からかみ砕いて説明してほしいな」と思われたことはないだろうか?
本書は、憲法学(説)という分野で、「あなたにかわって、その疑問を聞いてまいりましょう」という趣旨でつくられている。こういう企画は、ありそうであまりないもので、ユーザー・フレンドリー(←死語かも・・・汗)でいいと思う。
対談形式になっているが、専門分野においてこの形式で「よい本」にするためには、二つほどハードルがあると思う。
一つは、インタビュアーの資質と能力。
二つは、会話文特有の「間のび感」を抑え気味にコントロールしながら、「なれ合い」にならずにどうキレのある緻密な議論にするか。
まず、インタビュアー(兼編者)は問題意識が高く批判精神にも富んだ、1960~61年生まれの3人の中堅憲法学者がつとめていて資質も能力も申し分ない。議論内容は、学生を意識して必要以上に目線を下げることはしない。インタビュアーが遠慮せずに核心に切りこんでくるので、緊張感のあるやりとりが生まれる。
回答者もすべてにわたって明晰に理論化できているわけではなく、現実との対応関係などで悩んでいるところもあるのだろう。微妙なところは微妙、判断に難しいものは難しいと率直に語りもする。
だから、なにからなにまで疑問が氷解したということではないが、ハードルはクリアした、よい補完本になっていると思う。
というか、こちらが特に疑問に思っていないことなんかも、インタビュアーは議題設定してくる。ああ、そうなんだよね。ワタクシも「もっと読みこまないといけないなあ。疑問をもつことは大事だなあ」と、いまさらながら痛感させられるのだ。
最後の第16講、インタビュアー達による鼎談の『憲法の学び方』は、法学徒のみなさんは必読だと思う。
いまの学生は、すぐに正解を求めようとするのだそうだ(この指摘は、「昔に比べて、いまの方がその手の学生が増えている」というニュアンスが感じられる。が、ほんとうにふえているかどうかは疑問なので、「そういう学生がかなり存在する」とでも受けとることにする)。
一直線に正解を求めるよりは、まずは疑問をたくさんもつこと。そして、迷ったり悩みながら、よりよい「答え」を模索していくこと。そのプロセスこそが、学問という行為の糧になると思う。
目次紹介
はしがき
第1講 幸福追求権と自己決定権 戸波江二・小山 剛
第2講 平等原則の裁判的実現 戸松秀典・井上典之
第3講 公共の福祉と違憲審査基準 市川正人・井上典之
第4講 信教の自由と政教分離原則 大石 眞・山元 一
第5講 表現手段の多様化とプライバシー 長谷部恭男・井上典之
第6講 憲法21条が保障する権利 初宿正典・小山 剛
第7講 経済的自由権と規制二分論 棟居快行・小山 剛
第8講 社会権の保障 内野正幸・小山 剛
第9講 外国人の人権 浦部法穂・山元 一
第10講 変容する市民像と家族像 辻村みよ子・井上典之
第11講 行政権と司法権 高橋和之・山元 一
第12講 参政権と選挙制度 岡田信弘・山元 一
第13講 憲法訴訟と民主主義 松井茂記・井上典之
第14講 憲法の変遷と改正 岩間昭道・小山 剛
第15講 平和主義と立憲主義 浦田一郎・山元 一
第16講 憲法の学び方 井上典之・小山 剛・山元 一