紙の本
発表直後に出版されなかったのが不思議なくらいの傑作ぞろいの短編集
2005/09/20 11:08
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投稿者:SnakeHole - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本に収められたのは昭和34年〜40年にかけて各誌に発表された短編。なぜこれらが出版されなかったのか不思議なくらいの傑作ぞろいだが,「坂の上の雲」とか「花神」とか,NHKの大河ドラマ風の大上段なテイストが薄いのが共通点か。…できれば8編全部に蘊蓄をタレたいところなんだがそうも行かぬ。となればオレとしてはやはり「忍者四貫目の死」を取り上げたい。
知ってるヒトは皆知ってるように(当たり前だ…この言い回し,落語かなんかからキてるのかね?)名張の四貫目と言えばなんというか白土三平忍者世界の大立て者の一人である。「風魔」「大摩のガロ」「ワタリ」…あ,「サスケ」にも出てきたっけ? いやワタシ,てっきりこの人物は白土先生オリジナルだと思っていたんだが,どうもこの司馬作品がデビュー,というか司馬先生の考案による人物らしい。
元亀3年,傀儡・足利義昭を擁立して京にある信長に対し,甲斐の武田信玄が「知道軒道人」と呼ばれる忍術名人を刺客に放ったという噂が流れる。盟友・家康からそれを知らされた信長は伊賀者・蚊羅刹にその迎撃を命じる。元は同じ伊賀者であり,また天下にその名も高い忍術使いを敵に回すことに逡巡する蚊羅刹に,上忍・祝部源太夫は甲州に詳しいという老忍者・名張の四貫目と若い忍者・上野ノ吐根を供につけて送り出す。知道軒は源太夫の弟であり,死ねば彼が伊賀に持つ領地がすっかり兄である我が手に入るというのだが……。まずは読むべし。
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投稿者:井沢ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
短編集でどれが本当でどれがフィクション?という感じであるが、ほとんどノンフィクションなのだろうが。「権兵衛五千石」、「豪傑と小壺」、「狐切り」、「忍者四貫目の死」、「みょうが斎の武術」、「兵部衛稲荷」、「侍はこわい」、「ただいま十六歳」と8編。それなりに面白かったが事実であれば、少し理解に苦しむところもある。そのころの常識が今の常識ではないというところか。
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今まで本にされてこなかった短編ばかりを集めた短編集。個人的には「権平五千石」、「豪傑と小壺」、「狐斬り」の三篇が特に面白かった。
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戦国時代から江戸の終わりまでに、うだつの上がらなかった武士を8人ほど取り上げて紹介する。平野権平は、加藤清正、石田三成と同じく豊臣秀吉のお抱えの武士となるが、戦場で同じ働きをしても、生涯5千石しか領地を与えてもらえなかった。など。
久々に司馬遼太郎の本を読みました。司馬さんの本を選ぶとき、なるべく長編を読むようにしておりましたが、たまたま本屋で見かけて、この「侍はこわい」を読みました。登場人物、いずれも運のない武士や忍者で、そのなかに近藤勇も混ぜられており、幕府が瓦解しても甲州城攻めに走り回っているのを揶揄している。相変わらず見てきたように書いているし、会話文を書いておきながら「とは言わなかった」という司馬遼太郎節がでていて面白い。
2006.5.24読了
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日野図書館より。
いや面白かった。
犬猫になりたがった剣士とか。
忍者とか。
近藤勇とか。
司馬さんは短編も面白い!
一応ほんとにあった話っぽいのがいい。
でもあいかわらず 土方歳三 って字面だけでときめく私…
心の恋人です…笑
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司馬遼太郎記念館に行き、そこの売店で買いました。
帰り道すぐ読み始める。エンターテイメント性抜群!
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戦国時代関連3話と江戸初期1話、他4話の計8話の短編集。
個人的には七本槍の一人平野権平長康の「権平五千石」の中の唄う孫六と「忍者四貫目の死」のサプライズ人事が好きです。
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司馬遼太郎は短編集もおもしろい!
いや、見事にその通りです。
特に「忍者四貫目の死」は、どんでん返しが多くて質の高いアクション映画を見てるようだった。
こんなエンターテイメントの強い作品を作るとは思わなんだ。
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戦国時代、幕末を背景とした短編集。
忍者、剣客、気儘人など登場人物たちはそれぞれ強烈な個性を持っていて読んでいて楽しい。
司馬さんの短編集の中では好きな方。
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これ、面白い。
いつもの司馬小説よりずっとポップな書き方で脚色も強い印象だけど、おかげで「歴史」を読んでるというよりもちょっとした時代劇を立て続けに観てる気分で読める。
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みょうが斎の武術、という剣術というのは失われた猫のさがを取り戻すためにあり、そのために土間で寝て土気を吸う、という話が印象的だった。
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長いこと積読していて、いつどうやって、なんで買ったのか、既に思い出せない。司馬遼太郎といえば薀蓄、というのが私のイメージで、読むのに苦労するので、なんとなく敬遠していたのでしょう。けれど、読んでみると大変面白い。短編集で、取り上げているのは(たぶん)有名でない、人物ばかり。最後だけ、近藤勇の幼少期でしたが、これも初めて知るエピソードでした。こんな変な(?)武士の説話があるのか、という点でも興味深かったし、短編としてのオチも面白い。司馬遼太郎の新たな魅力を知った心地です。
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司馬さん初期の短編集。「みょうが斎の武術」「庄兵衛稲荷」「ただいま十六歳」が良かった。「庄兵衛稲荷」のいう「気儘人」が世で一番幸せなのかも知れない。12.4.21
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侍に関する短編集
「権平五千石」
「豪傑と小壺」
「狐斬り」
「忍者四貫目の死」
「みょうが斎の武術」
「庄兵衛稲荷」
「侍はこわい」
「ただいま十六歳」
どの短編も凄く面白い。
「庄兵衛稲荷」に出てくる好色家の気儘人(きままじん)も良かったし、
「みょうが斎の武術」のみょうが斎の天然自然流の剣術も良い。B型っぽい。
「ただいま十六歳」は若かりしころの近藤勇の話。
物凄い想像力と表現力。どの主人公も人間くさくて素晴らしい。
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司馬遼太郎初期の短編集。
初期の司馬作品の方が、個人的には好き。
8つの短編を収録しているが、どれも良作ぞろい。
「狐斬り」は、鳥取の隠れた天才兵法者深尾角馬。日々是平安に暮らしていたのだが、ある日鳥取城下に浪人兵法者が訪れたことから、生活は一変。城下に二人の兵法者は要らぬとばかりに二人の対決を望む空気がひろがっていく。
浪人兵法者との対決を避けていた深尾角馬であったが・・・。
男同士の意地と、男女の艶かしい感情が交差する良質の人間ドラマです。
「忍者四貫目の死」は、信長の暗殺を企む、正体不明の忍者知道軒道人の暗殺を命じられた、二名の忍者の話。
こちらは、ミステリー調の作品。
最後にはきちんとどんでん返しも待っています。
「ただいま十六歳」は、多摩の百姓の倅である、宮川勝太が主人公の物語。
幕末の嵐が吹き荒れる前。
まだおだやかだった多摩の村を舞台に、剣と恋に生きる一人の少年の青春時代を描きます。
ほろ苦い余韻の後におそってくる、一陣の風を感じる爽やかな読了館が心地よかったです。
全体を通してさらっと読めてしまうので、通勤寺の電車の中で読むには最高の短編集です。