紙の本
日本のなかに「江戸」出現!!
2006/10/11 19:37
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
第17回(2005年)日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
近未来の日本のなかに「江戸」があります。この設定自体が傑作。
北関東から東北にかけて、東京、千葉、神奈川を足したくらいの敷地が囲まれています。そこでは、江戸を模した町並みとお城があり、大川が流れていて、300年前の生活を続けています。
国際社会的には「日本の属国」ですが、自治は独立しており、鎖国制度が厳しく、出入りも限られています。抽選で数人ずつ入国が可能ですが、自然のものでできたもの以外、日本のものはなにひとつ持ち込むことができません。
江戸で生まれたものの、5歳のときに両親とともに出国し、江戸の記憶がない20歳の辰次郎が、江戸に入国することに。両親は離婚し、母親は亡くなり、今また父親が末期がんに侵され、江戸の亀戸天神の鷽替えをしてほしいという願いを叶えるためです。
ところが、辰次郎も知らない裏の事情ってやつがありまして、彼は長崎奉行所の出張所通称「裏金春」に住み込むことに。そこのお奉行様は六尺六寸、四十六貫の、座れば巨大な鏡餅。そそけ立った髪、極端に吊りあがった細い目は陰険、横広がりの低い鼻、顔の横一杯に広がった唇、鼻の右下には大きなイボ。
手下たちはお奉行様の暴力に耐える日々。しかもこのお奉行様通称「ゴメス」は女でした。
意外にも聡明なゴメスや、手下たちそれぞれの個性などキャラクターが秀逸。特に辰次郎と一緒に入国した、江戸マニアの松吉のマニアぶりには時代劇・時代小説心がそそられます。
物語の鍵は辰次郎が子供の頃、江戸にいた記憶を取り戻すことにあるのですが、それも自然な流れです。
物語の核は、このような江戸の生活もいいけれど、せめて医療だけでも最先端のものを、と願う医者の心情など、読ませる内容です。
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナカムラマサル - この投稿者のレビュー一覧を見る
第17回日本ファンタジーノベル大賞受賞作の本書は、昨今の数ある小説の中でもその発想の奇抜さが抜きん出てすばらしい。
舞台は近未来の日本。北関東と東北にまたがる一万平方キロメートルたらずの「江戸国」。もとは、ある実業家が始めた老人タウンだった。30年前に独立を宣言したのだが国際的に認められず日本の属領扱い。それ以来鎖国を続けている。御府内と呼ばれる中心部は、十九世紀初頭の江戸を忠実に再現しており、人口七百万のうち百万人が生活している。
日本に住む主人公の辰次郎は、江戸の永住ビザを手に入れた幸運な日本人のうちの一人。と言っても辰次郎は裏口入国であり、江戸で生まれ5歳まですんでいた彼には重大な任務が課せられていたのだ。
設定の面白さに比べてラストの盛り上がりが欠けている感があるが、人物のキャラクターもプロットも申し分なく実によく読ませる。
日本人の原風景を感じさせる世界が繰り広げられていて、時代劇ファンはもとより、多くの読者を魅了すること間違いなしの1冊だ。
紙の本
異色過ぎて絶句
2017/03/17 18:24
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
よくまあ こんな設定思いついたなあというのが第一印象でした。設定からゴメスさんまで全てが異色です。ゴメスさんが女性だというのが最大の異色ぶり(笑)
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21世紀初頭、日本からの独立を宣言した江戸に辰次郎はやってくる。身請け先「金春屋ゴメス」のもとで「鬼赤痢」事件を解決することとなるが、江戸を揺るがす大事件、さてはて如何相成るや。辰次郎のほかに江戸入りした松吉、奈美も加わって、話は核心へと進んでいく。
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近未来、「江戸国」という江戸そっくりに造られた国が日本から独立。そこへ現代の日本の若者辰次郎が移り住み、岡っ引きの手下となって、親分・兄弟子と共に難事件の解決に乗り出す。
・・・
現代と江戸の融合という設定がおもしろい。時代物として読めなくもないです。
内容も文体も軽いので読みやすいです。
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ファンタジーノベル大賞受賞作。月に殖民をする近未来の日本に江戸時代を模して作られた国家「江戸」が舞台の小説。
SFに偏らず、江戸人情をちりばめた作品。剣客商売とか鬼平好きならば、絶対好きになる作品!面白かったよ♪
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あらすじを読んだ時点では「本当に面白いの?」と半信半疑で、読み始めもおっかなびっくりだったのですが、わずか数ページで世界に引きずり込まれました。すっごく面白かった!これはものすごく好みです!世界観の設定が面白いし、登場人物たちも魅力的だし、物語の流れも良いですね。
一番好きなのは甚三かしら(やっぱり男前という描写に弱い私…)。登場してから中盤まであんまり出番が無いなぁと思っていましたが、終盤で格好良いところを見せてくれました!いやーん、素敵。まぁ、何と言っても色んな意味で一番最強なのはゴメスですけど。
でもこのゴメス、確かに冷酷無比、極悪非道だけれど、それは江戸の理を大切にしているからこそ、本当に江戸を愛しているからだこそだと私は思います。だから「金春屋」には十助や甚三、菰八など、出来る男たちが集まっているわけですし。ゴメスがいるこの江戸に住んでみたいなとか、ちょっぴり思ったり。
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江戸の町を再現、現代にできた江戸という国で昔ながらの生活をしているって面白い設定。
一連の捜査、面白い!なんたって捕物帖のようで現代的だし!!
、続きを読みたい!!
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300 倍の難関を潜り抜け、日本から江戸国へ入国を果たした大学生の辰次郎。連れは、元外資系金融勤務の時代劇オタク松吉(NY出身・24歳)&28ケ国を渡り歩いた海外旅行マニアの奈美(25歳)。身請け先は、容貌魁偉、冷酷無比、極悪非道、厚顔無恥、大盗賊も思わずびびる「金春屋ゴメス」こと長崎奉行馬込播磨守だった!ゴメスは、辰次郎に致死率100%の疫病「鬼赤痢」の謎を追えと命じる―。第17回日本ファンタジーノベル大賞・大賞受賞作。
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紹介で読んでみたファンタジーノベル大賞受賞作。この賞はけっこういい作家を生み出しているので好き。近未来の日本に江戸というファンタジーがある。何もかも、江戸時代をそっくり真似て作った小さな鎖国のような島。少し時代劇のようで、でも主人公は現代のなまっちろい若者なんだけど、終盤になるにつれ板がついてきておもしろかった。2作目もあるらしい、読んでみようかな。
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舞台となるのは、近未来の日本。
大学生。辰次郎が、病気の父親からのたっての願いで向かった先は、昔の江戸をそのまま再現した“江戸国”。日本にあって日本で無い。。。そこには携帯電話も、パソコンも持ち込めず、プラスチック製品もダメ、洋服もダメという決まりがあった。彼が滞在したのは、「金春屋ゴメス」と呼ばれるお奉行様の家。そこで、ゴメスの命を受け、江戸に流行る疫病の謎を追い始めるのだったが・・・
日本の中の異国「江戸」という設定が、最初は理解できなくて、
なんなの?。。。って感じだったのだけど、読み進むに連れて、
すごい設定だ!と、感じはじめるのであった。
ゴメスがまた、すごい!身長2メートル、顔は恐ろしく、時々暴れだし、
それでも頭がよく、すごい過去を持つ。。。。女!
そう!そうなんです!ゴメスは女性なのです!。。。。と、
また、ここで驚く。。。
ファンタジーというよりも。。。SFっぽい時代劇。。。ん???
とにかく、なんだか、面白い。読んでみる価値ありです。
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スズちゃんの迫力にかなり退いた。すでに書かれ方が人間のそれではないと思われる。名前からして失笑する。それがあんまりにも響いて、話を覚えていない。
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【あらすじ】桜も終わった3月下旬、浜松町で電車を降りて、竹芝埠頭に横付けされた高速飛行艇を横目に見つつ、江戸入国管理局のブースへ向かった辰次郎。
彼はとある理由で300倍の難関を超え、日本から『江戸国』への入国を許されたのだ。
『日本』のものは一切合財持込禁止なため、ケータイもなんもかも置いて、着物に着替えた彼が岩場をまわって目にしたのは、現代人なら誰もが思わずツッコみたくなるリアル千石船そしてリアル武士。
さらに江戸に入った彼を待ち受けていたのは、誰もが恐れる怪物・長崎奉行馬越播磨守こと金春屋ゴメスだったのでした・・・。 ●もし21世紀日本に19世紀江戸がリアルに再現され、かつ日本から独立した国家として存在していたら?
そのアイデアでひと勝負したSFミックス時代小説。
ググってみたら、日本ファンタジーノベル大賞を取っていたのですね。ファンタジーノベル大賞と言えば、かつて酒見賢一に佐藤亜紀、佐藤哲也に池上永一と綺羅星の如き才能をざくざくと発掘してきた日本最高の賞。
その先達に比べると・・・うーん、大賞かあ。小粒だなあ。タイトルロールのゴメスも、フリの割には破壊性に欠けるきらいが。(←や、これは、池上永一キャラを基準にする私が悪いのかもしれませんけどね。)
でもシリーズ化しやすそう。しゃばけ路線なおてがるさで、そこそこ売れやすそうだし。新潮社では手頃なレーベルを思いつかないが、連載まんがにするのにも向いてると思いますよ。読まないけど。←おい
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2007.10.ファンタジーノベル大賞受賞作.主人公の辰次郎は日本から『江戸国』への入国を許された.江戸は日本から独立した国.現代の生活ではなく江戸時代の生活を送っている.その江戸で、長崎奉行馬越播磨守こと金春屋ゴメスとの話.ミステリーかつ時代もの小説.まあOKです.
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ファンタジーというジャンルは幅広い・・・で,これは近未来モノ〜月でも東京と同じような生活が出来る今,辰次郎(しんじろう)は思いがけず江戸への入国を認められた。聞けば,300分の1という倍率らしい。江戸で産まれたのが,父親が江戸を出国して日本にやってきた。癌で瀕死の父の希望を聞き入れた結果だが,千石船に乗り合わせた他の入国者はニューヨーク生まれで江戸オタクのピエールと28カ国を旅してきた奈美であった。何も分からないまま預けられた今春屋の裏には長崎奉行である馬込すずが親分で,言うなれば外部大臣として治安維持に力を尽くしていたが,その体躯は6尺6寸,40貫目の化け物のようであった。辰次郎の生まれた村では,疫痢で同世代の子供が死に,引き篭もりを江戸で癒した父・辰衛は,息子を失うことを懼れて,日本への出国を決意したのが,竹芝桟橋へ戻る舟の中で辰次郎は病から癒えていた。辰次郎が呼ばれたのは,故郷の村で流行った疫痢が御府内で出始め,直す手立てを辰次郎の記憶に求めたからであった。疫痢の正体は,アメーバ赤痢の亜種で,生物兵器に使われる事を怖れた研究者が鎖国した江戸に持ち込み,床下に埋めておいたモノを犬が掘り出し,カプセル内の白い粉を舐めて廻したからであった。薬種問屋と医者は現代科学を江戸に持ち込もうと謀って,井戸の周りに撒いたものであった。疫病で子どもが死ぬことを犠牲と考え,耐性菌を持ち込まない決断を江戸は行って,日本国の属領として半独立の地位を築いたのであった〜奇抜な発想が全てだ。第17回ファンタジーノベル大賞受賞作を大幅に加筆したのだそうだ。人が月に住むようになり,素封家がエコフレンドリーな江戸を再現し,そこで疫痢が流行して日本が1万平方キロメーターの地域を封鎖した結果,江戸は半独立を果たしたってのは興味深いね。房総半島は復元のしようがなかった・・・て,どういう事よ? 地球温暖化で房総半島が海に沈むのなら,関東平野も海に沈むよね・・・日光江戸村を中心に北関東から南東北までが江戸? 続編があるんだよなあぁ