ぼけることにも新鮮に驚くことができるしあわせ。>
2012/08/14 17:22
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「いわずにおれない」?なにか「不満」を綴ってあるように思えるタイトル。でも、詩人のまどさんが「いわずにおれない」のはもっともっと肯定的なことでした。本書はまどさんが100歳をもうじき迎えるころ、自分の詩のことや創作のことを語った「聞き書き」です。老いてなお「ぼけました」と笑い、子供のように感動を文字にし続けるまどさんの姿勢は、高齢化社会の暗い話ばかり耳にしている昨今にはいっそすがすがしい風のようです。
ちびてしまった石鹸が「年取った老婆ではなく赤ん坊に見える」まどさん。
けむしを表すのに「さんぱつはきらい」とくると、なんだかルナールの「博物誌」の再来を感じてしまいます。心の新鮮さはいくつになっても、こんなふうに保てるのですね。
まどさんの「窓」からみえるものは、誰でもが目にしているものばかり。「見えていても見ていない」ものがたくさんあることは、まだ見るものがたくさんあることだと、まどさんの言葉は教えてくれました。
100歳をすぎてなお、いくつかの詩集も出版されているまどさん。100歳記念のような出版もよいですが、本書はそんな「記念」的な色合いが少ない分、自然な感じがして好きです。
書き下ろしの詩のほか、まどさんの絵もカラーで何点か載っていて、文庫サイズでお得な感じ。
まどさんからのメッセージ
2022/06/04 14:08
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ぞうさん」で知られる故まどみちおさんからのメッセージが詰まったエッセイ集。
詩人のまどさんが、なぜ言葉を使って詩を書き続けたかがよく分かった。
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じぶんもたいせつ、だからだれかもたいせつ。
ちっこいものにもたましいがきらきら。
あたしのココロをドキュンと射る。
まど・みちお道があったら、まるですべてを肯定できそうだ。
本当にすばらしいコトバと感情。
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まどさんの世界観が表されていて読んでいて詩を書いたときの気持ちとか共感できる部分がたくさんありおもしろいです。
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「地球の用事」まど・みちお
ビーズつなぎの 手から おちた
赤い ビーズ
ここまで 走らせた
地球の 用事は なんだったのだろう
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まどさんのつくる詩が大好き。
簡単な言葉で、とっても大切なことを
きちんとすくいとっている。
さらにこの本を読むと、まどさんご本人も
大好きになってしまいます。
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10.3.15~10.3.19
いくつか心に残った箇所があったけど、一番最初にはっとしたのは、「ひとつのものがあるとき、そこにはほかのものはありえない」という気付きを「りんご」という詩にしているところ。そういう性質の気づきって、些細だけど深遠すぎて、「詩」以外のことば(活字だけでなく、目で見る、耳で聞くものも含めて)では、うまく届かない気がする。
「ひとつのものがあるとき、そこにはほかのものはありえない」という感覚は、自分やほかのひとを大切にすることに繋がる。その感覚を、生物だけではなく無生物にまで広げていくまどさん。あくまでコトバはやわらかく。
それと…「われわれの祖先がまだ人間になる前の生き物だったころ、猛獣に襲われたとき、牙をむき出した敵が近づいてくるにつれ、逆遠近法でだんだん大きくなる」という経験や「自分が捕らわれて愛するものが逃げていくとき、その後ろ姿が遠ざかるほどに小さくなっていく」のを、ずっと見つめていた経験が、人間に、「遠近法と言う感覚が養」ったという感性が面白い。
私達のみるものひとつ、私たちがあたりまえだと感じている感覚ひとつひとつが、すぐれた詩人の眼によって、「詩」として掬われてゆく。
いつも、の世界が、すこしずれて見える。
明日も、この世界にいるのもいいかな、と思う。
貴重な読書時間だと思う。
たまにはこういう本も素敵です。
09.12.31 ほぼ日・『旅の荷物に詰め込む本』(http://www.1101.com/tasogare_tabinohon/index.html) より
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まど・みちおさんの詩に出会ったのはもう数年前、「ぼくがここ」という詩を読んで涙が出るほど心が震えた。そして、今回この本に出会い、96歳になるまどさんの少年のような感性に触れた。金子みすずと同じく、この世のありとあらゆるもの、動植物のみならず形のないのも、時間や空間にまで命を与え、いつくしむ言葉は私の心を強く揺さぶる。世の中の森羅万象に触れて、「いわずにおれない」とまど・みちおさんの中からあふれてくる言葉たちが心の底まで沁みてきた。
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宗教と芸術と日常。今はもうすっかり無関係な形式の中に仕切られてしまったこれらが、この人の中では、人間にとっての本来の姿で息をしている。当たり前のように。深く、穏やかで、やさしく、シンプル。老若男女、貴賤や学の有無を問わず、人を惹きつけずにはおかない、そういう世にも稀な力。かつて日本にいたという、妙好人という人達は、きっとこんな風だったのだろうと思われる。
レビューを書こうとすると分別くさくなってしまっていけない。
ごめんなさい、まどさん。
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1909年生まれの詩人まどさんの、96歳のときのインタビューをまとめたものです。〝いわずにおれない〟というタイトルは、日々湧き上がる感動を言葉にしないではいられないということでしょう。命あるものばかりでなく、そうでないものに対しても同様に暖かい眼差しを向けられるまどさん。ほんの些細なものや出来事から、大きな感動を得、それを大いなる恵みと受けとめるまどさん。詩人の謙虚さと穏やかさが伝わってくる一冊でした。
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こころが温かくなります。
生き方がことば一つ一つに表れていると思います。
自分の使うことば、特に息子に語りかけるときにことば、
ちょっと考えてみようと思いました。
それには自分の生き方・あり方も見直したほうがいいのかな。
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私の場合、まど・みちおさんといえば、童謡『ぞうさん』の作者というくらいの印象しかなかったのですが、この本を読んでみると、素晴らしい作品を数多く作られているのが分かります。
『まど・みちお全詩集』というのが、既に1992年に出版されているそうですが、その時点で、発表した童謡、詩、散文などが実に約1200編もあったというから驚きです。それからいくつ作品が増えているのでしょうか?
『ぞうさん』の歌詞もそうですが、まど・みちおさんの作品は、平易な言葉が上手に使われているものが多いですね。文字も、あれは童謡だからというのもありますが、平仮名が多い印象です。一見平易に見える作品が、実は奥の深い世界を構築しています。p.177「だいたい私はね、いのちの尊さをずっと詩にしていながら(後略)」とあるように、人間の生に対して鋭い考察が隠されているのです。
p.180「私は、ふつうの人が退職するころ、やっと本気で詩を書き始めましたからね。」というのが心にしみます。私もまだまだ46歳。何か始めるには決して遅すぎるということはありません。
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本のタイトル的に、おしゃべりなまどみちおさんがどんどんしゃべってくれる本なのかと思ったけど、
編集部の人が、そんなにしゃべりたそうでもないまどみちおさんに結構無理にインタビューして聞き出してる本だった。
なんだかそっとしておいてあげたくなってしまう。
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以前図書館で借りた本。この度、一冊購入しました!自然をじっくり観察し、人間にも動物にも、物にまでも共感を抱くまどさんの感性には脱帽です!僕にとっての人生のバイブル。
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すごい。
詩の土台に、いきものへの大きな優しい眼差しを感じる。
悠々とした大きな懐を感じる。
そして、ころころと笑いたくなるユーモアと。