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紙の本
幕末・維新 (岩波新書 新赤版 シリーズ日本近現代史)
著者 井上 勝生 (著)
激しく揺れ動いた幕末・維新とはどういう時代だったのか。東アジア世界に視点をすえ、開国から西南戦争までを最新の研究成果をとりいれて描く新しい通史。幕末の外交を再評価し、維新...
幕末・維新 (岩波新書 新赤版 シリーズ日本近現代史)
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商品説明
激しく揺れ動いた幕末・維新とはどういう時代だったのか。東アジア世界に視点をすえ、開国から西南戦争までを最新の研究成果をとりいれて描く新しい通史。幕末の外交を再評価し、維新史を書き直す意欲作。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
井上 勝生
- 略歴
- 〈井上勝生〉1945年岐阜県生まれ。京都大学文学部卒業。北海道大学文学部教授。
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紙の本
幕末外交史が面白い。
2018/07/30 21:22
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たまがわ - この投稿者のレビュー一覧を見る
冒頭から、ペリー来航時の日本側(与力中島三郎助)とペリー側の交渉次第について
詳しく記されていて、一気に引き込まれた。
日本はすでにペリー来航前に、ペリーに日本へ向かう命令が出されたこと、
ペリー艦隊一二隻についての船名、トン数、砲数、乗組員数、船長名、
さらにインド洋以東の大英帝国の軍艦十八隻のこと、ペリー来航の目的、
「上陸、囲軍の用意」をし、武器を積みいれていることなども把握していたという。
その後の日本と諸外国の外交交渉史が面白い。
本書を読むと、日本側(幕府)は堂々と立派な交渉をしているように思われる。
本書全体として、これまで幕末・維新史でなんとなく信じられてきた定説のようなものを、
否定して新たに書き直すような記述が結構ある。
だから面白いし、そうだったのか、とすっきり納得できる部分がある。
文章にもスピード感があって、一気に読めた。
岩波新書では、シリーズ日本近世史1~5のうちの5冊目、『幕末から維新へ』(藤田覚著)2015年発行
と、シリーズ日本近現代史1~10のうちの1冊目、『幕末・維新』(井上勝生著)2006年発行が
あるけど、通史としてより分かりやすいのは近世史5の方で、
すでにある程度知識のある人が読んで面白いのは近現代史1の方ではないか、と思った。
もちろん両方読むのが一番面白いことだと思う。
同じ時代について扱っていても、記述の内容が違うので面白い。
紙の本
幕末維新史をぬりかえた
2017/11/18 10:13
2人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:玉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者のサイン入りの本を持っています。井上先生とは40年来の付き合いで、ため口も言えるのですが、誇らしいです。この本が広く普及し、幕末・維新史、特に、幕末の幕府の姿勢の通説を変えたといってもよいでしょう。教科書の叙述にも変化が見えます。江戸時代の再評価と、明治維新そのものの評価の見直しにも、大きな影響を与えました。このシリーズは、どの本もすごいのですが、まず本書から入門してくださいませ。
紙の本
基本的には良いと思うのですが・・・・・
2007/09/18 16:30
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:FAT - この投稿者のレビュー一覧を見る
幕末の江戸幕府能吏による外交交渉の評価、江戸時代末期における幕府の衆議の重視や民衆の政治的意見表明に関する事実、また、日本が李氏朝鮮と条約交渉をしている時期における、日本と朝鮮の民衆反乱についての比較の視点などなど、興味深い指摘が多数存在しているのは間違いない。
ただ、本書一冊を通した読後の満足感がないのは、なぜなのだろうか?
それは、幕末の政治史や新政府の明治六年の政変に至る政治的変動が、ほぼ結果だけ書かれているという感じになっているせいなのではないかと思う。
では、なぜこのような叙述になっているのだろうか?
評者は、本書の著者が、「ありきたりの政治史をなぞることでは、少々新事実を指摘したところで、日本の近代への移行期の歴史を解体することにはつながらない、そこで、民衆動員力のない明治新政府が、一揆や武士の反乱に対し厳罰で対処し、併せて対外危機をあおることで、民衆を動員し、「文明開化」という形で馴化させたというのが、明治初期の富国強兵政策の「真実」であるという展開を、外交交渉と民衆の成熟度合いの実相を資料に則して実証的に明らかにすることで、論証しよう」という戦略方針をその研究の基本計画とされているのではないかと推察する。
著者は、「あとがき」を拝見する限り、この戦略方針というか、研究方法論に自負をもたれていることが伺えるし、評者もこの戦略方針は「当たり」だと思うのだが、如何せん積み重ねられるべき実証的史実が未だ断片にとどまっている印象をぬぐえない。
ここが、本書の叙述が、大きなストーリーにまで展開できていない原因なのではないかと思われる。
是非、この戦略方針というか、研究パラダイムの方向で、様々な研究が進むことを期待する。
紙の本
見直し維新史
2019/07/03 11:12
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nobita - この投稿者のレビュー一覧を見る
幕末の外交は屈服していたと言われているが、現在のポチ外交よりははるかにましだと思う。なぜなら、彼らは命をかけていたから。
紙の本
意図的に創られた「物語」を事実から見直す
2007/01/27 19:28
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:未来自由 - この投稿者のレビュー一覧を見る
岩波新書からシリーズものとして刊行が始まった「シリーズ日本近現代史」。全10巻の予定で、シリーズ①の帯に、「維新史を書き直す意欲作」とあり、これまでの延長線上で近現代史を書いていないことがうかがえる。
幕末・維新「物語」の見直しは、ずいぶん前からいろいろな人が試みられているが、研究成果を取り入れながらの「物語」に少なからず興味をもった。
とくに、「英雄」や「立役者」的な「物語」が多い中で、民衆史の研究成果がいかされている点は重要だろう。当時の「民衆」像が、後から一部作られた像として刻み付けられているものがあることを現代の人々が気付いていないところに警告を鳴らしている。ここから近現代史を考えると、今も問われる「歴史認識」の問題が考えやすくなるのではなかろうか。
いくつかの視点が示されてはいるが、では「維新」とは何だったのか、そこをまとめようとしたものではないし、その歴史的な「法則性」を問おうとしたものでもない。
それでも、民衆の実際の意識や江戸末期の経済実態などを示しながら考える視点は興味深かった。
「幕末・維新」から敗戦まで、如何に多くの「物語」が意図的に作られ、利用されてきたか、そのことを考えるひとつの契機の書として読めば、一層興味深いものがあった。
「専制的な近代国家の急造」をめざした人たちがつくった「物語」に如何に人々が振り回され、騙され続けたか。その事実を知ることは重要であろう。
「おわりに」の最後にこう書かれている。「幕末日本の大方が攘夷で沸き立っており、その中心に天皇・朝廷がいたという神国思想や大国主義で色揚げされた物語こそ、本文で述べたように、『無稽の謬説』の一つであった。その物語は、近代日本がつくり出した、あたらしい天皇制近代国家の国家創成『神話』にほかならなかった」と。
また、いまジェンダー問題が様々な分野から問われているが、維新以降に作られた「社会的性差」の問題を考えるうえでも興味深い事実が紹介されている。そういう問題に興味を持っている人にも参考になる点があるだろう。