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商品説明
元ヤン・ホストが宅配便(特別仕様車)ドライバーに転身!?血気さかんな若者と所帯じみた小学生、親子と仕事と仲間によるひと夏の贈り物。【「BOOK」データベースの商品解説】
「初めまして、お父さん」 親子の夏が始まった−。息子と過ごすために、ホストから「ハチさん便」ドライバーへ。正義感の強い元ヤンキー父と、おばちゃん臭い少年のハートフルな物語。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
坂木 司
- 略歴
- 〈坂木司〉1969年東京生まれ。2002年「青空の卵」でデビュー。ほかの著書に「切れない糸」「シンデレラ・ティース」など。
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紙の本
ようするによくある話です。この手の、たるい甘さを人間らしい、と思う人はフーテンの寅さんを楽しめるんでしょう。でも私はだめ。時間がもったいないです
2009/01/22 19:58
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
坂木司を読むのはデビュー作『青空の卵』以来のことです。その作品については、内容は全く忘れてしまいましたが、主人公の設定に我慢がならず、その後、続編がでても「またか」という思いがして、無視してきました。でもこの本の装幀には、そういう頑なな老女の心に語りかけるものがあります、っていうか要するに可愛い。
てっきり東京創元社の本だとばかり思っていたのですが、よーく見ると文藝春秋社ではありませぬか。しかも初出が「別冊文藝春秋」2006年7月号~2007年5月号とは。坂木司、知らない間にメジャーになっていた? それってレッドソックスの大家に似てない? それにしても装幀には the GARDEN 石川絢士 としか書かれていません。この愛らしいハニービー・エクスプレスのマークは誰の作なんでしょう?
なんて疑問を抱きながら読んでみると、ミステリというよりはベタな人情小説ではありませんか。ま、『青空の卵』もあえてミステリとしなくてもいいかな、と思うような作品でしたが、今回の作品はもっと甘い。読み終わって、あ、これって田中啓文の笑酔亭梅寿謎解噺じゃん、なんて思いました。笑えないところも似てるし・・・
内容紹介は、出版社のHPからの引用と、私自身の各エリアの簡単過ぎる要約、それと登場人物紹介で終えてしまいましょう。まず、出版社さんのお言葉は
息子と過ごすために、ホストから「ハチさん便」ドライバーへ。正義感の強い元ヤンキー父とおばちゃん臭い少年のハートフルな物語
夏のある日、ホストクラブで働く元ヤン・沖田大和のもとに、突然、息子と名乗る小学五年生の進がやってきた! 息子の教育上ホストはよろしくない、と大和は昼間の仕事である宅配便のドライバーへ転身するのだったが……。正義感溢れ、喧嘩っ早くて義理人情に篤い大和。家事にたけて口うるさい、おばちゃんのような中身の進。仕事や仲間を通して、二人は絆を深めてゆくが、進の夏休みも終わりに近づいて……。
大和の燃える「ハチさん便」が、爽やかで心地よい読書をお届けします。(SY)
となっています。 読み方が荒いせいなんでしょうか、登場人物の年齢がよくわかりません。イメージでは20代の連中が中心だと思うのですが、正直よくわからない。それと話の展開は、しごくまっとう。狙いが見えてしまうのが趣味ではありません。テレビ局あたりは飛びつきそうですが、この手の人情受け狙い話というのには、そう素直にのってあげたくありません。特に図々しい子供というのが嫌です。
各話を大雑把に紹介すると
エリア1 宛先不明:ホステス・ヤマトを父親という少年の登場?
エリア2 火気厳禁:子どもが料理をするのに、火は危ない?
エリア3 こわれもの注意:専用車輌での配達に、昔の職業が出る?
エリア4 代金引換:集荷で、なぜヤマトばかりが指名される?
エリア5 天地無用:夏休みの終わりはお話の終わり?
謝辞という名のあとがき
となっています。「章」の代わりに「エリア」っていうのが宅配便の世界を象徴していて、タイトルのほうもその筋の用語、とまあ工夫はされています。進むという少年が登場しますが、はっきりいってハニービー・エクスプレスのマークにも遠く及ばない可愛さ(回りくどいですね、可愛くない、って書けばそれで終わりなんです)。大和ならずとも「お前、もてないだろ」って言いたくなります。
人情小説という言葉がピッタリです。「フーテンの寅さん」を思えばいいかもしれません。あの世界を受け入れることが出来る人にはいい。でもやっぱり私には向いていません。こういう優しさを見せられると、アリエネー、って思うんです。そこまで笑酔亭梅寿謎解噺に似ている。でも田中啓文には、全く違った雰囲気の『永見緋太郎の事件簿』という、本格ミステリと人の心の動きを見事に融合させた作品があります。
それに対して坂木には、世の中の「優しさ」願望にこたえるばかりの作品以外に何があるのでしょう? このあとで沢木耕太郎の『旅する力』を読みましたが、坂木が描くべったりとした「優しさ」ではなく、世界を見た厳しさこそが人を感動させる、って厭でも気付かされます。『旅する力』は娘たちに読ませますが、『ワーキング・ホリデー』はスルーさせる、それが私の評価です。
最後に簡単な登場人物紹介。
ヤマト:沖田大和。時々正論を吐く元ヤンキーのホステス。なぜ年齢をはっきりさせないのかよくわかりませんが、一応20代前半としておきます。よく考えれば、元ヤンキーってところも星祭竜二に似ているかもしれません。
神保進:息子と称して突如ヤマトの前に現れた小学五年生の少年。実際の子どもかどうかわからないままに話が進む、そこが作りものめいて、私は乗れなくなってしまいました。家事全般はできますが、可愛げがないので、女の子にはもてません。学校で苛められて、それに反発して勉強して東大、官僚ってすすむタイプです。
神保由希子:進の母で、ヤマトの別れた恋人、というかヤマトを振った女性だそうですが、本人は小説に登場しません。息子には父親は死んだ言ってきたのが、母子手帳にヤマトの写真を挟んでいて、それを進むが見てしまったことが今回の話の発端です。リアリティ、感じないのはその場面がきちんと描かれていないからでしょう。
ジャスミン:大学出のオカマのオッサンで、『クラブ・ジャスミン』というホストクラブのオーナー。実家が大きな不動産チェーンを経営しているというのもあって、言動に余裕があります。ヤマト、進というメインキャラには少しも共鳴するところはありませんが、ジャスミンのような脇役がいいので、なんとか読めます。
雪夜:『クラブ・ジャスミン』のホステス。アフターの付き合いなど原則としてしないクリーンな王子様。多分、この物語で一番ファンがつくキャラクターでしょう。クリーンさがわざとらしくなくて、自然に身についている。遊びもスマートだし、人の心もしっかり読む。出来すぎ、の感はありますが、こういう人物って実はリアルさを感じさせるんです。ここがフィクションにおけるリアリティの難しいところ。
ナナ:関東近県にに住むお嬢様で、ヤマトが働いているホストクラブの常連さん。何故か、何県であるかは明かされません。あえて書かない理由があるのでしょうか。それなら関東近県なんて設定は止めてしまったほうがいいと思います。だって、このお話、日本の大都市であれば、どこが舞台でもおかしくないんですから。不自然にぼかすくらいなら、書かないほうがいいこともあります。
紙の本
いい小説なのですが設定が甘い
2007/08/23 16:53
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
2流ホスト沖田大和のもとに
突然「あなたの子どもだ」と名乗る
小学5年生の進が現れます。
進は昔つき合っていた神保由希子の息子ということが判明。
思い当たることがたくさんある大和は
書置きを残して家出してきた進といっしょに住むことに。
しかしその経緯があまりにも安易。
大和もすっかり信じてしまうし
由希子もなにも言ってこない。
子どもができたことも、10年もひとりで育ててきて
あっさりお父さんに懐かれたら
女の立場、ないですよね。
普通、なにか騒ぐでしょう。
登場人物がすべて類型的でいい人というのも気になります。
ホストクラブのオーナーは不動産業もやっていて
店子の宅配業者に大和を送り込む。
子どもの教育上、ホストはよくないから。
ホストの先輩雪也に優良顧客のナナ。
宅配業者のボスに同僚もみんないい人。
驚きや新鮮さはないけれど、物語は楽しめました。
連作短編はそれぞれに味わいがあって
読みどころもあります。
坂木司って血の繋がらない人で集って
ごはん食べるシーン好きですよね。
ややパターン化してきたのも気になります。