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著者 ジャン=ポール・サルトル (著),松浪 信三郎 (訳)
存在と無 現象学的存在論の試み 2 (ちくま学芸文庫)
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みんなの評価4.8
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評価内訳
2010/08/21 16:56
投稿元:
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1巻より2巻がずっとおもしろかった。フッサールやハイデッガーではなかなか掘り進めなかった「他者」や「身体」について考察されている。 特に他者に関する思考は秀逸なものがあったとおもう。 しかしサルトルは対自=意識=人間存在を身体や、事物の存在、世界などとあまりに対立させすぎてしまっている。これでは心身二元論とおなじだ。こういうところが、サルトルがまたたくまに時代遅れになってしまった原因のひとつだろう。 「意識」ばかりを中心に据えてしまうと、やはり文学「でしか」なくなってしまうのかもしれない。
2018/10/08 00:00
原書名:L'Être et le néant -Essai d'ontologie phénoménologique- 第3部 対他存在(他者の存在;身体;他者との具体的な諸関係) 著者:ジャン=ポール・サルトル(Sartre, Jean Paul, 1905-1980、フランス・パリ、哲学) 訳者:松浪信三郎(1913-1989、東京、哲学)
2019/07/11 18:33
第Ⅰ巻で対自存在と即自存在が峻別され、それぞれの構造が明らかにされた。続く本書第Ⅱ巻でメインテーマとなるのは対他存在であるが、この対他存在こそ、ハイデッガー哲学にはなかったサルトル哲学ならではの独創的な視点といえよう。 世界には私だけが存在しているのではない。私は見つめる存在であると同時に見つめられる存在である。見つめる主体としての私が、見つめられたとたん客体へと変貌する。他者のまなざしにさらされる私、すなわち対他存在としての私は、対自存在としての私と同一でありながら通約不可能である。両者は絶対的に断絶していながらも分離不可能であり、独我論は暗礁に乗り上げる。それというのももともと自我には他我が含まれているからである。 さらに主体としての私と客体としての私はいずれにもとどまることができず、容易に反転しうる。他者に対する態度において、前者(主体としての私)はサディズム、後者(客体としての私)はマゾヒズムとして現象する。われわれ対自存在はこの相克から脱することができない。「われわれ」という一人称複数形もまた他者を受容した結果ではなく、「われわれ」の外部に他者を設定し、その他者によってまなざされる存在として初めて成立する派生的概念に過ぎない。 独我論に陥ることなく、他我(他者)を自我(自己)のいわば「必要悪」として論じている点、また性の問題を男女の性別や生殖行為ではなく、サディズム・マゾヒズムというカテゴリーで論じている点に、サルトル哲学の圧倒的な独創性がうかがえる。その論述は具体的であり、ハイデッガー以前の無味乾燥な哲学とは一線を画している。
2020/09/25 19:38
存在と無 2―現象学的存在論の試み (2) (ちくま学芸文庫 サ 11-3) (和書)2009年08月23日 22:06 ジャン・ポール・サルトル 筑摩書房 2007年12月10日 この本を読んでいくと関係というものに対する感覚が鋭敏になっていくように感じます。続きも楽しみです。
2023/12/30 01:09
第二巻は第一巻よりいっそう哲学書というか小説を読んでいる感覚に近い、泣ける、なにより他者の話なのだ。どうしたってわれわれは他者から逃れられない。まなざしを向けあい対象化しあい、偏在する身体に、もがき苦しむ。サルトルの哲学にはそういう生なましさが満ちている。ところでサルトルを読みたいと思ったのはもともとaikoの歌詞になんとなく現象学っぽいところを感じたのがきっかけなのだけれど、第三章で語られる愛の不可能性、相手が自由である限りにおいて自身が超越されない絶対的な目的として在ることをもとめるくだりなんて、なかなかaiko的な愛だ、と思わされてかなりアツくなった。なんだか満足してしまったところがなくもないけれど、第三巻を読みたいと思います。と、第三巻の巻末に用語解説なるものがあるのを見つけてぱらぱらとめくり、思い出したが、愛撫と肉体あたりの話めっちゃ面白かった!
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